ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

BW版! ウエストサイドストーリー

2006-09-10 00:03:01 | 日記
ホントに見に行って来ましたよ、BW版のウエストサイドストーリー。
事の発端は前の記事です。フィギュアの高橋くんが2002年にジュニアワールドで「ウエストサイドストーリー」を滑った時の映像を見て、「やっぱいいなあWSS、また見たいなあ」と思ってたまさにその瞬間に山(部屋の中に積み上げてあるあれやこれやの山のこと)が崩れたんです。
で、その時丁度下の方から出て来たのが、WSSのチラシだったんですね。どうも前に母親が部屋に来た時に置いて行ったらしんですが、私はそれまでこのチラシの存在自体知らなかった。それがあんまりにもいいタイミングで出て来たもので、「いつどこでやるんだ?」と思って見たらちょうど一週間後。場所は大阪。近い。
ホントは舞台見に行くヒマもお金もないんだけどな、でもこのタイミングはまるで神様の声みたい、きっとそうだ、私は呼ばれているに違いない(現実逃避)。

……そういう訳で、大阪フェスティバルホールです。
お金がないので一番安い席にしたら、ある意味特等席でした。二階席最後列の真ん中へん。
フェスティバルホールっていうのは、なぜか二階席の傾斜がハンパじゃなく急なんです。うっかりけつまずきでもしたら、そのまままっすぐオケピまで転がって行けそう。そう言えば、オケピのある生演奏の舞台なんてほとんど初めてかも知れません。
そんなこんなで上演開始。おおまかな粗筋は前の記事を参照して下さい。

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まず、生の醍醐味はなんと言ってもダンスを生で見れるとこです。
やっぱり「マンボ」がノリノリで良かった。「トゥナイト(決闘前のアンサンブル)」と「クール」も迫力あって良かったですね。
もっと近い席で見れれば臨場感があって楽しかったんだろうけど、お金がないので仕方ありません。オペラグラス持参してがんばって見ましたよ。
そう言えば、場面場面はびっくりするほど映画にそっくり(実際には、映画の方が舞台を忠実に映像化してる?)な所がある半面、場面の順番など大きく違う部分もありました。最後の方に出て来る、皆が白い衣装で踊る場面が謎。あれはイメージシーンなんでしょうか。

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そしてストーリーに関して今回感じたこと。これは舞台と映画の違いというよりも、映画を見た中学生の頃の私と、今の私の感覚の差だと思うんですが、この映画の裏のテーマである人種差別などの社会問題のテーマがより重く、鮮明に感じられたことです。

中学生の頃、今いち存在意義が分からなかったおまわりさん二人組。今回は、実はこの二人がなにげにキーマンなんじゃないかと思いました。
公の立場である警官が、公然とヒスパニック系移民であるシャーク団を差別してるんですよ。マイノリティーである彼らを、お上は彼らを守ってはくれない。
ダンスが超かっこいい「アメリカ」。でも歌詞の内容は、夢と希望を抱いて新天地にやって来た移民たちを待ち受ける差別と貧困、でももう故郷には帰れない、というなんともやりきれないものです。
一方、一応ヨーロッパ系の白人であるジェット団。おまわりさんズは、彼らには味方面してすりよって来るんですが、そんなおまわりさんズを見るジェット団たちの冷めた目は、大人社会への不信に満ちてます。
「クラプキー巡査」の歌は一見コミカルで楽しいですが、これも歌詞が結構重い。俺ら貧しくて荒んだ家庭に育ったんだからグレて当たり前だろ? みたいな。そんな俺らを持て余して、たらい回しにする社会。やり場のないイラだちと閉塞感。
そんな若者たちの鬱屈したエネルギーが、トニーとマリアの急ぎ過ぎた恋と混然一体となって飽和状態を起こし、爆発寸前になってるのがあの、決闘前の「トゥナイト」。トリ肌モノですねえ。

元ネタであるロミジュリは、主役の二人が出会ってから死ぬまでたった5日間のジェットコースターな話ですが、WSSは更に短く、どう見てもこれ2~3日の話です。
そこがまた、一旦つっ走り出すと歯止めの効かない若者たちの暴走みたいでやるせない。
ちなみにロミジュリは、作者であるシェイクスピアによると実は「喜劇」だそうですが、WSSは悲劇として成立していると思います。
ラブストーリーを主軸にしながらも、話の根幹では60年代アメリカの社会問題が描かれているから。そしてこの問題は、根底を辿れば今現在も、形を変えてそこかしこに残っている。
ダンスシーンのかっこよさもさることながら、この重くて普遍的なテーマがあるからこそ、この作品がずっと愛されてるのかも知れない、と思いました。

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帰って来てからまた高橋くんのWSSの演技見てしまいました……あの指を鳴らす所、何回見てもかっこいい……。

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