シーズンが終わっても色々と思うところはあるのですが。
最近のスケート界では、フラメンコとかラテン調の曲が流行ってるのか?ということで。
実は前からネタにしたかった、大ちゃんが過去にやってたフラメンコというかフラメンコ調の曲について。
http://www.youtube.com/watch?v=_jZ9uY0edME
2005年のモスクワ世界選手権SP。映画「M:I-2(ミッションインポッシブル2)」より「Nyah(ナイア)」。
DVD→M:I-2(ミッション:インポッシブル2)
サントラ→ミッション:インポッシブル2
この映画が「ミッションインポッシブル」のシリーズの中の1作だということは、この際あんまり気にしなくていいと思います。シリーズの中でもこの2は異色で、ファンからも「らしくない」と今イチの評価らしいので(個人的には好きなんですが)。
大体、トム・クルーズの出る映画は、SFだろうが時代劇だろうが悉く「トム・クルーズの映画」になっちゃうような印象があるんですが、この映画だけは例外で、「トム・クルーズの映画」でもなければ「ミッションインポッシブル」でもなく、「ジョン・ウーの映画」として成立してたような気がします。
ジョン・ウーの映画をほとんど見たことがない私でさえ「なるほど、これがジョン・ウーなのね」と思っちゃいましたから。
基本はドンパチ映画なのですが、アメリカの他のアクション大作のようなあっけらかんとした爽快感はなく、全編のたうつようなウェットな叙情性に彩られています。
エロティックなカーチェイス。ロマンティックな銃撃戦。爆発にすら哀愁が漂うなんてある意味スゴい(ジョン・ウーお約束の鳩も飛びます)。
「Nyah(ナイア)」という曲名はヒロインの名前。この曲は映画では、ヒロインと主人公との出会いのシーンに使われています。
この映画のヒロイン、ナイア・ホールはエキゾチックな混血の美女で、敵の元恋人で職業は泥棒というまるで峰不二子のようなファム・ファタール。いいですね。こういうベタな路線は大好きです。
舞台はスペイン・祝祭の夜。パーティで賑わう豪邸の2階に忍び込み、守備良くお宝を手にして立ち去ろうとするナイアの前に、狙ったように主人公イーサン・ハントが現れます。ていうか狙ってたんですけどね。
2階ではスパイと女泥棒のスリリングな駆け引きが展開し、階下では祭りの最中、狂おしいフラメンコのリズムに乗って、二人を追い詰めるようにダンサーたちが舞い踊る…という場面。実際見て頂ければ分かりますが、バスタブの中で体を密着させてたりして、この場面ムダにエロいです(笑)。
さて。こんな曰くつきの曲で演じる大ちゃんなのですが、いきなり足が攣ってます。
足が攣った状態で4-3コンボを飛んだという、ある意味伝説の演技です(一体いくつ伝説を作る気なんだこの人は)。
なので、所々に足を気にしていたり痛そうな表情が見られます。ていうか普通、足攣っちゃったら痛くて動けないですよね…。
そういう訳で、最初見た時はとにかく「痛そう」という印象が先に立っていたのですが。
よく見ると、エロい。
…2年前なので今よりも当然幼くて、肉体改造前なせいか線も細くて、ランビエール選手の踊ったムンムンした大人の男の色気(とても22才とは思えない!)に比べると如何にも子供。…なのに、エロい。
大人になる手前の、少年特有の危うさとでも言うんでしょうか。細い神経の糸をギリギリまで張りつめて、周囲の世界に対して訳もなく苛立っていて、一歩間違えると糸がプッツーンと切れてそのまま奈落の底まで落ちて行きそうな。エロスというより寧ろタナトス。
視線の強さはやっぱり天性のものなんでしょうか。肩をくねらせて色っぽく踊る仕草もちゃんと様になってるし。別にラテンのルーツを持ってる訳じゃない、山と田んぼとコンビナートに囲まれたような所から出て来た子が、なんでこんな当たり前みたいな顔してフラメンコを踊ってるんだろう。
