ヒメシャラが咲きました。
『明治という国家』
小説はあまり買わない夫でしたが、司馬遼太郎さんは特別でした。傾倒していましたから。
「坂の上の雲」はじめかなりあります。なので自ずと私は買いませんでした。
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時代小説はかなり読みましたが、あくまで小説です。
この本では幕藩体制や個々の真の人物像など面白く読みました。
江戸時代の識字率の高さは世界に例を見ないほどでした。
中国は新中国誕生後(1949年)、識字率を挙げようと躍起になり
「簡体字」を制定(1950年代)しましたが、思うようにはあがっていないようです。
経済と同じで都市と農村の格差が大きい。
例 蘇州 の簡体字は
江戸時代日本では庶民の間でも国防、国家意識が高かった。
衛生意識もまた然り。長屋でも隅々まで掃除が行き届いていた。
余談ですがパールバックの「大地」(清朝時代)に不衛生は中国の文化などと書いています。
この本が私にもわかりやすいと思わせるのは、現代人として理解しにくい事柄は
現代に置き換えて説明していることです。
小説以外でこんなに面白いと思ったのは珍しいことです。
咸臨丸はじめ訪米使節団の立ち居振る舞いの上品さはアメリカ人を感嘆させたとか。
幕臣の勝海舟と小栗上野介を「明治国家誕生の父」と挙げています。
小栗忠順は地位も高い幕臣でしたが、勝海舟は低い身分でした。
以前読んだ童門作品で小栗の為人は多少知ってはいましたが、今改めて偉大さを知りました。
「家貧しうして孝子出ず」と言いますが幕末、明治の新国家誕生の混乱期なればこそ
こうした人物が出たのでしょうか?
徳川慶喜,勝海舟,坂本竜馬,大久保利通,西郷隆盛,桂小五郎,伊藤博文,東郷平八郎,
西園寺公望等々多くの人物を描き、更に憲法制定までを とにかくわかりやすく面白く読めました。
面白いだけでなく、解りやすさも備えていて、それは司馬遼太郎氏の力量ということでしょう。
また、司馬遼太郎氏は明治という国家に尊敬と愛情をお持ちだったことも感じられました。
勝海舟 小栗上野介
当分は夫の遺した本ばかり読もうかと思っています。