ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

日本経済新聞紙の「日本の針路2019 3」の「成長戦略どう描く うつろう軸足」を拝読しました。

2019年07月28日 | 日記
 2019年7月25日に発行された日本経済新聞紙の朝刊一面に掲載されたコラム「日本の針路2019 3」の「成長戦略どう描く 財政・金融うつろう軸足」を拝読しました。

 先日7月21日に行われた参議院選挙での問題点を再考するのが、コラム「日本の針路2019」の狙いです。

 今回は、7月22日に参議院選挙の結果を受けて、安倍晋三首相が記者会見で語った「リスクが顕在化すれば、機動的なマクロ経済対策をちゅうちょなく実行していく」と語った意味を検証しています。

 このコラム「日本の針路2019 3」は、日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版にも同様の見出しで掲載されています。



 この7月22日に安倍首相が語ったことは、10月に実施する消費税の8パーセントから10パーセントへの引き上げ時に、中小店舗で実施するポイント還元策や低所得世帯向けにプレミアム付き商品券を発行することを意味しています。

 言い換えると、こうした景気の下支え策には既に2兆円を投じることが決まっています。これにさらに景気の下支え策に追加策を打ち出すと「増税実現のために、実質減税する」ことになります。

 自民党内には、さらに「数年間で20兆から30兆円の景気対策を・・」「国の当初予算を毎年3から4パーセント拡充するべきだ・・」という声が上がっていると、記事は伝えます。

 この毎年3パーセント増の予算が5年間続くと、国の支出額は現在より、16兆円増えます。このシナリオは想定外のものです。

 今回の消費税の10パーセント増税は、国の支出が10兆円縮まるとの計画でした。国と地方の基礎的財政収支の赤字が縮まずに、逆に膨らむと、2025年度に目指していた基礎的財政収支の黒字化は見通せなくなります。

 この財政政策への期待の高まりは、日本銀行による金融政策の行き詰まりつつあることの裏返しです。安倍政権が発足してから、日銀による異次元緩和策が行われました。

 しかし、マイナス金利による銀行の事業収益の低下などの副作用が大きくなり、日銀の政策余地は小さくなっています。

 現在強まっている金融政策に期待が高まっている背景は、公共投資による経済波及効果が低下した財政政策の限界が強まったことでした。

 さらに、自動運転や人工知能(AI)などの国家戦略特区法による地域限定で実現する構想の実現もあまり進んでいません。

 「岩盤規制に穴を開ける」との謳い文句は別の意味で低迷しています。

 富士通総研の専門家は「イノベーションの世界的な潮流から(日本は)取り残されてる」と、経済全体での技術革新の遅れを嘆きます。

 こうした「経済全体での技術革新の遅れ」は、今回の参議院選挙でどこまで争点になったのか・・不勉強で分かりません。

 日本の近未来を描く成長シナリオを打ち出さない政党が多かったのでしょうか・・。不勉強で分かりません。


人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの新刊「シーソーモンスター」を読み終えました

2019年07月28日 | 
 人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの新刊「シーソーモンスター」を読み終えました。

 この単行本は、中央公論新社が2019年4月10日に発行しました。価格は1600円+消費税です。



 実は、既に軽く一通り読み終えていたのですが、7月27日は紀伊半島に上陸した台風5号の影響によって、関東地方は風が強く、晴れたり曇ったりという変則的な天気になりました。このため“晴耕雨読”風に読み返してみました。

 この単行本「シーソーモンスター」は、中編「シーソーモンスター」と中編「スピンモンスター」の2編で構成されています。

 この二つの中編は、古代から未来までの日本を舞台に「海」と「山」の一族が争い続けているという背景が基に書かれた小説です。でも、実際には小説の中身にはそれほど強くは反映していません。

 今回は、中編「シーソーモンスター」を読んだ感想です。いきなりネタばらしがあります(未読の方は以下は読まないことをお薦めします)。

 この中編「シーソーモンスター」の時代背景は1980年以降の日本の高度成長期の社会です。日米貿易摩擦の記事が新聞に載っていると始まります。

 日米貿易摩擦では、日本と米国の貿易不均衡を是正するために、1985年のプラザ合意によって、ドル売りの協調介入し、円高誘導をしました。この結果、1米ドルが230円ぐらいから一気に130円ぐらいに跳ね上がりました。
 
 その後、1987年には米国の包括通商法301条に基づき、日本製のコンピューターやカラーテレビ、電動工具の3品目に100パーセントの報復関税をかけたころです(今の米国と中国の報復関税の先駆けです)。

 日本は好景気で、残業もいとわずに猛烈に男性社員が働いていた時代です。

 この中編「シーソーモンスター」の主人公は中堅の製薬企業に勤めている北山さんです。そして4年先輩の綿貫さんに飲み屋で「同居してる実の母セツと、妻の宮子の仲がよくない嫁姑問題」の苦労を訴えます。

 以下はネタばらしです。妻の宮子は、身寄りがない子ども時代を過ごしてきたため、好青年の北山さんと東海道新幹線内で知り合い、結婚までこぎ着けます。

 北山さんが婚約者の宮子さんを両親に紹介するために、あるホテルのテールームで待ち合わせます。この時に、婚約者の宮子は、あるホテルのテールーム内にいた敵を見抜き、トイレで相手を片づけます。

 実は、婚約者の宮子さんは日本の諜報部隊の一員で、なかなかの腕前の持ち主です。

 そして、なんと実の母セツも、その日本の諜報部隊の元一員でした。あるホテルのテールーム内にいた敵を見抜き、トイレで相手を片付けた際には不十分な対応で、この義母のセツが裏側で相手を完全に片づけていたのでした。

 話は進んで、中堅の製薬企業のいいお得意さんの大手病院の二代目院長を、4年先輩の綿貫さんから紹介されます。

 実は、大手病院の二代目院長は病院の売上げをごまかし、脱税などをして不正に儲けていました。4年先輩の綿貫さんが協力した成果でした。

 この大手病院の二代目院長は病院の売上げをごまかしている事実に気がついた北山さんは、4年先輩の綿貫さんに相談します。

 この結果、4年先輩の綿貫さんと二代目院長は、この不正の罪を北山さんのしたことにして闇に葬ろうとします。

 このため、北山さんは殺されかけます。この事件に乗り込んできたのが、妻の節子と母のセツでした。

 拉致された北山さんは、偶然、ゴミ袋を顔に被せられ、視界を失います。気がつくと病院のベットに寝ていました。怪我をしたからです。

 病室で何となく目が覚めると、そばに妻と母がいたようで、声が聞えました。その声は二人が仲が良さそうな雰囲気でした。

 でも、怪我が直ると、また元の不仲な義母と嫁に戻りました。ここまでの話はテンポ良く進み、伊坂幸太郎さんらしい軽妙なストーリーです。

 北山さんが退院すると、義母は同居を止めて別居することにしました。義母は元々、絵が上手だったので、カタツムリを主人公にした絵本をつくることになりました。

 絵を義母が担当し、物語などの文書を妻の宮子が担当する役割分担です。この絵本はヒットしたそうです。この絵本の話は、もう一つの中編「スピンモンスター」に登場します。