仁は静かに微笑んだ。その日から仁の座る場所が決まった。「べース」の一番奥の一段高くなっている場所に仁が座るようになった。誰が、何時と言うと取り決めなどなく、ただ、そこにいることで集団となった「ベース」の人間たちに秩序ができるのはおかしな話だ。でも、そのころ、集団はその規模を徐々に大きくしていった。人が少ないと思える日でも10人位の集団ができた。
そして、仁の来る日は、仁がその席に着くのを皆が待っていた。仁が座ると皆が仁の呼吸に集中した。そこに集まった人間の呼吸がすべて仁に同調すると、それはうねりとなってスペイン坂に響いた。
深い安堵の感覚が脳髄の後ろのほうから身体全体に伝わっていくのを実感した。
そして、仁の来る日は、仁がその席に着くのを皆が待っていた。仁が座ると皆が仁の呼吸に集中した。そこに集まった人間の呼吸がすべて仁に同調すると、それはうねりとなってスペイン坂に響いた。
深い安堵の感覚が脳髄の後ろのほうから身体全体に伝わっていくのを実感した。