仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

背中からⅣ

2008年01月30日 16時31分39秒 | Weblog
オマワリも気にし始めたのか、「ベース」近辺をウロウロするようになった。
それもそのはずで、ベースには毎晩のように人が集まるようになっていた。以前は「ベース」以外に行く所がない人間が居場所を探して「ベース」にたどり着いた。それがいつの間にか「ベース」を目標とする人間が増えてきたのだ。「ベース」をそう呼ぶようになったころは、1人で朝を待つこともあった。2人とか3人とかだったら、許されることと許すことの線が言葉で確認しなくても理解することができた。だから、何をするということを決める必要もなかった。何でも良かった。それがそのころになると、仁の来ない日はヒロムがリードして、アキコが集金をして、ヒトミが会場を探して儀式が行われて、何か意味のあることのように事が進み始めた。何も知らずに迷い込んだ少女は突然隣の男に触れられて奇声をあげる事もあった。そうかと思うと「ベース」に来初めの少女が始めての子に
 此処では声を出してはいけないのよ。感じなきゃだめなの。
などと言葉を使って説教をするようにまでなっていた。
 渋谷はそれほど甘くない。人が集まれば金と色の臭いをかぎつけて組織のやつらが動くのは当たり前だ。サングラスの男が復習を狙うよりも危険なことがぼくらには近づいていた。
 背中からゆっくりと