goo

やってくるのはコンドルかはたまた曾根達蔵か

某職能団体主催の、丸の内に復元された三菱一号館の見学会に参加しました。
丸の内の大家さんが真っ向勝負しただけあって、すばらしい出来上がり。
綺麗過ぎて味がないとも言えますが(新築なんで)、素材も構造も本物なので
年月を経れば経るほど味わいが出てくるのではないかと思われ、とても楽しみです。



一度無くなったものを再現するのだから、当然分からない部分がいっぱいあって、
設計担当者は悶々とするのだろうな~。
見学会終了後、その辺をざっくばらんに聞いてみました。

解体前の大量の写真資料や、同時代の建築の調査研究などを深めていくと、
以前見た資料からまた新たな情報が読み取れるようになること。
なのでやはり最後はコンドルの図面に帰って、その線の意味を汲み取ること。
あるいは「その時代の建築の常識」が体に入ってきて、判断の基準となってくること。

「自分にコンドルが乗り移ったような気がすることもあったりしますか?」
「う~ん、一度曾根さんが枕元にたったことはあるなぁ。」

写真は三菱銀行の営業室だったところで、カフェになる予定らしいんだけど、
ここにあった風除室は平面図しか資料が残っておらず、
再現された風除室のデザインは推定なんだそうだ。
(このあたりもきちんと現地に表示していきたいとのことであった)

いろいろな資料からデザインを推定して、「復元」の精度を高めていく仕事は
とても大変そうだけど、でも楽しそうでもあるよねー。羨ましい。

注)歴史的建造物の世界では、復原は修復して元の状態に戻すこと、
 復元とは元のように作ることとして使い分けています。
 だから遺跡で昔の竪穴式住居なんかを再現するのは「復元」、
 東京駅を修理して竣工時の状態に戻すのは「復原」ということになっています。
 (けど、失われた部分が大きすぎるんで、やっぱそこは「復元」なんじゃないのーと思ったりして)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )