2007年2月4日(日)
#346 ZARD「永遠」(B-Gram JBCJ-1021)
ZARD、8枚目のアルバム。99年リリース。
坂井泉水のソロ・プロジェクト、ZARDは1990年にスタート。翌年2月、シングル「Good-bye My Loneliness」でデビュー。以来、16年間で42枚のシングル、11枚のオリジナル・アルバムを発表している。
この一枚は、ZARDがデビュー8周年を迎え、人気・売上げ、ともにピークだったころのアルバム。前期ZARDの、集大成的な作品といっていいだろう。
ZARDの魅力は、なんといっても坂井のあの「声」にある。
けっして声量が豊かなわけでもないし、声域が広いわけでもないのだが、その透明度の高い声は多くの人を魅了してやまない。
高音を出そうとすると、やや苦しげな発声になってしまうのだが、それさえも逆に魅力にしてしまうぐらい、独自な個性を持つ声なのである。
その線の細さ、やや拙い感じがむしろ、いわゆる「実力派」の堂々たる発声をする女性シンガーたちにはない、チャームの源なのだよなあ。
これはもう、英米系の女性シンガーには、ぜったい真似の出来ない世界だといっていい。
さて本盤は、21枚目のシングル「風が通り抜ける街へ」から27枚目の「GOOD DAY」に至るまでのヒット7曲(すべてチャート第3位以上をクリア、1位も2曲!)を含む13曲で構成。
詞は例によって坂井が全曲手がけているが、曲のほうは織田哲郎をはじめ、徳永暁人、福山廣也、綿貫正顕、栗林誠一郎、北野正人、三好誠、大野愛果ら、ビーイング系8人の作曲家に担当させている。
この複数コンポーザー・システムが功を奏していて、曲の印象が偏るのをうまく防いでいるように思うね。
単一のプロデューサーに楽曲作成を依頼してしまうと、トータリティが出せる半面、どれもこれも似たような曲(特にバラード系の曲)だらけになりがちなので、これはGJだと思う。
その中では、リズムのはっきりした曲(M2、11、12)で抜群のうまさを発揮しているのが、織田哲郎。明るい、テンポのある曲作りでは、彼の右に出る者はいないといっていい。
一方、バラード系の曲でいい味を出しているのが、徳永暁人、綿貫正顕、栗林誠一郎あたり。
ほとんど無名に近い、福山、三好、北野(ex.day after tommorow)といった連中も、それなりにがんばっているけどね。
自分的にベスト・トラックなのは「風が通り抜ける街へ」。スカ・テイストのたたみかけるようなシンプルなリズム、ピアノ中心のちょっとファニーな雰囲気のアレンジ(徳永担当)、そして坂井の例によって高音部で泣きの入ったボーカル。非の打ちどころのない、完全無欠のキラー・ポップ・チューンであります。
この6日で40才を迎える坂井泉水。見た目では、とてもそんな年齢になったとは思えないけどね。同性にも、そしてもちろん異性にも憧れの目で見続けられている彼女、かつてのものすごい人気はほぼ鎮静してしまったけど、これからもマイペースで活躍していってほしいもんだ。
英米ロックにはない、日本ならではのポップ・ミュージックというものがあるとすれば、ZARDこそはその代表選手なんだと思う。
<独断評価>★★★☆