丸まったナオンを仁は薄目で見ていた。暫くすると丸まって震えているナオンに仁が近づいた。体育座りのような格好になっているナオンの両腕に手を掛けた。仁はゆっくりと目を開けた。仁の視線、あんなに開いた仁の目を見た人はその集団の中にもいないような気がした。最初はイヤイヤをするように首を振っていたナオンもその視線に吸い込まれるように仁の目を見た。二人は瞬きもしないで見詰め合った。ナオンは涙を流し始めた。仁の両手の力が抜けた。今度はナオンが仁にしがみついた。仁はゆっくりと両手を拡げ、ゆっくりとナオンを包んだ。仁が再び半開きの目に戻り、ナオンを抱えたまま座り込むと呼吸のリズムが始まった。
考えてみるとヒロムがナイフを取り上げた後、ナオンはアンモナイトみたいに丸まってなんの抵抗もしなかった。なぜ?そんなことはどうもいい。呼吸がある一定の強さを過ぎたころ、仁が立ち上がった。アキコがいつものように集金をして僕らは移動を始めた。「神聖な儀式」に向かって。
考えてみるとヒロムがナイフを取り上げた後、ナオンはアンモナイトみたいに丸まってなんの抵抗もしなかった。なぜ?そんなことはどうもいい。呼吸がある一定の強さを過ぎたころ、仁が立ち上がった。アキコがいつものように集金をして僕らは移動を始めた。「神聖な儀式」に向かって。