カウンターにビーエスエイトとおなじ人数くらいの人が座っていた。演奏が聞こえた。換気扇からか、何処からか、漏れてきていた。
ドアが開いた。
奇妙な感覚になりそうななんともいえない臭いがした。ジミーさんが出てきた。
「北ちゃん、新人の皆さんに何か出してよ。」
「今日は入りがいいなあと思ったら、平井さんのか。」
カウンターの後ろを通り、ステージの、いや、スタジオの、何だろう、演奏スペースにつながるドアの前に、ジミーさんの横に並んだ。
「えーと、何だっけ。」
「ビーエスエイトです。」
「ビーエスさんにね。何か飲物。」
北川さんは缶ビールを人数分、カウンターの空いてるところに並べた。ミサキがとって、皆に手渡した。居場所がなかった。
「中にいてもいいよ。」
言われるままに演奏スペースに入った。キーちゃんとサンちゃんの演奏が始まっていた。というよりも、出て行ったときから始まっていたらしかった。五人くらいの人影が動いていた。床に座り込んでいる人、壁に張り付いている人、揺れている人。場所を探して、座った。ブラックライトが薄く光る暗闇の中で明りの佐藤さんが細いダウンライトを二人に合わせていた。その明りは闇を際立たせた。臭いの元がその辺にあるはずだった。どこにあるのか解らなかった。
キーちゃんとサンちゃんの演奏はテンポ感のない、フリーキーなものだった。
影が揺れた。
マサルはマーの耳もとに口を寄せた。
「あの時の僕らもこんな感じだったのかな。」
ハルも近づいた。
「これって、マサルの部屋で・・・・。」
「何か違う。」
マーは集中していた。
「何か二人の関係が冷たい。」
確かに演奏はお互いのフレーズに反応するように音が動いた。力の関係。自己主張がぶつかる感じ。
「魂の部分が見えない。」
「マー。」
マーがいくぶん苛立ったいるのをマサルは感じた。
「出口がない。」
「マー。」
マサルとハルは両側からマーの腕をかかえた。
ドアが開いた。
奇妙な感覚になりそうななんともいえない臭いがした。ジミーさんが出てきた。
「北ちゃん、新人の皆さんに何か出してよ。」
「今日は入りがいいなあと思ったら、平井さんのか。」
カウンターの後ろを通り、ステージの、いや、スタジオの、何だろう、演奏スペースにつながるドアの前に、ジミーさんの横に並んだ。
「えーと、何だっけ。」
「ビーエスエイトです。」
「ビーエスさんにね。何か飲物。」
北川さんは缶ビールを人数分、カウンターの空いてるところに並べた。ミサキがとって、皆に手渡した。居場所がなかった。
「中にいてもいいよ。」
言われるままに演奏スペースに入った。キーちゃんとサンちゃんの演奏が始まっていた。というよりも、出て行ったときから始まっていたらしかった。五人くらいの人影が動いていた。床に座り込んでいる人、壁に張り付いている人、揺れている人。場所を探して、座った。ブラックライトが薄く光る暗闇の中で明りの佐藤さんが細いダウンライトを二人に合わせていた。その明りは闇を際立たせた。臭いの元がその辺にあるはずだった。どこにあるのか解らなかった。
キーちゃんとサンちゃんの演奏はテンポ感のない、フリーキーなものだった。
影が揺れた。
マサルはマーの耳もとに口を寄せた。
「あの時の僕らもこんな感じだったのかな。」
ハルも近づいた。
「これって、マサルの部屋で・・・・。」
「何か違う。」
マーは集中していた。
「何か二人の関係が冷たい。」
確かに演奏はお互いのフレーズに反応するように音が動いた。力の関係。自己主張がぶつかる感じ。
「魂の部分が見えない。」
「マー。」
マーがいくぶん苛立ったいるのをマサルは感じた。
「出口がない。」
「マー。」
マサルとハルは両側からマーの腕をかかえた。