冬枯れの山を歩く、薄っすらと積もった雪、いつもより静寂に
冷気が支配する風景を肌に感じて引き締まる心地すらする、歩き、
モノトーンに近づく灰色がかった景色のなかに、草木が埋もれて
いつもなら見逃してしまう、なんでもない草花が枯れて朽ちてゆく
目の前を流れて行く見慣れた草木のなかに、孤独を湛えてしずかに
屹立して、崇高にさえ感じる一本の枯れた茎に、ウバユリの実に、気づき
枯れた実の殻が割れて開き中の羽根付きの種が風に飛ばされて未知の世界に
旅立って残された殻が二つ、開きかけでまだ中の種があり旅立ちの支度の殻
白い雪に浮かび上がる枯れて褐色になった茎と装飾花と無数の実に目が留まる
ギンバイソウの実であろうか、実は残っている、これから蒔くのだろうか
見過ごしてしまいそうになる、なんでもない、普通に行われる自然の現象に
生命体の普段の行為に、山歩き、気づき、に感動した一日であった

