前略・遅ればせながらの謹賀新年。
読者の皆様。変わりなくお歳を重ねましたでしょうか。
久しぶりの寒波でございます。
一晩不在にして自宅に帰ると、そこはマイナス7度の世界。
とりあえず、玄関のサッシが凍っておりました。
結露がそのまま凍り、サッシを覆っておりました。
台所に予備で貯めておいたボールには、氷が張っておりました。
掛けてあったフキンも凍っておりました。
少しずつ蛇口から出しておいたお湯と水は、お湯の管が凍り、水はでておりました。
家の中に入って、電気を点けるよりも一番最初にすることが、蛇口に手をかざして、
水が出ているか、確認することでございます。水の感触を指先で確かめた時の歓喜。
得をした気分になり、思わずヤッターと心で雄叫びを叫ぶ。
そして、電気を点けて凍ったボールの中に人差し指をいれて、小さな穴を開けて、
再び手を全部入れて、残りの氷を割って五感が爆発!!
なんだ、この感覚!久しぶりの感覚!
そうだ。そうだったんだ。昔の冬はいつもこんな感じだったんだ。
膝を超える雪が毎日、毎日降り続いて、地面なんて三ヶ月くらい見えなくて、水道のホースを、
一日かけて溶かした場所から新たに引き直したり、近所の家から水をバケツとか鍋に貰ってきたり、
四苦八苦しながら冬を乗り切っていたんだ。
冬を乗り切ることしか、頭には無いから、無駄なことを考える暇もなく、水で米を洗い、
水で野菜を洗い、タライで洗濯をして、洗えただけで有り難くて、嬉しかった。
不便でも頑張れた。厳しい極寒の毎日を乗り越えた先に必ず
『春』 が待っていたから。
だから、耐えることが出来た。
そして、暮らしは豊かになり、便利になり、快適になり、
当たり前の便利さの中で、五感は衰え、平和ボケになり、すっかり忘れかけていた人間の本来の姿。
過激な進化に晒されながら、剥がされるみたいに失っていく本来の姿。
祖谷の人は誰も、生きていく為の知恵も才覚も持ち合わせている。
先手先手で、仕事の段取りをしていると、山の人が沢山買いだめをするのが好きだから、
それと同じだと言った人がいて、不快な思いをする時もあるけど、心の中で呟く。
「あなたより、生きる知恵は持っております!あっかんべぇー」
スマホの画面を見ながら、
「今から予報では雨雲が出るから、少し待ちましょう」
と誰かが言う。
「降らないよ。この空では」
と私が言う。
もう、本当に、みんな、何を見ているの?何に操られているの?
合わせるのが、面倒くさい。
が、生きる為に働く。が、その場合の『春』に値するものは、何なのか。
契約職員の身分では見当が付かない。
人生の春って、どこなのか。何故、何の為に頑張らなければ成らないのか、さっぱり判らない。
パリッ、パリッと雪の下の氷の割れる音を聴きながら、近所の滝を映しに向かう。
少し吹雪いてくるけど、生まれたばかりの空気と風が全身を包んでくれる。
爽快感に100%包まれる。
本脳がキシッキシッと、再生するみたいだ。
生きている。
生きる意味の答えを探す為に、
生きるいる。
青空が見えてきた。
欅の枝に積もっていた雪の欠片が、風に飛ばされながら、暫し空を舞う。雪の綿帽子みたいだ。
ヤマガラと、シジュウガラもすっかり仲良く慣れて、縄張り争いも無くなった。
新たな一年が、じわじわと始まった。
今年もシンプルに生きていこうと思う。
出来る限り、優しく有りたいと思うけど、時々悪魔に取り憑かれる。
そんな時は、とびきりの祖谷弁で、悪魔を追い払う。
『どつぼれよ、おまえや知らんわ、どこぞ、いけやー』
やっぱり、祖谷は素敵な場所です。
草草





読者の皆様。変わりなくお歳を重ねましたでしょうか。
久しぶりの寒波でございます。
一晩不在にして自宅に帰ると、そこはマイナス7度の世界。
とりあえず、玄関のサッシが凍っておりました。
結露がそのまま凍り、サッシを覆っておりました。
台所に予備で貯めておいたボールには、氷が張っておりました。
掛けてあったフキンも凍っておりました。
少しずつ蛇口から出しておいたお湯と水は、お湯の管が凍り、水はでておりました。
家の中に入って、電気を点けるよりも一番最初にすることが、蛇口に手をかざして、
水が出ているか、確認することでございます。水の感触を指先で確かめた時の歓喜。
得をした気分になり、思わずヤッターと心で雄叫びを叫ぶ。
そして、電気を点けて凍ったボールの中に人差し指をいれて、小さな穴を開けて、
再び手を全部入れて、残りの氷を割って五感が爆発!!
なんだ、この感覚!久しぶりの感覚!
そうだ。そうだったんだ。昔の冬はいつもこんな感じだったんだ。
膝を超える雪が毎日、毎日降り続いて、地面なんて三ヶ月くらい見えなくて、水道のホースを、
一日かけて溶かした場所から新たに引き直したり、近所の家から水をバケツとか鍋に貰ってきたり、
四苦八苦しながら冬を乗り切っていたんだ。
冬を乗り切ることしか、頭には無いから、無駄なことを考える暇もなく、水で米を洗い、
水で野菜を洗い、タライで洗濯をして、洗えただけで有り難くて、嬉しかった。
不便でも頑張れた。厳しい極寒の毎日を乗り越えた先に必ず
『春』 が待っていたから。
だから、耐えることが出来た。
そして、暮らしは豊かになり、便利になり、快適になり、
当たり前の便利さの中で、五感は衰え、平和ボケになり、すっかり忘れかけていた人間の本来の姿。
過激な進化に晒されながら、剥がされるみたいに失っていく本来の姿。
祖谷の人は誰も、生きていく為の知恵も才覚も持ち合わせている。
先手先手で、仕事の段取りをしていると、山の人が沢山買いだめをするのが好きだから、
それと同じだと言った人がいて、不快な思いをする時もあるけど、心の中で呟く。
「あなたより、生きる知恵は持っております!あっかんべぇー」
スマホの画面を見ながら、
「今から予報では雨雲が出るから、少し待ちましょう」
と誰かが言う。
「降らないよ。この空では」
と私が言う。
もう、本当に、みんな、何を見ているの?何に操られているの?
合わせるのが、面倒くさい。
が、生きる為に働く。が、その場合の『春』に値するものは、何なのか。
契約職員の身分では見当が付かない。
人生の春って、どこなのか。何故、何の為に頑張らなければ成らないのか、さっぱり判らない。
パリッ、パリッと雪の下の氷の割れる音を聴きながら、近所の滝を映しに向かう。
少し吹雪いてくるけど、生まれたばかりの空気と風が全身を包んでくれる。
爽快感に100%包まれる。
本脳がキシッキシッと、再生するみたいだ。
生きている。
生きる意味の答えを探す為に、
生きるいる。
青空が見えてきた。
欅の枝に積もっていた雪の欠片が、風に飛ばされながら、暫し空を舞う。雪の綿帽子みたいだ。
ヤマガラと、シジュウガラもすっかり仲良く慣れて、縄張り争いも無くなった。
新たな一年が、じわじわと始まった。
今年もシンプルに生きていこうと思う。
出来る限り、優しく有りたいと思うけど、時々悪魔に取り憑かれる。
そんな時は、とびきりの祖谷弁で、悪魔を追い払う。
『どつぼれよ、おまえや知らんわ、どこぞ、いけやー』
やっぱり、祖谷は素敵な場所です。
草草




