秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ(お季紫と・テラオのお時間です~)

2013年06月17日 | Weblog

お季紫とテラオの祖谷山に、二度目の夏が、訪れておりました。

新しく作りなおした小屋の中に、一羽のキジ。
テラオはその一羽のキジに向かい、一生懸命に霧吹きで、水をかけてあげておりました。
そして

キジに向かって、独り言をぶつぶつと、呟いておりました。
季紫には、テラオの言葉は、通じますが、季紫の言葉は、テラオには聞こえません。
それは、『雑念』と言うやっかいな物が、人間様にはありまして、動物にはそのような物は
存在いたしません。なぜなら、動物はただ『生きる』為にのみ、存在しているからで
ございました。

……
……
『お季紫さんよ~聞いてくれるかえ~~よわったわいや~~』
テラオは、座り込みながら、季紫に向かって、話しかけております
『あのの…村で選挙があるんじゃわ…ほんけなら、まだ選挙にはならんのに
村長さん途中で、辞めたんじゃわ…皆、色々イヨルわ…隣在所のお菜菜さんは
あれは性分悪いわ~悪い事したけん、村長さん辞めたんじゃって、皆に言いふらしよるわ~
お菜菜さんは言いふらしてないってイヨルけど、紙に書いて、在所のてっぺんから
バラまきしよるわ~あれは性分悪いわ~』

季紫はじっと、聞いておりました。

『ほんでの…よわったんじゃ~選挙に二人、出るんじゃと。
一人は村長さんの手伝いしよった人で武川さん。もう一人は、黒川在所の黒川さん。
黒川さんは、長い付き合いになるんじゃ~村の先々で行事あるたび、いっつも顔だしてくれて
毎月かわら版だして、皆に配りよるわ、おらの、てんご新聞より、お金かかっとるわ~
おらのてんご新聞は、時々読めん箇所あるけど、黒川さんは、しもの人に印刷してもらいよるきん、

綺麗な新聞じゃわ~ほんでの…黒川さんは、かわら版に書いとったわ~
《あなたと決める明日が決まる》って。武川さんって言う人とは、付き合いないけん
わからんけど、黒川さんは、とにかく、温厚なええ人じゃわ~真面目なわ~
おらも真面目なけど、お菜菜さんに言わしたら、おらは、くそわやくなって、言よったわ。

ほんでの、よわったのは、おらは、他人に頭下げるの、1番スカンのじゃわ~
そのおらが、そのおらがの……黒川さんの祖谷山の世話人の頭に決められたんじゃわ~~~!

よわったわ~~~!勝手に決めたのは、誰と思う…?あいつぞ~!いっつも
何考えとるか分からんような…お菜菜さんに言わせたら、あいつは、打ち上げをする為にだけ、
生きとるようなって言われとる、あの敬三郎~!あの敬三郎が、決めたんじゃわ~!
おらは、よわったんじゃわ~』

……
……
季紫は じっと、聞いておりました。
人間界とは、なんと複雑な世界だろうと 首を傾げておりました。
黒川さんも武川さんも、村人の為に出馬するのなら、なぜ 二人だけでお話して
二人で村人の為に、頑張れないものか、思案しておりました。

未来を大切にする者
今だけを見据える者

人間様は ややこしい

ただ 季紫は
思って おりました。
暑いだろうと ずっと霧吹きで 水をかけてくれる テラオの気持ちは、有り難いのだけど……
小屋の中は 水びたしでした。
……
……
テラオは 今年も…
パッパラパーでした

いつかに…続く

























































コメント (5)
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