ストレートラインステップに入る前、両手を体に沿わせながら、ぐっと全身を後ろに引く仕草が印象的です。
それにしても衣装、デザインはともかく、なんであんな目に刺さりそうなどピンクなんだろう…。
ともかく、中性的な線の細さと、それでいて強い目線とが合わさって、ヒロイン・ナイアの危なっかしい激しさの表現に繋がっている……のかも知れません。
今の大ちゃんがこれを踊ると多分また雰囲気が変わるんでしょうね。ちょっと見てみたいかも。
***
あと、関連本についてのまとめを手直ししました。何か記念に買おうと思っている方はご参考に。世界選手権前に出た本を再度読みくらべて、予想と結果の答え合わせを楽しむという手もあります(意地悪)。
http://sea.ap.teacup.com/lightbug/295.html
前半はこちら。
http://sea.ap.teacup.com/lightbug/288.html
***
拍手コメントへの返信。
本当に、口調や言葉使いはさりげないですが、内容を聞くとものすごく冷静に現実を見ていますよね。自分が21歳だった頃のことを思うと、あの若さであれだけきちんとものを見られるのには驚きます。勘の良さもあると思いますが、きっとああいう人たちは普通より何倍も「濃い」経験をして来てるんでしょうね。
最近のスケート界では、フラメンコとかラテン調の曲が流行ってるのか?ということで。
実は前からネタにしたかった、大ちゃんが過去にやってたフラメンコというかフラメンコ調の曲について。
http://www.youtube.com/watch?v=_jZ9uY0edME
2005年のモスクワ世界選手権SP。映画「M:I-2(ミッションインポッシブル2)」より「Nyah(ナイア)」。
DVD→M:I-2(ミッション:インポッシブル2)
サントラ→ミッション:インポッシブル2
この映画が「ミッションインポッシブル」のシリーズの中の1作だということは、この際あんまり気にしなくていいと思います。シリーズの中でもこの2は異色で、ファンからも「らしくない」と今イチの評価らしいので(個人的には好きなんですが)。
大体、トム・クルーズの出る映画は、SFだろうが時代劇だろうが悉く「トム・クルーズの映画」になっちゃうような印象があるんですが、この映画だけは例外で、「トム・クルーズの映画」でもなければ「ミッションインポッシブル」でもなく、「ジョン・ウーの映画」として成立してたような気がします。
ジョン・ウーの映画をほとんど見たことがない私でさえ「なるほど、これがジョン・ウーなのね」と思っちゃいましたから。
基本はドンパチ映画なのですが、アメリカの他のアクション大作のようなあっけらかんとした爽快感はなく、全編のたうつようなウェットな叙情性に彩られています。
エロティックなカーチェイス。ロマンティックな銃撃戦。爆発にすら哀愁が漂うなんてある意味スゴい(ジョン・ウーお約束の鳩も飛びます)。
「Nyah(ナイア)」という曲名はヒロインの名前。この曲は映画では、ヒロインと主人公との出会いのシーンに使われています。
この映画のヒロイン、ナイア・ホールはエキゾチックな混血の美女で、敵の元恋人で職業は泥棒というまるで峰不二子のようなファム・ファタール。いいですね。こういうベタな路線は大好きです。
舞台はスペイン・祝祭の夜。パーティで賑わう豪邸の2階に忍び込み、守備良くお宝を手にして立ち去ろうとするナイアの前に、狙ったように主人公イーサン・ハントが現れます。ていうか狙ってたんですけどね。
2階ではスパイと女泥棒のスリリングな駆け引きが展開し、階下では祭りの最中、狂おしいフラメンコのリズムに乗って、二人を追い詰めるようにダンサーたちが舞い踊る…という場面。実際見て頂ければ分かりますが、バスタブの中で体を密着させてたりして、この場面ムダにエロいです(笑)。
