前略・
今年も新品の新緑が、ざわざわ、モコモコと生まれています。
川はエメラルドグリーン。緑、みどり、ミドリが旬な季節です。
皆様、お変わりございませんか?
やっぱり新緑の季節は、出合経由の祖谷街道をお勧めします。
で、リカちゃん人形も50周年を迎えました。
※無理やりに話を転換しました。ごめんなさい~祖谷街道とリカちゃんの接点はゼロに等しい。
ちなみに祖谷街道は開通して、97年が経ちます。
で、またまた昔の、またまた父とのリカちゃん人形の思い出がある。
わたしは、K代ちゃんの持っていた、リカちゃん人形を、触らせてもらうのが目的で、K代ちゃんの家に遊びに行っていた。
少女期のわたしの持っていた人形は、紙人形。
ラーメンの入っていた、段ボールを潰して広げ、エンピツで人形の絵を書いて、ハサミで切った、紙人形。
数体を作って、独り事を言いながら、遊んでいた。
紙人形は最初はしっかりとしていたが、徐々に紙の特性を活かし?折れていく。
首と胴体が、シワシワになって、折れていく。折れたら、また次を作る。
そんな感じだったから、とにかくリカちゃん人形が、欲しかった。
普通に遊べる、固い人形に憧れた。
『我が家は貧乏です』
と改まって父母から聞かされたことは一度もないが、
『我が家は裕福です』
と感じたことも一度もない。
我慢に我慢を重ね、もう我慢できない~と思ったある日。
競艇に向かう父に、オネダリをした。
『父ちゃん、リカちゃん人形が欲しい~、K代ちゃんとおんなじ人形が、欲しい~買うて~勉強するけん、買うて~』
父は案外に容易く返事をした。
『ボートで勝ったら買うて帰るばいっ!!』
過去において、
『一番長い1日』
と感じたのは、この日の父を待った日と、初恋の相手の結婚式だったと思う。
わたしは父を待った。ひたすら時計を見つめながら、待った。
父が競艇で勝つことは、余りなかった。
長い1日が終わり、父は帰ってきた。
上機嫌ではなかった。なぜか、茶色の小さな袋をお土産だと、わたしに渡した。
中身は ピーナッツチョコ。
競艇に負けて、おまけに一緒につれて行ってもらった方に、中華そばをおごって貰ったと言う。
残金0のオッサンは、それでもすぐに気を取り直し、
『次は勝つばい!!』
とすでに 次回の競艇に向けて、意気揚々だった。
わたしはそれから数回、父を待った。
待って、待って、遂に父の手に箱らしき物を見つけた。
『やったぁ、リカちゃん人形~父ちゃんありがとう♪』
すぐに包装紙を、開けながら、何か違和感を感じた。箱の高さが、リカちゃん人形にしては、やけに低い。
包装紙を破って、箱を開けようとしたら、頭が見えた。
……『猫の貯金箱』だった。
父は、リカちゃん人形を知らなかったのか、
おもちゃ屋さんに寄るのが、面倒だったのか、真実は闇の中だ。
猫の貯金箱は、多分食堂のお土産コーナーで、買ったんだと思う。
『父ちゃん、ありがとう~』
と言った記憶は、全くない。
部屋の隅っこで、丸くなって座り、猫の貯金箱を、じーーーと、眺めていた。
わたしの人生に、リカちゃん人形は、存在しない。
リカちゃん人形で遊ぶことは出来なかったけれど、
わたしはとっても、楽しかった。毎日、楽しかった。ブランド品、貴金属、流行りの洋服、
何も興味がないのは、少女期に培ったものだと思う。
頭を、あっぱらぱーにして、みんなそれぞれの場所で、頑張ろう。
余りあっぱらぱーにしたら、解雇されるから、気をつけましょうね。
草 々


