この集落で以前は彼方此方で決して多くは無いが咲いていた待宵草が何時ごろからか見えなくなった
集落の下から上まで土手といい、野辺といい、廃家跡まで、何回も足を運ぶのだが逢えずじまいであった、
もう、絶えてしまったのかなあ、と悲観的になって、諦めかけていた
しかし、先日集落上部のばあちゃんを訪ねての帰りにうろうろしていると、ちょっとした野べに
一輪の待宵草が眼に飛び込んできた
おお、咲いていたんだ、久しぶりに逢えたひとのように、妙に感動的になった
しばらく、眺めていたが、そのあたりにまだ咲いているだろうとまわりを探してみたもののほかに
咲いている待宵草の姿もそれらしい茎もなかった、この一輪のみであった
やはり、たくさん咲いている集落もあり、それぞれに違いがあるのだろうと思う
月見草野に一輪の力あり

雨しづく待宵草の開かざり


