ホウジョウキ  ++ 小さな引籠り部屋から ~ ゆく川の流れは絶えないね

考えつつ振り返り、走りながらうずくまる日々。刻々と変わる自分と今の時代と大好きなこの国

谷中琵琶STYLE@本郷求道會舘

2009-04-29 23:53:47 | art
去年は千駄木安田邸で行われた
「谷中琵琶STYLE」女性琵琶奏者の二人の演奏ユニットです。

去年、初めて古いお屋敷のお座敷でのライブを聴いて、とてもよかったの
で今年も参加しました。
今年で5回目、テーマは~巡る~
曲目は
平家物語(平曲)から
敦盛
壇ノ浦

創作曲
琵琶二重
古典の和音階、リズムを壊そうとする斬新な試み。
邦楽の、現代曲。
不思議にインドや東南アジアの音楽のようなハーモニー
西洋現代曲?の変拍子のようなリズム
ちょっとガムランに似ているところも。

錦木
能にある曲だそうです。
謡だとどのようなのか、内容はとても哀しい恋愛悲話
秋田の民話から

啄木に寄せて
子守うた

石川啄木の日記や書簡の朗読をはさんで、啄木の死までのストーリー
寂しい音質の琵琶によく合う。

琵琶は、大きな音が出ます。
ですが、その音色は、絶対に哀しい。
琵琶はもともと平家物語という栄枯必衰の悲話をつづった音色。
明るく楽しいわけがないです。
軍記物だから、激しい表現もできます。


混んでいました。
予想を超える申し込みがあったということで
三人がけの席に四人座って、満席。


せっかくなので着物を着ました。
やはり同じことを考える人は少なからずいて
着物姿も多かったです。
その中でひときわしっとりと美しかったご婦人がいました。
淡い藤色の色無地かうっすらとした柄の小紋
同じく藤色の染め帯
黒髪をシックに結って。

そう、今は藤の花が咲く季節。
今藤色を纏う。
ああ、こういうセンスが美しい和美人を生むのだな。
着物はセンスです。
生活の中のセンス。季節感とか、空気感とか、素材とか色とか。

私のように、何かを作りたい人間は、常に創造的なアウトプットを求められるので
好きな世界、未知の世界、新しい発見、日常からの発見
そういうインプットの努力が必ず必要。

いろいろなインプットができました。

あとは自分の中でガタゴトと化学反応を起こして、ぐつぐつ煮込んで
アウトプットへつなげましょう。

王朝美の精華 石山切

2008-01-27 20:45:20 | art
http://www.tokugawa-art-museum.jp/
名屋市にある
徳川美術館

名品がたくさんあると昔から聴いていて一度行ってみたいと思っています。
学生時代、能が好きでよく見ていたとき
豪奢な能装束を展覧会などで見る機会があり
所蔵をみると「徳川美術館」

ぜひ見てみたいと思っています。

昨年の秋
開館20周年記念展
「王朝美の精華・石山切」
かなと料紙の競演

が開催されて、何とか見に行こうと何度もスケジュール調整したにもかかわらず
行けなくて断念。

でも、春日井市在住の大学時代の先輩が
図録を購入してくださいました。

石山切とは
国宝「本願寺本三十六人歌集」(西本願寺本)
のうち「貫之集」「伊勢集」の断簡です。


すばらしい。私は料紙に強い興味があるので、料紙ばかり見ますが

とにかく豪華絢爛。
図録も立派に出来ています。
でも。
こうして図録を見ると、やはり見に行くべきでした。
後悔先に立たずです。


唐紙は、見たことの無い柄がいろいろあります。
唐紙は、襖紙としてのから紙と、料紙の唐紙の関係を詳しく調べたいと
ずっと考えています。
以前少し調べた時には
料紙としての唐紙は中国から来たもので、そのうち優美な日本製が作られ
襖紙へ展開されたのですが、

