僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ミリンダ…運命

2006年08月21日 | SF小説ハートマン
こいつらの獲物を戴いちまおうと待ち伏せてたが、ハンターの奴も来てるとは思わなかったぜ。それにしてもあっけなくやられやがって、情けねえ奴らだ。ところでこいつは何者だ、セクションのハンターかい?いい腕してやがるけど…

FOXの奴隷狩りにルールはない。仲間の仁義や取引という言葉も通用したためしがない。ただ強いもの、運がいい者だけがご馳走を手にすることができるという訳だ。
今回運良く宝くじを当てたのは、強化アラミド繊維をしなやかに織り上げた鞭を武器にしスネークと呼ばれる無頼のFOXだった。スネークの狙いは2匹のFOXが狩ろうとしている奴隷だけだ。
うまく拉致したところでいつものように横取りする手はずだった。

ミリンダの存在は全く感知していなかった。それが幸いして奴もまたミリンダから感知されることがなかったのだ。運命とはそんな風に転がっているものだ。

締め付けた鞭状の武器をはずすとミリンダの体をブッシュブーツの先で裏返す。
携帯ライトを当てのぞき込んだFOXが一瞬後ずさる。
こ、こいつは「トラバサミ」だぜ。こりゃたまげた。てめぇのおかげでおまんま食い損なった事が何度もあったぜ。この野郎、いやこのアマか。

鋼の入ったブッシュブーツで何発か蹴りあげる。
口と鼻から粘った血を滴らせミリンダの体がよじれた。

おっ、まだ生きてやがったか。ちきしょう一発ヤッてやろうか、えぇ、おいトラバサミさんよぅ。とはいえ、てめえは地球人のなれの果てだよな。俺様とはサイズが違わあ。
今日は本当についてるぜ。奴隷なんざぁいつでも手に入れられるさ。トラバサミとっ捕まえたんだぜ、いい金になるぜこいつぁ。一発どころが何十発も楽しめるって事だ・・・。

スネークはミリンダに応急処置を施し大切な戦利品にこれ以上傷が付かないようストレッチャーに固定した。奴にしてはとびきり丁寧に扱ったつもりだが…ミリンダに意識がないのが幸いと言って良かった。
コメント (3)
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