さて。こんな曰くつきの曲で演じる大ちゃんなのですが、いきなり足が攣ってます。
足が攣った状態で4-3コンボを飛んだという、ある意味伝説の演技です(一体いくつ伝説を作る気なんだこの人は)。
なので、所々に足を気にしていたり痛そうな表情が見られます。ていうか普通、足攣っちゃったら痛くて動けないですよね…。
そういう訳で、最初見た時はとにかく「痛そう」という印象が先に立っていたのですが。
よく見ると、エロい。
…2年前なので今よりも当然幼くて、肉体改造前なせいか線も細くて、ランビエール選手の踊ったムンムンした大人の男の色気(とても22才とは思えない!)に比べると如何にも子供。…なのに、エロい。
大人になる手前の、少年特有の危うさとでも言うんでしょうか。細い神経の糸をギリギリまで張りつめて、周囲の世界に対して訳もなく苛立っていて、一歩間違えると糸がプッツーンと切れてそのまま奈落の底まで落ちて行きそうな。エロスというより寧ろタナトス。
視線の強さはやっぱり天性のものなんでしょうか。肩をくねらせて色っぽく踊る仕草もちゃんと様になってるし。別にラテンのルーツを持ってる訳じゃない、山と田んぼとコンビナートに囲まれたような所から出て来た子が、なんでこんな当たり前みたいな顔してフラメンコを踊ってるんだろう。
ストレートラインステップに入る前、両手を体に沿わせながら、ぐっと全身を後ろに引く仕草が印象的です。
それにしても衣装、デザインはともかく、なんであんな目に刺さりそうなどピンクなんだろう…。
ともかく、中性的な線の細さと、それでいて強い目線とが合わさって、ヒロイン・ナイアの危なっかしい激しさの表現に繋がっている……のかも知れません。
今の大ちゃんがこれを踊ると多分また雰囲気が変わるんでしょうね。ちょっと見てみたいかも。
***
あと、関連本についてのまとめを手直ししました。何か記念に買おうと思っている方はご参考に。世界選手権前に出た本を再度読みくらべて、予想と結果の答え合わせを楽しむという手もあります(意地悪)。
http://sea.ap.teacup.com/lightbug/295.html
前半はこちら。
http://sea.ap.teacup.com/lightbug/288.html
***
拍手コメントへの返信。
本当に、口調や言葉使いはさりげないですが、内容を聞くとものすごく冷静に現実を見ていますよね。自分が21歳だった頃のことを思うと、あの若さであれだけきちんとものを見られるのには驚きます。勘の良さもあると思いますが、きっとああいう人たちは普通より何倍も「濃い」経験をして来てるんでしょうね。
前に一度コメントしたことがありましたが、ほとんど始めましてに等しいです。
どうぞよろしくお願いします。
今日改めて書き込みに参りましたのは、「大ちゃんのフラメンコ」の中に『エロス・タナトス』の一文があったからなのです。
そうなのです。わたくしがここ最近テーマにしていますのは「高橋大輔にみる『エロス・タナトス』の考察」に他なりません。これだけでどんぶり3杯いけます(笑)
大輔君の、ネガティブな色気だとか、負の魅力だとか言われている面=タナトスは、かのタラソワ振り付けの「NYAH」から始まったと言えるでしょう。
虹川さんは足がつった2004年のワールドを挙ていらっしゃいますが、このSPは前年からの持ち越しですから、最初滑った時は、ナント17歳ですよ!ホントにさすがはタラソワさん。見る眼があるというか、17歳の少年の全身に宿る魔性を感じとったのでしょうか。
>よく見るとエロイ
以下の部分には激しく同意します。
今だったら…どうなんでしょう。あの危うさがまだギリギリあるかな。見てみたいですね。
ランビエールのフランメンコはよく出来たプログラムで非常に羨ましかったです。大ちゃんで観てみたいと初めて思った他人様のプロでした。(ワールドで生観戦した「本気のランビの迫力」は凄かった)大ちゃんだと、更に情念が深くなるのではないかしら。
