最近のさまざまな書評で紹介されたSF(サイエンス・フィクション)小説の「百年法」(発行は角川書店)を読みました。この単行本の発行日は2012年7月31日です。いくつかの書評で注目本として紹介されたためか、最初に行った大型書店では売り切れていました。
山田宗樹さんが執筆した「百年法」は、上下2巻合わせて、合計800ページ強とかなりのボリュームです。
かなりの長さですが、読み始めたら面白く、一気に上下2巻を読んでしまいました。
あらすじは、「1945年に日本は太平洋戦争に負けて、米国が占領し支配下に置いて共和国にする。この際に、米国内で実用化に成功していたヒト不老化技術HAVIを日本人に適用する。HAVIを導入すると、人間は歳をとらず、不死になるため、“百年法”という法律を策定し、HAVIを適用した人間を100歳になると、安楽死させる仕組みを導入する。不死の人間が増えすぎると、後に産まれた若者が活躍する場がなくなる、あるいは子供を産まなくなるなどの不具合が生じるために、“百年法”の施行が不可欠になる」というものです。
上巻は、HAVIを導入し、百年法の施行実施まで1年を切った2048年から始まります。時の内閣を抱えている政党は、百年法の施行による不人気によって、次の選挙に負けて政権交代に陥ることを恐れ、百年法の施行を本当に実施するのかどうかを国民投票にかけます。その結果は、百年法の施行を一時凍結するというものでした。
百年法の施行を一時停止するという事態に、政府の内務省の担当者が一計を案じて、弱小政党を盛り立てて、政権を握り、百年法の施行を断行する政策を実行します。下巻は、百年法の施行に反対する反乱者グループなどの話です。
読み始めたら面白く、一気に上下巻を読んでしまったと報告しました。ぐいぐい読ませる筆力はたいしたものです。でも、再読してみると、細部を構成する各エピソードがその後の布石になってないものが多く、結果的にはこのSF小説は習作だったと感じました。
例えば、米国が日本にHAVIを導入した理由が不明です。米国でも導入しているのですが、その効果や問題点などの言及もなく、アイデア倒れです。上巻の初めに、日本は食料難になり、昆虫を原料とする“昆虫食”の話も出てくるのですが、ここで完結しています。
さらに、日本の製造業は実力不足で、米国や韓国などの製品に比べて、性能が劣り、故障がちですが、その理由も不明で、後半の話につながっていません。いろいろと刺激的なエピソードには満ちているのですが、小説の構成には関与していません。小説の骨子は、独裁政権が陥る類型的な話です。
ヒト不老化技術HAVIという刺激的なアイデアにおぼれた、大変惜しい内容の小説になっています。
山田宗樹さんが執筆した「百年法」は、上下2巻合わせて、合計800ページ強とかなりのボリュームです。
かなりの長さですが、読み始めたら面白く、一気に上下2巻を読んでしまいました。
あらすじは、「1945年に日本は太平洋戦争に負けて、米国が占領し支配下に置いて共和国にする。この際に、米国内で実用化に成功していたヒト不老化技術HAVIを日本人に適用する。HAVIを導入すると、人間は歳をとらず、不死になるため、“百年法”という法律を策定し、HAVIを適用した人間を100歳になると、安楽死させる仕組みを導入する。不死の人間が増えすぎると、後に産まれた若者が活躍する場がなくなる、あるいは子供を産まなくなるなどの不具合が生じるために、“百年法”の施行が不可欠になる」というものです。
上巻は、HAVIを導入し、百年法の施行実施まで1年を切った2048年から始まります。時の内閣を抱えている政党は、百年法の施行による不人気によって、次の選挙に負けて政権交代に陥ることを恐れ、百年法の施行を本当に実施するのかどうかを国民投票にかけます。その結果は、百年法の施行を一時凍結するというものでした。
百年法の施行を一時停止するという事態に、政府の内務省の担当者が一計を案じて、弱小政党を盛り立てて、政権を握り、百年法の施行を断行する政策を実行します。下巻は、百年法の施行に反対する反乱者グループなどの話です。
読み始めたら面白く、一気に上下巻を読んでしまったと報告しました。ぐいぐい読ませる筆力はたいしたものです。でも、再読してみると、細部を構成する各エピソードがその後の布石になってないものが多く、結果的にはこのSF小説は習作だったと感じました。
例えば、米国が日本にHAVIを導入した理由が不明です。米国でも導入しているのですが、その効果や問題点などの言及もなく、アイデア倒れです。上巻の初めに、日本は食料難になり、昆虫を原料とする“昆虫食”の話も出てくるのですが、ここで完結しています。
さらに、日本の製造業は実力不足で、米国や韓国などの製品に比べて、性能が劣り、故障がちですが、その理由も不明で、後半の話につながっていません。いろいろと刺激的なエピソードには満ちているのですが、小説の構成には関与していません。小説の骨子は、独裁政権が陥る類型的な話です。
ヒト不老化技術HAVIという刺激的なアイデアにおぼれた、大変惜しい内容の小説になっています。
正に、事実は小説より奇なりです。
ただし、確かに全体構成の流れに関係がない、細部の話がいくつかあります。骨子は意外と単純と思いmした。
とても読みやすく、確かに一気に読めます。
でも、ヒト不老化技術HAVIの仕組みの説明もなく、構成要素は粗い表現が多いと感じました。
再読に耐えるのかは疑問です。