2006年12月3日(日)
#338 フレディ・キング「フレディ・キング・イズ・ア・ブルース・マスター」(east west japan AMCY-6132)
フレディ・キング、コティリオンにおける初のアルバム。68年録音、69年リリース。キング・カーティスによるプロデュース。
まずはジャケット写真に注目。「ニカーッ」という感じの、満面の笑みが実にいい。このジャケ写だけで、リスナーを買う気にさせる、そんな一枚だ。
バックは、名サックスプレイヤーにしてプロデューサー、キング・カーティス率いるニューヨークの実力派ミュージシャン連。ホーンのデイヴィッド・ニューマン、ジョー・ニューマン、ギターのビリー・バトラー、ベースのジェリー・ジェモット、ドラムスのノーマン・プライドといった、名うてのプレイヤー達が勢揃い。
アナログ盤のA面にあたるM1からM6は歌ものオンリー。フレディ自身のオリジナルM1をはじめ、リトル・ミルトンのナンバーM2、バターフィールド・ブルースバンドの演奏でもよく知られるアラン・トゥーサン作のM6など、バラエティに富んでいる。
スローのM1、M4、M5あり、アップテンポのM2あり、カントリー・バラード調のM3あり。いずれも、非常にこなれた歌いぶりで、聴いていて心地よい。
個人的には、M6が一番聴きごたえがあると思う。イントロのギターソロからフレキン節全開、歌も力みなくナチュラルな感じ。彼らしさが最も発揮された一曲となっている。
アナログB面6曲は、M12をのぞき、インスト曲で構成。
十八番のM7の再録に始まり、フレディのオリジナル、プロデューサーのキング・カーティスの作品をとりまぜた構成。
キング・カーティスはファンキーなブルース・インストゥルメンタルの先駆者のひとりだが、彼のアレンジにより、おなじみの「ハイダウェイ」もすっかり装いを新たに、ヒップなファンク・ブルースに仕上がっている。
ジェモットのビンビンなベースに導かれ、フレディのファンク魂が炸裂! いやー、ソロがめちゃカッコええ。
ビートが別のものになると、ここまで印象が変わるのか!と思いましたわ。
実はこの曲、60年代初頭、キング・カーティスがキャピトル在籍時代に、すでにカバー録音していた。そのころから互いに引きつけあうものがあったんだろうね、フレディとキング・カーティスには。
タイトルがそのものズバリ!のオリジナル「ファンキー」も実にイカした一曲。
もう、カラダがビンビンに反応しちゃいます。
キング・カーティス提供の「ホット・トマト」「スウィート・シング」もごきげん。ブルースにファンクなスパイスが加わって、ピリ辛な美味さだ。
ラストもキング・カーティスのスロー・バラード「レット・ミー・ダウン・イージー」だが、これは歌もの。この曲がまたいい。リラックスしたムードで、じっくりと歌い上げるフレディ。
締めくくりにふさわしい、快唱であります。
才能に満ちあふれた「二人のキング」の邂逅により生まれた快作。聴いてて快く、これほど「快」の字がピッタリはまる一枚も珍しい。
というわけで、聴かない手はないのであります。
<独断評価>★★★★