舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

フラと腰痛(その2)

2008-02-12 03:12:34 | ダンス話&スタジオM
香取慎吾君主演の月9ドラマ『薔薇のない花屋』、毎回楽しみに見てます。
しかぁ~し、前回の放送でチト困ったエピソードが出てまいりました。
女性レギュラーの友人がなんとフラで腰を痛めて入院し、見舞いに行くというシーンがあったのです。

ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待たんか~い。
シ~ンジラレナ~イ
というより、あり得ません。こういうドラマで視聴者に誤解を与えるような事実無根の話を出しちゃまずいっしょ。
こないだ(去年)「フラと腰痛」について書いた内容と若干被るけど、こうなったらもう一回書いちゃうよ。

フラで腰を痛めることは理論上、決してあり得ません。
数十年踊っている私の母が太鼓判を押すんですから間違いないです。
なのになぜこんなあり得ない筈のエピソードが作られてしまうのか?
それは作者の偏見も多々あると思いますがそれ以上に、このあり得ないはずの現象が実際に起きているせいでもあるのです。

残念ながらフラで腰や膝を痛める人は未だに後を絶ちません。
長年の独自のケーススタディーの結果、その原因は以下の二つの大別されます。
(1) 過度の自主研究
(2) 先生に問題がある


もしあなたがレッスン中やレッスン後に膝や腰が痛くなる、またはフラを始めてから慢性的に痛くなった、といった症状にお悩みなら、確実にこの二つの原因のいずれか(または両方)があてはまります。

「本番前で練習をし過ぎたせい」とか「年のせいもあるんじゃないか」などの例外はありません。
フラは腰や膝にいっさい負担をかけないので、どれだけ付加のかかる振り付けでも腕や背中、腿などより真っ先に膝や腰が痛むことはまずありません。

また、年齢に関係なく踊れるのがフラです。言い換えれば身体への負担が発生した場合、それは年齢のせいではなく踊り方に問題があるのです。


原因1、フラはスポ根とは無縁のダンスです。
だから年齢同様、運動神経は関係ありません。どんなに運動神経の鈍い人でも、必ず自然と上達し素敵に踊れるようになります。

しかし「自然な上達」を待てず自主トレしまくることによって早く上達したいと願うのが人情というものです。
ですが殊フラに関してはこれをやるのは厳禁です!!
フラは非常に自然な踊りゆえ、何がフラらしくて何がそうでないか見分ける目を養うのに、まずとても時間がかかります。
したがって、ごく初歩段階において「いかに上達を焦らず見る目を養うことに専念するか」が、優れたダンサーになれるか否かの分かれ目となります。

人間、特に新しい習い事を始めたときは、どうしたってどんどん練習して上達を早めたくなりますよね。
でもちょっと待ってください。そのエネルギーを、まずは「観察」に費やしてみてください。
長い目で見れば、その方が確実に早く向上できるはずです。

最もまずいのは、その見る目が育つ前に自主トレを重ねて独り善がりの「上達」を進めてしまうことです。
こうして身に付いた踊りは、私達の長いフラ歴から見てもただの一つとして素敵な踊りになった成功例がありません。
むしろ致命的な癖がついてしまい、それを取るのにさらに時間がかかるという傾向に陥りがちです。
そうなると、見る目を養うところから段階を踏んでいけばゼロから着実に積み上げていけたのに、自主トレに走ったがためにマイナスからやり直さなければならなくなるのです。


ある意味で原因2=先生の責任も「初期段階に見る目を養えなかった悲劇」に起因すると思われますな。
これほどのブームなので、残念ながらきちんとしたメソッドを身に付けないまま先生になってしまった人がとても多いです。
そういう人は他人の振り付けを剽窃しているという罪ばかりでなく、無責任に誰かの健康を害することを教えているという重大な罪を犯しています。

大袈裟でなくこれは犯罪だと思うぞ。
誰かに無理矢理煙草を吸わせて肺を悪くさせたり、危険なことを無理強いして怪我を負わせたりするのが犯罪なのと同様です。

もちろんそういう人から習った人にも責任はあると思います。
でも、この踊りは本当に見る目を養うのに時間がかかる踊りなので、その過程の貴重な時期に間違ったことを教えられてしまったら、間違いとはつゆ知らず鵜呑みにしてしまうのです。
だから「変な踊りを踊らされたために腰を痛めても自己責任」とは言い切れない部分があるのだな。
やはり教えた人間が最も悪いのです。

だから我々は、踊ってる時に腰が痛くなることはないか、しつこいくらい生徒さんに説明しています。
五月蝿いと思う方がいらしたらごめんなさい。きちんと踊れている人にとっては、腰も膝も痛まないのはごく当たり前のことですものね。
でも、「五月蝿いなぁ、当たり前じゃん」とうちの生徒さんみんなが思ってくれるようになるまでは、このワンパターンの台詞を言い続けることでしょう。

フラでもし疲れる部分があるとすれば、それは「動かすところ」ではなく「抑えるところ」であるはずです。あるべきです。
なぜなら腰に限らずフラでゆったりしなやかに動いているところはすべて「力を抜いているがゆえに揺れている」からです。
むしろ、動かしたい部分を動かすためにしっかり芯が通って固定されている部分、そここそフラで使うべき筋肉なのです。

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