「な……なにやってるの、あのコ(-。-;」
「ちょっと穂乃果、そんなところで踊ってるなんて恥ずかしいからやめなさいよ」
「あ、真姫ちゃん」
「拾ったのかなんだか知らないけど棒を振り回すなんて小学生男子じゃないんだから」
「拾った棒だなんて失礼だなー ほら見て見てー 穂乃果はついに伝説の財宝の鍵を手に入れたんだよ」
「はぁ? なに言ってんのイミワカンナイ」
「じゃじゃーん ほらほら」
「ね、これってきっと宝箱の鍵だよね? それとも旧家の蔵の鍵とかかな? もしかすると徳川埋蔵金かもしれないよー⁉︎」
「いやいやいや、それコンビーフの缶を開ける巻き取り鍵だから」
「………………」
「何よ?」
「なーんだ 知ってるのかぁ」
「そのくらい私だって知ってるわよ。 で、どうしてその巻き取り鍵を嬉しそうに振り回しているのよ」
「嬉しいんじゃなくて悲しんでるんだよ真姫ちゃん! だってノザキのコンビーフ缶がプラスチックになっちゃうんだよ? もうクルクルできなくなるんだよ?」
「よかったじゃない、開けやすくなって」
「えっ? あれ?」
「で、どうしてそんな巻き取り鍵で遊んでるのかってことなんだけど」
「いや、だからもうすぐ無くなっちゃうからね……」
「うん、それは知ってるってば。 私が聞きたいのはどうしてそんな巻き取り鍵なんかを大事そうにもっているのかってことよ!」
「だからね、もうすぐこれがね…… って、なぜなんだろう? 同じ日本語で会話しているはずなのにまったく話が通じていない気がする……」