ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

点描!カケアミ!水木しげる!

2010-08-12 17:26:00 | 日記


帰省する前に神戸の兵庫県立美術館でやっている「水木しげる・妖怪図鑑」を見て来ました。

内容は、水木先生の手がけた一連の妖怪図鑑や妖怪辞典などのために書き下ろされた原画の展示・「ゲゲゲの鬼太郎」関連の資料や原稿・水木妖怪の元ネタになった絵巻物や浮世絵の展示・妖怪たちを立体化した「ゲゲゲの森の大冒険」の4部構成。

「ゲゲゲの森の大冒険」はちょっとしたお化け屋敷のような遊べる構成で、子どもさんはここで楽しんで行ってねという感じでしたが(そして実際お子様連れのお客様が非常に多かった訳ですが)、何と言ってもメインはタイトルにもなっている「妖怪図鑑」でしょう。

私が子どもの頃は、鬼太郎のアニメは見ていても水木しげるの漫画を読んでいたという記憶はなく、その代わりに小学館の入門百科シリーズから出ていた「悪魔」「妖怪」「妖精」なんかの入門シリーズに夢中になっていました。
今回の展示は「あの頃見ていたあの絵」の原画も多数あって懐かしいやら嬉しいやら。
境港にも何枚か原画は展示されていましたが、これだけまとまった数を一度に見られる機会はそうありません。

それにしても、生原画の迫力はすごかった。この人やっぱり天才だと思いました。
水木作品の特徴として、「シンプルな線でデフォルメされたキャラクターと、緻密でリアルな背景の対比」がよくあげられますが、背景ホントに凄いです。「マンガ」の描き方じゃなくて、あれはもう「絵画」。
一枚の絵画作品のように、生き生きとリアルに描写された背景の前に、怖いような可愛いようなとぼけた風情の妖怪がいる。

個人的に特に印象に残ったのは「座敷わらし」と「耳無し芳一」です。
「座敷わらし」の方は、背景の蔵というか納屋の描写が…ぶら下げられた植物(ほおずき?)や古びた藁縄など、ほこりの匂いまで漂って来そうなリアルさに圧倒されました。
「耳無し芳一」は有名な話ですが、琵琶を弾く芳一を奥に、平家の亡霊を手前に持って来る構図が独創的。さらっと描かれた芳一と劇画調の亡霊たちとの対比、はらはらと落ちかかる銀杏の葉まですべてにおいて味わい深い。

あと、水木さんはよくモノクロで描いた絵を複製して上から色を付けるということをやっていますが、その色のつけ方もかなり個性的だと改めて思いました。中々他では見られない、中間色を多用した幻想的な色づかいと、センスあふれまくる濃淡のつけかたを心ゆくまで堪能できます。

水木しげる・妖怪図鑑は10月3日まで兵庫県立美術館で開催中。妖怪好きなら是非一度。

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私の手元に、岩波新書から出ている「カラー版 妖精画談」という本があります。
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この本の目次に見開きで出ている絵が、小学館の「妖精なんでも入門」の表紙でした。
当時小学校高学年、ティンカー・ベルのような「妖精さん」は流石に子どもっぽくて恥ずかしいと思いながら何気にこの本を手に取った私は、この表紙の絵がどうにも気になってつい買ってしまい、結果これが水木先生のファンになるきっかけになったように思います。
低い木の下で笛を吹く少年。木には小さな花が咲き、3羽の鳥が止まっている。少年の目が水木マンガ独特のギョロ目で、可愛いような怖いような感じ。不思議なような不気味なような独特の雰囲気で、なんだか目が離せなくなったんですね。
内容はヨーロッパの神話や伝説・叙事詩や民話の中で語られる「妖精」を分かりやすく取りまとめたもので、今にして思うと、子ども向けにしてはえらく本格的な内容だったような。

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ちなみに、8月8日の「ボクらの時代」を見てたら、次週予告が水木ご夫妻&アリャマタコリャマタ氏こと荒俣宏。次回も録画せねば!と気合を入れたのは言うまでもありません。
そんな訳で、現在岡山帰省中です。

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