料紙の図柄は誰がデザインしていたものなのか
制作者は誰なのか
襖紙が料紙として使われたのか?
私の中で謎は残っています。

現在の唐紙に同じもしくは似た柄もあり、見たことの無い柄もあり。
じっくり勉強して行きたい題材なのです。

ヘルムートシュミット氏特別講義@アカンサス

2008-01-20 00:11:52 | art
アカンサス タイポグラフィスクール
から、はがきが来ました。

2008年3月23日(日曜日)
午後2時開始 午後5時終了

タイポグラフィの泉

ヘルムート シュミット氏 特別講義

またまた大阪まで、タイポグラフィスクールに行きたくなった。
しかし、シュミット氏に適切な質問をする自信が無い。
これから猛勉強しようかしらん・・・。

DNPのページからいただきました。
シュミット氏略歴。

バーゼルへの道くらい読むのは必須だろうなあ。
読もうかな、久しぶりに朗文堂へ顔を出そうかしら。

自分のテーマ
活版と木活字と日本の木版装飾料紙のコラボレーション
の手がかりをつけるチャンスでしょうか。

【ヘルムート・シュミット 略歴】
1942年オーストリア生まれ。ドイツにて植字工の訓練を受けた後、スイスのバーゼルデザイン学校に、エミール・ルーダーなどの下でタイポグラフィを学ぶ。欧米各地で活動した後、来日し大阪のNIAに勤務。1981年に独立して以来、デザインの制約と自由という二元性に直面しながら制作活動に携わっている。韓国ソウルの弘益大学、神戸芸術工科大学で教鞭を執るなど、教育活動にも従事。また、長年にわたり、「TM」、「baseline」、「IDEA」をはじめとする国際的なデザイン誌にタイポグラフィ、デザインに関する論考や評論を寄稿しているほか、自主プロジェクトなどを通じて世界中のデザイナー、学生に大きな影響を与えている。主な著書に1980年「タイポグラフィ・トゥデイ」、1997年「バーゼルへの道」があり、特に前者は「現代の古典」と評され、中国、韓国での出版が準備されている。日本での主な仕事に、大塚製薬「ポカリスエット」、「ELIXIR」を含む資生堂商品、IPSAのロゴデザインなど。国際グラフィック連盟(AGI)会員。

フルティガーTシャツ!

2008-01-01 20:23:04 | art
クリスマス前に到着しました。
morimiさんの作品。

最後の1点ということで1枚プレゼントしてくださいました。
ありがとう~morimiさん。

かっこいいでしょ。
文字を背負う、意味をいろいろ考えちゃいました。

これを着るのは、何かしらものを作る日にしよう
とか、ワクワクしています。

フルティガー展@アカンサスタイポグラフィスクール

2008-01-01 20:19:01 | art
私が一期生で卒業した
アカンサスタイポグラフィスクール
大阪港の近くにあります。
なかなか古くてすてきなビルのデザイン事務所が先生のところ。

同じ一期生のOnisi 君が発案企画して
フルティガーへのオマージュ展が開催されていました(2007年11~12月)

卒業生の中で本職のデザイナーさん、先生方が出品されて
いい展覧会になりました。
私は出品できなかったので
大阪へ一泊小旅行で見に行きました。

凄かったのは、marui先生の木版。
フルティガーの卒業制作を模した作品
え^これ彫って摺ったんですか先生。すごい。



jyn先生の作品もなかなか。活字も出品。

とても気になった
morimiさんの作品はtシャツ
フルティガーの文字を背負うなんてかっこいいので
注文しました。

皆さんからいただいた、ファイトと触発とアイディアのヒントが収穫でした。


観音崎と横須賀美術館

2007-11-03 17:09:23 | art
観音崎まで、品川から京浜急行で1時間弱。
またバスに乗り継いで、観音崎海岸へ。

潮の香り、波の音、海の手触りが、心の澱を洗ってくれました。

台風が去った後の高気圧で、夏のような日差し。
大きな自然を前にした爽快感を味わいました。

横須賀美術館
青い海と空と、山を背に硝子と白の建物
どなたの設計なのでしょう?とても素敵。



展示は「澁澤龍彦 幻想美術館」
ここで澁澤龍彦に出会うとは、不意をつかれました。
事前に企画を調べずに行っちゃいました。



澁澤の足跡を、たどる展示です。
没後20年の記念企画。巌谷國士氏が監修しています。

戦時中から終戦時に10代を過ごしたことが、
そのマニエリズムからシュルレアリズムへの志向
に影響したのだろうなあ、と感じさせる幼少期からの時系列の展示。

澁澤の思考の変遷がよくわかりました。

まず入口はサド侯爵の翻訳、裁判の記録から。その時代には、かなり衝撃的だったのでしょうね。
サド侯爵の直筆の手紙(澁澤所蔵のもの)があり、魅入っちゃいました。
私が10代の頃衝撃を受けて、美術に入り込むきっかけとなった
ルドンや、デューラー、ゴヤ、マックス クリンガー、マックス エルンストの版画が並び
こういう美術が入口だったから、私は澁澤の世界にも違和感なく
入り込めるのだな、と改めて実感。