似たような系列で、予てより彼に滑って欲しいと思っている楽曲にジプシーキングスの「インスピレーション」(鬼平犯科帳のエンディング使用曲)があります。
エロス・タナトスに関わる深いお話は、又別の機会に。長文失礼いたしました。
こんにちは、お久しぶりです。いつも読んで頂いてたんですね。ありがとうございます。
>>「高橋大輔にみる『エロス・タナトス』の考察」
素晴らしいですね。その研究成果がどこかで発表されたら絶対読みに行かせて頂きます(笑)。
17歳の男の子にこんなエロいプログラムを振り付けたタラソワさんの眼力はスゴいですね。初めてロクサーヌを見た時も「モロゾフさんあんた、ハタチの男の子に何やらせてんですか……」と思ったんですが上には上がいます。さすがは師匠。
自分で自分を傷付けて血塗れになってるような雰囲気が当時の彼にはありましたね。それはそれで曲の雰囲気に合ってたのですが、今ならもうちょっと余裕のある表現もできるかなと思います(笑)。
ランビエール選手のプログラムは彼のために振り付けられたものなので、大ちゃんにはやっぱり大ちゃんを見て、彼からインスピレーションを得て作られたプログラムを演じて貰いたいなーと思います。冒頭の「牛の構え(勝手に命名)」は大ちゃんには合わなそうだし(笑)。
大ちゃんは、普段は呑気そうな顔をしているのに、演技に入ると「情熱」という枕詞が付くほどの気性の激しい雰囲気を見せるのがポイントかなと思います。エロが肉感的というか即物的なエロスだけなく、精神的な部分でのエロスを感じさせる由縁かも知れません。
>>エロス・タナトスに関わる深いお話は、又別の機会に。
またいつかゆっくり聞かせてください。ありがとうございました。
Nyah、私も好きなプログラムの一つです。
あの時期の、キリキリと神経質そうな大ちゃんの演技も「あの時だけのもの」って感じでどうにも好きなのです。
そういえば、ドイツのジュニアの選手で、ルドルフ・ティッシェンドルフくんという子がいるのですが(若い頃のウィアーさんをもっとスマートにしたような、それはそれは美しい子であります)、彼は大ちゃんのNyahを見て「僕もこんなプログラムがしたい!」と、スパニッシュ系のプログラムにしたそうです。
以降、プルシェンコと並んで大ちゃんが彼の憧れの選手らしいです。
なんだか、あのキリキリ舞時期の(^_^;)大ちゃんの演技でも、何かを感じてくれた人がいたんだなーと思うと、嬉しくもあり。
世界選手権、心から疲れました(笑)
でも、こんなことって、あるんだなーって、驚きとともに夢のようなフワフワした気持ちも味わわせてもらいました。
大ちゃんには感謝感謝ですね。
P.S. 大ちゃんはめっちゃリアリストだと思います(^_^;)言葉にできないものは全部スケートで表現してしまうからかな…
こんばんは。コメントはあくまで絡みたいようなネタがあった時にだけするものだと思ってますので、頻度とかは全く気にすることはないですよ~。
Nyahの時期って、彼にとっては辛い時代だったみたいですね。でもそんな時にも(あるいはそんな時だからこそ?)ちゃんと色気も雰囲気もある魅力的な演技は出来てたんですよね。
海外の選手からも憧れて貰えるなんて、自分のことでもないのに何だか光栄ですね。
世界選手権、本当にお疲れさまでした。
大ちゃんに気を送って、みなさん気力を使い果たしてないですか?大丈夫でしたか?
彼は色んな意味で予想外というか予想以上の出来事を現実にしてしまいますね。見ていて本当に退屈しません。
>P.S.
言葉にできないものをスケートで表現してるのは間違いないですね。それプラス、やっぱり感受性の鋭さもあると思います。彼は自分をナルシストと呼びますが、決して自分に盲目になってはいませんね。悲観も楽観もせず、とても冷静な目で自分自身を見ていると思います。