<明日はある…か?>どうする負担増/1 社員の社会保険料、正直に払えない
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20100920ddm001040067000c.html
2010年9月20日(月)13:00
◇企業、偽装で節減 「退職」「倒産」生き残るため
「まじめに社会保険料を払ってたら、会社がもたないよ」。健康食品会社の女性社長は、いら立ちを抑え、語り始めた。保険料を節減するため手を染めた「偽装工作」。指南したのは、決算を相談していた会計士だった。
手口はこうだ。従業員約10人を表向きには退職させ、厚生年金と健康保険の加入対象から除外。実際には、新たに設立した派遣会社で再雇用し、保険料の会社負担がない国民年金と国民健康保険に移ってもらった。退職させなかった社員4人も給料を半分に過少申告し、年200万円の保険料を節減した。それでも、本業では主力の高級輸入食材の売上高がリーマン・ショックで半減し、09年度は約700万円の赤字に陥った。「悪いことだとは思うけど、やらなきゃつぶれる」
法人企業は厚生年金、健康保険の保険料を従業員と折半で負担しなければならず、個人事業でも常時5人以上が働いていれば加入義務がある。だが、総務省が06年9月に公表した調査結果では、厚生年金に加入すべき事業所のほぼ3割に当たる63万~70万カ所が加入漏れの可能性があり、これらの従業員は約267万人に上る。東京都内の社会保険労務士は「社会保険料を払わなくて済む抜け道はいくらでもある」と話す。
茨城県で運送業を営む男性(50)は9年前、社会保険料を逃れる手口を「社会保険事務所の職員に耳打ちされた」と証言する。営業を続けながら休業を装い約100人の従業員全員が休職したとする「全喪届」を出し、年4000万円の保険料を浮かした。
従業員のうち30人を「全喪」扱いにしている北海道南部の建築業の男性(63)は別の手も使っている。全喪扱い以外の従業員40人に少人数単位で個人事業主グループを作らせ、それぞれと契約する形にし、多い時で年5000万円の保険料を節減した。休業どころか倒産を装って保険から抜け、別会社で事業を続ける偽装倒産も後を絶たない。
「社員の安心のため社会保険は必要」。ゼネコンの2次下請けで鳶(とび)業を営む都内の男性(40)は、同業者のほとんどが加入していない厚生年金と健康保険に88年の創業時から入っている。保険料負担のない同業者はその分、工事単価を引き下げる体力があり、入札で勝つのは容易ではない。「保険料がさらに上がれば、払っていない会社との差は開くばかり。『社員の安心のため』とはいえ、会社がつぶれたら元も子もない」
会社にとっては生き残りのための保険料節約だが、従業員は将来不安にさらされる。厚生年金から国民年金に替わると、保険料は安くなるが年金の平均給付額は3分の1程度に減ってしまう。機械メーカーと委託販売員の契約を結ぶ東京都八王子市の男性(46)は、勤務実態は正社員と同じだが、個人事業主扱いとされ厚生年金に入れない。「会社は保険料コストを削りたいのだろうが、老後はどうなるんだろう」
会社が保険料を節約する一方、生活苦から国民年金にも国民健康保険にも加入しないケースも多い。従業員が社会保険に入っていない茨城県の建設会社の女性役員(35)は「若い社員は目の前の生活費確保で精いっぱい。保険料を払う余裕はない」と話す。
国民のセーフティーネット(安全網)であるはずの社会保険だが、保険料負担の重さが中小・零細企業や働き手を苦しめ、その役割を果たせなくなりつつある。
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少子高齢化など社会構造の変化で増え続ける社会保障費。今の日本の社会保障を維持するなら、医療・介護・年金の社会保険料の引き上げか、増税を国民が受け入れるしかない。しかし、「消費税10%」を打ち上げた菅直人首相は、参院選大敗後、沈黙を決め込んでいる。税制論議が進みそうにない中、保険料をさらに引き上げる余地はあるのか。負担にあえぐ、現場を歩いた。
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確か15年程前にも、こういうのありましたね。
その時の手口は、実際の標準報酬月額より低く届出をするというものでした。
※社員は毎月の給与から正規の保険料を天引きされるけど、会社が納める保険料は低く届けられた(嘘の)標準報酬月額により算出された保険料なので、その差額は会社のものになるというものでした。
当然、社員が退職後に受け取る年金は実際に受け取れる筈だった金額より少なくなります。
丁度その頃、企業による消費税の未納もニュースになっていました。
税務署に顔を向けた税理士さん(汗)にお任せしている弊社には、不思議で仕方無いニュースでしたが、その後消費税未納の報道は無いので、皆さんきちんと納めておられるのでしょうね。
経営者の立場から言うと、確かにこの法定福利費は今の経済状況に置いては非常に重い負担です。
法定福利費とは何?
http://www.a-i-s.co.jp/_src/products/Outsourcing/Welfare%20program/Welfare%20program_1.htm
ここに書かれているように、企業(会社)の負担は本人以上になります。
毎月、あなたのお給料から4万円の法定福利費が天引きされているとしたら、あなたの会社はそれ以上の金額をあなたの為に支払っています。
数名の社員ならまだしも、100人の社員が居ればそれだけで月額400万の法定福利費が必要です。
けれども、このことを知らない人も多いです。
そして又、特に若い人の中には、「そんな目に見えない先の保障よりも、目の前の現金の方が良い」と言う人も多いです。
(うちの店でも昔雇っていた子が「○○板金に就職した友達の給料の方が1万円高い」と言うので、「そこは労働保険にも未加入だし、国民年金も健康保険も全部自分で加入しなくてはいけないんだよ」と説明したのですが、やはり自分が直接手にする現金の方が大事のようでした)
社会を支えていく為の社会保障費。
必要なことは間違いないでしょう。
企業は社員の生活を含め社会貢献からいっても、当然定められた保険料負担の責を負わなければならない。
しかし、その当然のことが出来ない世の中です。
何故か?
グローバルスタンダードの名の下に市場原理主義が幅を利かし、競争社会に突入してしまった。
問題は、その競争が限度を超えてしまっていることにあると思う。
この「社員の保険料、正直に払えない」の記事にあるように、偽装を行っている(それが可能な)そんな状況の中で、
保険料の引き上げや増税を行って、本当に上手く行くのでしょうか・・・?。