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やきもの鑑賞ポイント お勉強ノート

昨日は「やきもの鑑賞入門 (とんぼの本)」から陶芸(鑑賞)史をピックアップしましたが、
本書の本題は「鑑賞」なのでその部分はいわば背景説明ですね。
本日は肝心の鑑賞のポイントを整理してみました。

<鑑賞のポイント・日本人の感性>
1.土味(つちあじ)・・・高温を浴びて変成したあとの土の個性の味わい
・土の個性:土の成分、肌目、粗細、基本的な色調、窯変による色調などが明か
・施釉陶器の土味:造形の厚さ、表面のテクスチュア、ヘラ目、削り跡、面取りから感じられる

2.景色・・・「天工」「偶成」といった自然の要素による変化
(窯中で変化を受けたもの)
・無釉焼締め陶に表れるもの:「火色」「コケ」「山キズ」「ひっつき」「むしれ」「ふくれ」「ぼたもち」「ざんぎり」
・焼締めの降灰によるもの:「灰被り」「自然釉」「ビードロ」「トンボの目」「ゴマ」
・焼締め・釉薬ものに共通:地色の色変わり
・釉に表れるもの:「貫入」「かいらぎ」「釉なだれ」「釉だまり」
・釉薬の変化:「鵜の斑」(朝鮮唐津・黒高麗)、「禾目」「油滴」「耀変」(天目茶碗)、「御本」(御本茶碗)、「火色」
(後天的に加わったもの)
・永年の使用による変化
・発掘品の釉薬の変化
→「5.古色」参照

3.手ざわり・・・手で触った感触の美感
・表面状態の手ざわり、器胎の凹凸、重さ(持ち重り)
・茶の温度のほど良い伝わり方

4.映り・・・使用目的の対象や他の道具、室内空間との相関
・花映り、茶映り、酒映りなど(魯山人の「食器」・・・料理を「待つ」場所)
・他の道具との取合せ(侘び茶創期の「見立て」による茶陶の構成)

5.古色・・・時間が詰め込まれたことによる存在感
(自然状態での経年変化「風化」)
・プラス評価・・・「銀化」
・マイナス評価・・・「カセ」「色絵の剥落」「スレ」
(伝世状態での古色)
・プラス評価・・・「貫入ジミ」「シミ」「雨漏り」「地色の変化(色付き)」「擦れ、慣れ(器肌の感触の変化)」
・マイナス評価・・・「茶シブ・ヨゴレ」
*「古色」は無いが「古格」があるものもある・・・作られた時代の個性

○やきものは人工的な工作物でありながら、窯という人の手を中に入れる訳の行かない
 一種の自然の造化を潜り抜けている
・自然の要素を排除し人間のコントロールを徹底・・・清朝磁器、上手伊万里、鍋島、西欧磁器等
 →「土味」「景色」は見られない
・自然の要素をできるだけ引き出す・・・「焼締めの茶陶」(古伊賀、備前、信楽、常滑等)

まったくもってよく分からない言葉続出なのですが(汗)、日本語の語彙が豊富ということは、
日本人がそれだけ豊かなやきもの鑑賞文化を育んできたことを示しているのだと思います。
5つのポイントがなかなか分かりやすいと思ったので、お勉強ノートにしてみた次第。

・・・にしても製品としては欠陥みたいなところを敢えて愛でているところが凄い。。
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