仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

その暗闇の臭いと住人12

2010年01月25日 17時26分02秒 | Weblog
 それは現実ではないので、というか、イメージしか覚えていないから。
皆の気が集中して、羽虫のような形になって、真理子さんに向かった。
真理子さんの身体が浮いて、身体の隅々まで羽虫におおいつくされた。
白い羽虫は真理子さんの体液を吸い、半透明の細胞壁が黄色から茶色に変色した。
螺旋状に動きながら、真理子さんが見えなくなるくらい増殖して、
真理子さんが茶色の生き物のようになった。
プシュー。
体液を吸った虫は太り続け、その細胞壁が限界に来た。
真理子さんの体液がシャワーのように螺旋状に噴射した。
茶色の水は、黄色に、やがて、透明になった。
透明になると、同時に、真理子さんの身体は白く、美しい真理子さん自身に戻っていった。
羽虫は透明な水とともに蒸発した。
仁の手がゆっくりと動いて、真理子さんが着地した。

とんでもない時間が過ぎたような気がしていた。

平井さんが来て、北川さんと佐藤さんがドアを開けようとトライした。ヒデオが入ってから、二十分くらいドアは開かなかった。が、ドアは開いた。全裸の集団が輪になって寝ていた。北川さんと佐藤さんがサンちゃんを起した。平井さんがマーを起した。
「こんな格好じゃまずいよ。」
真理子さんが気になった。マーとサンちゃんが駆け寄った。真理子さんは膝を少し合わせて、手はだらんとしていた。息も心臓も普通になっていた。
 最初に真理子さんに服を着せて・・・・・
真理子さんの身体から蒸気が立っていた。薬や草や汗の臭いの後に甘い、真理子さん自身の香りがした。北川さんがキッチンからタオルを鷲掴みで持ってきて、皆に投げた。真理子さんの身体を拭いて、服を着せた。
 皆が少しづつ戻ってきた。それぞれに身体を拭いて、周りに散らばった洋服の中から、自分のを見つけて着た。
 仁は・・・・
仁は大きないびきをかいて、目を閉じていた。勃起したまま、寝ていた。仁の身体も拭いて、洋服を着せた。ズボンをはかせるのは少し手間取った。仁は目を覚ましそうになかった。
「平井さん、僕らの大切な人が起きそうにないから、今日はこれで帰ります。」
マーが言った。
「そうかあ。」