奥泉光さんの最新作の小説「虫樹音楽集」(発行は集英社)を読了しました。最新作といっても、発行日は2012年11月5日と約3カ月前です。いくつかの有力新聞紙の日曜日の書評欄に取り上げられていた記憶があり、話題を集めた小説です。
いつも利用している大型書店で見かけたら購入するつもりでした。しかし、たまたま、奥泉光さんの代表作の小説「シューマンの指」の文庫本を見つけたために、この最新作「虫樹音楽集」を購入しそこなったようです。
この小説「虫樹音楽集」は、ジャズ・サックスプレーヤーのあだ名が“イモナベ”という渡辺猪一郎の遍歴を巡る、9編の短編・中編小説の連作集です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/18/46e066171b903f9d674fa49a842b25f2.jpg)
カフカの小説の「変身」を下敷きにし、ジャズ演奏者が“昆虫が変態して進化する”ように変身する話です。小説の変身の主人公である“グレゴール・ザムザ”という名前が読者の記憶にすり込まれます。
第一話の「川辺のザムザ」は、ジャズ・サックスプレーヤーの渡辺猪一郎が米国修行を終えて、日本でジャズ演奏を再開しながら、古いジャズのスタイルにジャズファンから忘れられ、首都圏での演奏スポットで見かけなくなるという基調となるストーリーです。
主な演奏スポットからは消えたが、実は多摩川の河川敷きにホームレスとして住みつき、近くの河川敷きで独自の演奏スタイルで観客の有無に関係なく、サックス演奏していたというのが、第一話です。2006年1月に掲載された第一弾です。
第二話の「地中のザムザとは何者?」は、ロシアの白海沿岸から発掘された石炭紀の大型節足動物の化石を巡る学術論争から始まります。この短編の話の流れは、よく分かりません。たぶん、読者を煙に巻くのが目的の短編です。
第四話の「虫王伝」は、東京都の東京スカイツリーを人間大の昆虫が登って行ったとの目撃談から始まります。オーストラリアの研究開発ベンチャー企業が開発したレスキューロボット説や小型核爆弾を搭載した自爆式自走爆雷説などが紹介されます。これに、ユダヤ系米国人のザムザという音楽家が“虫樹”という地球の昆虫が本能的に求める木の話と絡みます。あまり、普通の論理では理解できない話の展開です。
第五話の「虫樹譚」は中核の小説と感じました。人間と昆虫の“共生”を中核とした訳の分からない話の展開です。この第五話は2009年2月に掲載されました。そして第九話が2012年5月に掲載されて、連作が完成します。
この連作の小説は互いに共通した主人公がいて、関連しています。しかし、他の話の疑問点を解く訳ではなく、どちらかというと疑問が深まり、もっと解らなくなります。
奥泉光さんには、熱烈なファンが多いと思います。ところが、WebサイトのAmazonの「虫樹音楽集」の紹介ページには、読者のコメントが二つしか投稿されてなく、中身も礼賛ではありません。あまりにも非論理的な話の展開に、ファンが戸惑っていることを表していると感じました。
いつも利用している大型書店で見かけたら購入するつもりでした。しかし、たまたま、奥泉光さんの代表作の小説「シューマンの指」の文庫本を見つけたために、この最新作「虫樹音楽集」を購入しそこなったようです。
この小説「虫樹音楽集」は、ジャズ・サックスプレーヤーのあだ名が“イモナベ”という渡辺猪一郎の遍歴を巡る、9編の短編・中編小説の連作集です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/18/46e066171b903f9d674fa49a842b25f2.jpg)
カフカの小説の「変身」を下敷きにし、ジャズ演奏者が“昆虫が変態して進化する”ように変身する話です。小説の変身の主人公である“グレゴール・ザムザ”という名前が読者の記憶にすり込まれます。
第一話の「川辺のザムザ」は、ジャズ・サックスプレーヤーの渡辺猪一郎が米国修行を終えて、日本でジャズ演奏を再開しながら、古いジャズのスタイルにジャズファンから忘れられ、首都圏での演奏スポットで見かけなくなるという基調となるストーリーです。
主な演奏スポットからは消えたが、実は多摩川の河川敷きにホームレスとして住みつき、近くの河川敷きで独自の演奏スタイルで観客の有無に関係なく、サックス演奏していたというのが、第一話です。2006年1月に掲載された第一弾です。
第二話の「地中のザムザとは何者?」は、ロシアの白海沿岸から発掘された石炭紀の大型節足動物の化石を巡る学術論争から始まります。この短編の話の流れは、よく分かりません。たぶん、読者を煙に巻くのが目的の短編です。
第四話の「虫王伝」は、東京都の東京スカイツリーを人間大の昆虫が登って行ったとの目撃談から始まります。オーストラリアの研究開発ベンチャー企業が開発したレスキューロボット説や小型核爆弾を搭載した自爆式自走爆雷説などが紹介されます。これに、ユダヤ系米国人のザムザという音楽家が“虫樹”という地球の昆虫が本能的に求める木の話と絡みます。あまり、普通の論理では理解できない話の展開です。
第五話の「虫樹譚」は中核の小説と感じました。人間と昆虫の“共生”を中核とした訳の分からない話の展開です。この第五話は2009年2月に掲載されました。そして第九話が2012年5月に掲載されて、連作が完成します。
この連作の小説は互いに共通した主人公がいて、関連しています。しかし、他の話の疑問点を解く訳ではなく、どちらかというと疑問が深まり、もっと解らなくなります。
奥泉光さんには、熱烈なファンが多いと思います。ところが、WebサイトのAmazonの「虫樹音楽集」の紹介ページには、読者のコメントが二つしか投稿されてなく、中身も礼賛ではありません。あまりにも非論理的な話の展開に、ファンが戸惑っていることを表していると感じました。
普通の作家が書いたら、もっと支離滅裂なストーリーになり、まとまらないと思います。
博学であることも、この小説は強く感じさせます。
でも、奥泉光さんの筆力がなければ、これほどの完成度に達しない中身だと感じました。