澁澤の交遊に
中西夏之や、加山又造、横尾忠則を発見して、才能はこうやってコミュネケーとするのかと驚きました。

かなりのボリュームで、澁澤の生涯、昭和の時代の裏道
を駆け抜けた気分に。

併設のレストランのテラス席でランチ。
潮風が心地よくて、気分良くキールなんぞを飲んじゃいました。

館内の表示(ピクトグラム)が愛らしいくてクスリ。

町田国際版画美術館

2007-10-14 22:16:55 | art
小田急線町田駅を降りてしばらく歩くと
大きな公園に出た。
広場あり、せせらぎあり、大きな水をステンレスの噴水オブジェがあり
町田市民の憩いの場所のよう。
ちょっとした森の感じ。
近所にこんな公園のある生活って、豊かだなと思いながら奥に行くと
立派な建物の美術館。

こんなに立派んなんだ。
町田市ってお金持ちだなあ。

版画を趣味としているので、前から来たいと思っていた。
今やっていた企画展は
「木版画 東西対決」
西洋の木版画と、日本の木版画を対決形式て展示。

古いヨーロッパの木版画、ビックリしました。
木版画は浮世絵の技術にはかなわないだろうと思っていたのだが
どっこい、もの凄く細かい。
ここまでも彫るか?というくらい。
銅版画かと思うくらい。
ただし、油性だろうから、摺りの技術は日本が独特だろうと思う。

小口木版は更に細かい。
目を細めてみている感じ。

題材も歴史や宗教だけでなく、
町の光景など、印象的なモノトーンの世界。
光と陰の扱いが日本とちがう。

GILL SANS で有名なタイポグラファー、エリック・ギルの版画が2点あった。
ギルは彫刻職人出身のはずだから、木版画も制作しただろう。
ギルの文字に通じる印象だった。

館内はかなり広く、展示スペースも充分ある。

たくさん見た、お腹一杯になった。

もっと近ければ、通いたいが、町田は結構遠いなあ。

BIOMBO 屏風 日本の美 展

2007-10-08 11:19:58 | art
サントリー美術館がリニューアルしてから、やっと行けました。

東京ミッドサイトの3階にあり、
同じ階に wisewiceがあって、ちょっと眺めてみたりしました。

2フロアあり、以前のサントリー美術館よりも随分広く、ゆったりとしたスペース。
ミッドタウン自体の建築がそうですが、木がふんだんに壁面や床材に使われていて
サントリーホールを思い出します。
思わず手を叩いて音響を確かめてみちゃいました(響くはずないけど)。

BIOMBO 屏風 日本の美展
大きな屏風ばかり、これだけ集まると圧巻です。
狩野派から、琳派、南蛮屏風、水墨画、山水画、草木図さまざまです。
屏風ばかり並ぶと、表装が気になります。
個性的な布地を使った表具もあり、ちょっと目立つかな?と思ったり
とてもしっくりなじんでいるいい表具もあり。
直したばかりのピカピカのものもあり、かなり布地が痛んでいるものもあり、
あまりピカピカでも、落ち着きません。

出産の時に使う、白絵屏風を初めて見ました。
雲母と胡粉のみで鶴松(だったような?)絵が描かれていて
異様な感じ。印象的でした。
祇園祭図や、合戦図や、洛中洛外図をみて
同行した友人が「これ、こういう風景を見て書いた訳じゃないよね?どうやって描くんだろう?」
との疑問を投げかけられ、そうだよなあ。想像で画面を組み立てたのだろうけど、よく考えるとスゴイな。

東山魁夷の描いた
今上天皇 大嘗祭の記念屏風がありました。
これはどう理解すればいいのかしら?と少し悩みましたが
出口で図録を見たら、六曲一双(当然か)で対のもう一つを見て
一双でみたら何となくわかるかも?と思いました。
この屏風が後世に残るって、どうなんだろう。私にはちょっとどうなのかわかりません。

