2007年2月25日(日)
#348 エアロスミス「ROCKS」(COLUMBIA CK 34165)
エアロスミス、4枚目のアルバム。76年リリース。ジャック・ダグラスとエアロスミスの共同プロデュース。
前作「TOYS IN THE ATTIC」(75)で世界的にブレイク、その翌年にリリースされ、エアロの人気を不動のものとした「ダメ押し」的な一作。
ヒット・シングル「BACK IN THE SADDLE」をフィーチャーした9曲。全曲、メンバーによるオリジナルである。
本盤にはいかにもエアロらしいハードなサウンドが全編につまっており、もう王者の貫禄さえ感じる。
いまでこそエアロは、「バラードが得意なおやじバンド」と成ってしまったが、本作でのエアロは「BACK IN THE SADDLE」「LASTCHILD」「RATS IN THE CELLAR」のようなシンプル、ストレートで超ヘヴィーなナンバ-でガンガン押してくる。そう、究極の押し相撲ロック。
イキのよさでは誰にも負けんぜ! そういう意気込みがビンビン、伝わってくるんである。
それにしても、ジョーとブラッドのディストーション・ギターが実にいい音なんよ。ほとんどエフェクター類に頼らず、ギター本体とアンプのマッチングだけで出している感じの歪み。昔からこの音には憧れてたなあ。
彼らはフェンダーよりもギブソンのギターを好んで使っていたので、筆者がギブソン派になったのは彼らの影響が大といえそう。
別にスティーヴンの歌も嫌いなわけではないが、エアロに関しては、そのギター・サウンドが好きだからファンになったといえる。
「COMBINATION」「SICK AS A DOG」「LICK AND A PROMISE」といったあたりの曲では、コーラス・ワークもフィーチャーしており、ストーンズあたりとはまたひと味違ったハーモニーが聴ける。スティーヴンとジョーのコンビネーションが、実にイカしてるのよ。
筆者的に気になったのは、「NOBODY'S FAULT」。タイトルにいかにもブルースの影響が感じられるからね。でも曲自体は、ブルースというよりはあくまでもエアロ流のハード・ロック。泣きの入ったサビ部分に、彼ららしさを感じる。
シンコペを効かせ、早めのテンポでグイグイとドライヴする、エアロお得意のパターンなのは「GET THE LEAD OUT」。独自の翳りのあるメロディ・ライン、そしてカチッとまとまったタイトなバンド・サウンド、これぞエアロです。
ごくごくストレートなノリのロックン・ロール・ナンバーは「LICK AND A PROMISE」。でも、やっぱり他のバンドとはひと味違ったモノを感じる。メロにせよ、リフにせよ、必ずエアロ流の「ひとひねり」が加えてあるのだ。
ラストは本盤唯一といってよいバラード・ナンバー、「HOME TONIGHT」。ピアノをスティーヴンが担当。当時は海を隔てたライバル、クイーンがお得意としていたスタイルですな。当時の彼らには、いまひとつしっくりとこないというか、消化不足の印象は否めません。
この系統の曲が、後のエアロの主たる路線になろうとは、当時はまったく予想がつきませんでした(笑)。
以上、エアロの魅力が最大に引き出された一枚。他の多くのハード・ロック・バンドのお手本、目標となったスーパー・ヒット・アルバムというだけでなく、30余年経た今でも決して古さを感じない、エヴァグリーンなアルバム。
曲よし、歌よし、演奏よし。掛け値なしの名盤。一家に一枚、ぜひどうぞ。
<独断評価>★★★★★