しみじみとした趣深い初冬の風景のなかで、冬紅葉が時雨に遭い霜に晒されて
いよいよ色を増して美しくなり北風に遭い、木枯しに耐えても半ば散り失せながら
枝にしがみ付いている紅葉を残る紅葉という
そのいまにも振り落ちそうな色づいた葉っぱの懸命な風景を愛おしく思うのも
厳しい冬の前の束の間の木々の息遣いを思うのもいいものだ
いろいろな出逢いのなかで、年を重ね、重ねて生きていくことの重みと意味合いを
考えるごとにそのよろこびとくるしさに、ああ、残っているのだなと思うことが
よくある、同年輩のひとたちが次々と亡くなることが、この初冬の風景を眺めていると
寂しい思いに駆られる
片枝に残る紅葉を失せにけり
時すでに残る紅葉になりにけり


