嘗て満開のハナショウブの撮影に出掛けた「横須賀しょうぶ園」です
しょうぶ園で思い出すのは、横浜三渓園、大船フラワーセンター、東京水元公園 等など
毎年この時期に出掛け、きれいなハナショウブの撮影を楽しんだ記憶が蘇って来ます
泉の森のしょうぶ園へ出掛けた折の「アヤメ・ハナショウブの見分け方」が掲示されていました
いつもなら撮影に専念して楽しむんだけれど、ふとした事から、ハナショウブってオシベや
メシベは何処にあるんだろうか?受粉の仕方はどうなんだろうか?と気になり調べることにしました
▶ ハナショウブを真上から撮影した画像です ハナショウブでは花の各部の名称は独特の用語が
使われるそうです ですので、まづ花の各部の名称に使われる用語から始めます
花の各部の場所と名称が分れば、受粉に至る様子が推測できます
上の画像で、一般に花びらと呼ばれる外側にある大きな花びら(花弁)は外花被と呼ばれ
3枚あります 外花被ハナショウブ独特の黄色い斑紋があり蜜標と呼ばれます
更に 3ケ所の密標に向かって中央より伸びている(白く写っている)部分がメシベで
花柱枝と呼ばれ 3枚あります 花柱枝はメシベ先端部が3つに割れて出来たものだそうです
ハナショウブの側面から内花被を撮っています 外花被の間に小さい花びらのように見える
のが内花被と呼ばれ 3枚あります 写真では手前の水平で紫色に映っているのと立ち上がって
紫色に映っている部分が内花被です
ハナショウブの側面から撮っています 黄色い蜜標に向かって立ち上がっているように
見えるのが花柱枝(メシベ)で、その上にヒラヒラに見えるのがずい弁です
先の画像と重複するような画像ですが、雨上がりの朝 濡れた重みで折れて落下していた
花を拾い 手持ち撮影しました その際手前の外花被1枚が折れて外れてしまいました
画像の正面に真っ直ぐに立ち上がっているように見えるのがメシベで、その内側に
黄色く見えるのがオシベの葯(花粉)です またメシベの上部に見えるのがずい弁です
オシベはメシベの花柱枝の内側に位置し、メシベに抱き込まれているような構造です
ハナショウブの蜜は密標と花柱枝の間の筒状の穴の先に有ります
前の画像の手持ち撮影時にオシベがポロリと外れ落ちたのでオシベのみの単品写真です
黄色く見えるのがオシベの葯(花粉)です
ここ迄はハナショウブの各部に場所と名称を説明してきました
▶ 次に受粉のしくみについて考えます
ハナショウブの葯(オシベ)は開花直後より開いて花粉を出しますが、メシベは
開花一日目は閉じていて花粉を受け付けません 開花二日目になると受粉しやすい
形に開いてきます これは受粉相手として同じ花ではなく 別の花粉を得ようと
する工夫です(自家受粉の防止)
上の画像は密標とオシベを抱えた花柱枝(メシベ)の間に筒状の穴の入り口があります
(上の画像は何度も撮影を試みたんですが、撮れなくてネットより借用しました)
ミツバチが吸蜜の為に密標に誘われてやって来ます ハナショウブの筒状の穴はハナバチ
と呼ばれるもう一回り大きい蜂に合わせて作ったようだと言われているそうです
ハナバチが吸蜜の為、花柱枝のずい弁を押し上げ蜂は何度も侵入しようとします
この時点で他の花の花粉を体に付けていれば進入時に天井にある花柱枝
(メシベ花粉を受け取る場所)に花粉をこすり付けることになります
これはハナショウブの仕掛けた「ワナ」で、これで受粉の完成です
▶ ハナショウブは密で蜂を誘い、花の形や色で誘いながら確実に花粉を運んでもらい
受粉しています 又蜂は蜜の花粉だんごをハナショウブから入手できるので、お互いに
切っても切れない関係で、このような関係を「共生(進化)」と言うそうです
▶ 蝶はやって来てストローのような口を蜜の所に差し込み吸ってしまうので、柱頭や
花粉に触れることがなく、ハナショウブには役立ちません 迷惑な蝶には蜜だけ
持って行かれないように筒状トンネルの奥まで入らないと蜜を吸えないようにしています
ストローは入口までしか届かないようです
[ 参考 ] ★玉川大学農学部教授 田淵 俊一 のホームページ
HPの花菖蒲図鑑では、用語解説、品種一覧、写真撮影方法など
玉川大学農学部教授 田淵俊人 (tamagawa.ac.jp)
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