仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

その唇に赤いルージュをⅢ

2009年05月13日 17時43分41秒 | Weblog
仁は勃起していた。
「仁ちゃん、起きてる。仁ちゃん、起きてる。」
マサミのリフレインに演奏がヨレヨレっとした。皆は噴き出した。
「仁ちゃん、たってる。仁ちゃん、たってる。」
演奏は止まらなかったが、皆が笑った。すると仁の肩が床を叩いた。仁の身体は体重がないかのようにフーと起き上がり、そのままスッと立った。目を開け、ニッと笑った。
「仁ちゃん。」
そういうとマサミは仁に抱きついた。仁はマサミのバスローブの帯をほどき、床に落とすと、グッと抱きしめ、口づけをした。長いキッスの唇が離れるとマサミの声がはじけた。
「仁ちゃん、お帰り、早かったね。」
仁の目がその言葉にとろけるように優しく細く微笑んだ。ミサキやハル、マーは当然だが、マサルも、ヒカルも仁のそんな表情を見たことがなかった。当然、彼らの音も仁の表情と同化していった。仁はもう一度、マサミを抱くと肩を持って、回転させた。マサミは仁の意図を感じていた。ポンと肩を押すとマサミはキーボードに向かった。
 マサミが演奏に戻ると仁は両手を天に向けて大きく開いた。ハルも、ミサキもバスローブの帯をほどき、するっと脱ぎ捨てた。そして、マサル、ヒカル、マーの順にバスローブを剥ぎ取った。それはハルが帯びをほどき、ミサキがバスローブを持ち、演奏の途切れる時間を最小限抑えるように行われた。
 全裸の集団が優しい音の中で漂うように、流れるように動き出した。
 仁の手がスーと流れると風が起きた。仁が回ると空気が回った。仁の動きは優しく、激しく、空間そのものを変容させた。
 仁の赤い唇が動いた。
マサミとハルのヴォイスが仁の赤い唇に同化した。

リヴェリ、ホエ、キンゴ、クラリュイネ、スマシュ、ラベ、キュエンゴ
リヴェリ、ホエ、キンゴ、クラリュイネ、スマシュ、ラベ、キュエンゴ
リヴェリ、ホエ、リヴェリ、ホエ、リヴェリ、ホエ、リヴェリ、ホエ、
リヴェリ、ホエ、キンゴ、クラリュイネ、スマシュ、ラベ、キュエンゴ

ハイダ、リヴェリオ、ハイダ、キュリンガ
ホセ、フウオー
ホセ、フウオー

二人のリフレインの中で仁は舞った。