秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

奥祖谷夏点描 暮らしの夏 山里に歩いて

2011年07月16日 | Weblog
行水を暫し楽しみ誰も来ず

庭に出で行水の声児にかえり




山の庵「わとうち」は林道から少し入ったところに周囲を杉林に
囲まれた静かな庵である。

林道入り口に一軒の民家があるのみで、民家もまばらであり
ときたま犬を散歩に連れ出す以外は歩く人もいない。

夏の暑い最中に汗をかき、気持ちが悪いときなど風呂を沸かすのも面倒だし
手っ取り早く裸になって庭で行水をするのである。

行水の最中にひとでも立ち寄ると、これは慌てるだろうともおもうのだが
まあ、なんとかなるだろうし、そんなことより、こんなに子供に還ることが
なんとも嬉しいものである。

山水であるから最初は飛び上がるほど冷たいが、そのうち慣れてきて
心地がいいものである。

気持ちは最高なのだが、ほんの少しの時間というか、数分の水浴びで
身体が冷えてくる、風邪を引いてもいけないので年寄りには充分楽しめる
行水である。

以前に居た久保の家でも、夏になると良く行水をしたものである
久保の場合は林道から、チラチラ見え隠れするので、だれも通らない頃を
見計らって行水する苦労があった。

子供の頃、街中の我が家でも庭での行水は毎日の日課であった
さすがに大人は風呂場でしていたが、戸外の行水は子供の特権であった
何処の家でもそうであったし、みんな得意顔であった。

いまでは見かけない風景となったからか、山の庵の行水は子供の頃を
想い出してくれ、懐かしい気持ちにさせてくれる。

山の生活はいろいろなことが、特に子供の頃の生活を彷彿とさせてくれる
道具、遊び、食べ物など、街中では味わえない事柄に出くわす。

自然に遊び、還る生活は、生きていることを実感して、明日の元気に
連なっていくのであろうか。