やはり日本画の屏風や掛け軸という形態というのは
合理的だな、とおもったのです。

Hitoshi Toyoda slide show

2007-08-21 05:53:08 | art
東京都現在美術館 中庭で トヨダ ヒトシ のスライドショーを見た。

現代美術館の中庭に面するおおきな硝子面に
東京の潮位が白く書かれている。
なるほどね。
ここは海抜0m以下の場所ってこと。
深川を感じる。

その前に白いスクリーンが置かれて

夕闇がゆっくりおりた頃、はじまった。
トヨダ氏が前に出て挨拶をする、とってもシャイな人の様子。

実際トヨダ氏がスライドを操作するのだった。
少しビックリ、自動的にカシャカシャ写されるのかと思っていたので、
その手作業のピント合わせやら、1枚のスライドの長さやら、も作品の重要な要素なのだと気づく。
街の音や、時々上がる花火や、子供の声なんかもBGMなのか。
音が無いスライドなので、街の音がよく聞こえる。
ずーっ蝉の声が途切れる事無く鳴きっぱなしで、夏の作品である事、作品のイメージに組み込まれていった。
ここでスライドが投影される、それを見る作業一連が一期一会の作品という事か。

はじめは、心象風景が連なっているのかと思いながら
見て行くうちに、ストーリーに気づく。
だんだんとストーリーが増えたり、転換したりするところが
説明が先になったり後になったり、
見る側の思考に挑まれているような気分になる。
トヨダ氏と見ている私の格闘が始まった。
印象的なイメージを次々と見て行くうちに、格闘が心地よくなってきた。

様々な死を展開して、スライドが終わる。
終わってみて、あの始まりは死への扉だったのか、と思い
また格闘する。

すっかり、トヨダ氏の思うつぼにハマってしまったようだ。

真夏の夜の夢、薪能

2007-08-08 06:10:54 | art
夕暮れ時、浅草寺に向った。
仲店商店街も人が引きはじめ、向こうからやってくる人ばかり。
時折吹く風が、麻の着物を透かしてゆき、心地よい。
初めて袖を通す、縮みも麻の着物に麻の帯は、こんなに気持いいのかと驚いた。
風が体をすり抜けて行く感覚。

浴衣の若い女性が、ちらほら浅草寺へ向っているのが見える。

境内は、まだ大勢の人でにぎわっていた。
案内の看板を持つ人、看板の→に従って本道の脇に行くと
長蛇の列!
え、こんなに人気なの?
驚きつつ、この人たちも今日の日を心待ちに
前売りチケットを買い、今日ここにやってきた人なのか。
日がまだ落ちないなか、列に並ぶ。暑い。
30分程並ぶと、場内に案内された。

本道を背に、大きな木の下に、舞台が設けられ
柱の代わりに笹が立っていてその前に大きな薪がある。
ああ、これが薪能の舞台か。
浴衣の若い女性が意外と多いが、ほとんどは年配の女性や、ご夫婦だった。
気になるのが、浴衣を着た年配の男性の姿。粋な旦那衆だろうか。

演目は
能「清経」
狂言「泣尼」
能「鵜飼」

最初に、新門鳶かしら衆の木遣りと火入れ式がある。
三番組のまといが振られて、祝いの木遣りを奉納する。
さすが、浅草の薪能らしい趣向が凝っている。

浴衣の女性達が退屈していないか、少し気になるが大きなお世話だろう。

能のヤマ場、清経の霊が今様を舞い入水の場面になると、なぜか
風が吹き、ごおーっという音とともに薪の炎が舞い上げる。
白い煙が上がり、パチパチと薪がはねる音が響く。
鼓と笛の掛け合い、地謡の声が激しく乱拍子を刻みだすのと、
相まって、これぞ薪能の幽玄なのか。と思った。
私は、鼓と笛の音が好き。
鼓のカーンという響きや笛の哀しげにかすれた音が微妙に揃わない拍子を刻む
そのずれが心地いい。いよーっという声に頭を引っ張られるような感覚をおぼえる。
能楽堂と違って、マイクで拾い拡声しているのが
最初気になって、実はなかなか入り込めなかった。

時々、暗くなる空に更に黒い陰何羽かかたまってが横切って行く。
鳥の陰が流れるのが、明るく照らされた幻想的な舞台の背景を引き立てるようだ。

狂言の早いテンポと会話を楽しんで

鵜飼の能になる。
殺生を禁じた川で鵜飼をしていたシテが、簀巻きになって川に沈められて殺されたことを
語る場面にすごみを感じる。
真っ暗に日が落ちて、更に舞台が明るくぼおーっと暗闇に浮かびあがり
後シテの鵜飼の怨霊が赤いかつらと金と黒の妖しげな装束で
激しく舞い怨念を謡う。
薪能の開放感とざわざわした物質感のなかで上演されるに相応しいように感じた。

静かに舞台から人が去り能が終わる。
本日の公演は終了のアナウンスがあり、一斉に人々が席を立つ。

初体験の薪能が終わった。