最近は連日熊の出没が新聞テレビで報道されている
それも市街地に出てくることも多く、殺された人もいる、
怪我した人も大勢でている。熊のでた地域の人は日常生活も脅かされている。
長編ドキュメンタリー作品です
昔初読の時も衝撃を受けたが、今回の再読も吉村氏の筆致に迫力を
感じ、当時の開拓民たちの恐怖はいかばかりかと思いました。
時代背景は大正初め、北海道の開拓地。或る日2日間に6人の地区民が
羆に殺された。開拓民たちは銃を持っていない(貧しいため買えない)。
獰猛な羆は人肉の味をおぼえたら、また必ず出てくる。
お腹いっぱいになったその間は襲ってこないらしい。
ガリガリと人骨をかじる不気味な音、人はなすすべもない。
そこで援けを求めに行くことになった。
通信手段もなく、役場や警察には2日がかりの行程を二人で行く。
途中は羆の出る森林ですから命がけです。
そして、役人、警察、猟師、医師など数千人が村落に救援に来て
遂に射止められた。
実話と知って読んでいるので、胸打つものがありました。
当時の開拓民たちの暮らしは「赤貧洗うが如し」。
それも衝撃でした。
この羆は「穴持たず」かも知れないといわれた。
※ 冬眠のための穴を見つけられない羆のこと
表題の『羆嵐』は羆を射止めたあと、吹く強い風のことを言う。
時代背景も違い羆ではありませんが、今東北地方に現れている熊も
人里には出てこないよう、うまく共存してほしいとおもいます。