まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

全体主義・民主主義と憲法・法律

2022-09-28 09:58:51 | 国際・政治
〇法律とは、国家等の議会の議決を経て、統治者ないし国家により制定される、統治機構、国民の自由と財産を守る、あるいは社会生活を送る場合のルール等を定めた規範と言えると思います。最高規範は民主主義国家では憲法とされています。国民の自由を尊重する民主主義国家では、議会の議決が必要というルールが確立されていますが、中国共産党やロシアでは、別に議会の議決は賛成・拍手するだけの議会ですね。中国では共産党最高指導者が決めたものが憲法に優先するようです。最近のロシアでは大統領令でしょうか。ポイントは、民主主義国家では、国が決めた法律を国等自身も拘束すること、また、法律はEnforceable即ち、裁判が確定すれば、それに従って国の権力で強制できるということですね。

〇民主主義の対局にあるのが、個人の利益よりも全体の利益を優先し,全体に尽すことによってのみ個人の利益が図られるという政治体制で,一つのグループ(共産党とか軍)が絶対的な政治権力を持ち国全体を統治しますね。民主主義と全体主義の中間的な形態として権威主義という考え方も出てきました。要するに、時代、国、統治者により様々な形態があるということでしょうか。

〇最近、1944年3月にイギリスで発行され、その後米国で発行され多くの読者を得て、サーッチャーやレーガンにも影響を与えたフリードリヒ・ハイエクの「隷従への道」を読んでみました。1944年6月のノルマンジー上陸の前ですので、まだフランスはナチス政権下ですね。現代の考え方から見れば、少し時代背景から仕方ない部分もあると思いますが、その本の第10章に「最悪の人間が指導者になるのはなぜか」という部分がありましたので、その要点を下記にします。
 
単一の教義を奉じる強大な集団は、主に三つの理由から、とかく最高の人間ではなく最低の人間で形成されやすい。
 教育水準が高く知的になるほど、一般に意見や好みも多様化するため、ある特定の価値観を共有する可能性は低くなる。同じような意見を大勢が共有する状況がみられるのは、倫理規範も知的水準も低い集団であり、そこでは大勢がより原始的な「共通」の本能や好みを共有している。モラルが低いと言いたいのではない。集団を形成するのは、悪い意味での「大衆」の一員であり、独創性も自主性もなく、数を力と恃む人々の事。

いかがわしいからくりが登場する。それは従順でだまされやすく、自分の考えを持っていない人を根こそぎ支持者にするというやり方である。ものごとを深く考えようとせずあっさり他人に同調する人や、感情が昂ぶる人たちが加わって、全体主義政党の党員は、あっという間に膨らむ。(以下の③と合わせて最近はやりのプロパガンダのことですね)

熟練した扇動者が結束力の強い均質な支持母体を形成する手口にはまる。人間の本性は、建設的なことよりも、敵に対する憎悪や地位の高い人に対する羨望といった非生産的なことで一致しやすいようだ。連帯意識を高め共同歩調をとるために、仲間内と仲間外をはっきり区別し共闘することが必須であるらしい。
(ナチスドイツでは、ユダヤ人や財閥が敵。帝政ロシアでは富農、中国では富農・資本家等、その後文化大革命では知識人粛清。江沢民以降は反日教育と最近は習近平思想の洗脳)

プーチンが、予備役の徴兵・動員に踏み切りました。報道官のぺスコフの息子に、反体制派が、召集令状が出た旨の偽電話を掛けた様子がYouTube報じられています。ぺスコフの息子は、召集令状等自分には関係ないそうです。

〇ロシアの憲法の条文タイトルをご参考までに以下に掲載します。立派な内容です。中国も同じですが、条文は立派、でもロシア政府・プーチンは、こんな作文は、守る意思はないようですね。

世界憲法集第五版 三省堂 初宿正典 辻村みよ子 編から 
第2章人および市民の権利ならびに自由【抜粋】
第17条〔人権の不可侵性〕、第19条〔法の下の平等〕、第20条〔生命権〕、第21条〔個人の尊厳〕、第22条〔人身の自由〕、第23条〔私生活の保護〕②項には、「各人は、信書、電話、郵便、電信およびその他の通信の秘密に対する権利を有する」等の規定があります。

第24条〔プライバシーの保護〕、第25条〔住居の不可侵〕と言った規定もあります。

第27条〔移動•居住の自由〕
①ロシア連邦の領域内に合法的に滞在する者はすべて、自由に移動し、滞在および居住する場所を選択する權利を有する。

第28条〔信教の自由〕。第29条〔思想および言論の自由〕①各人は、思想および言論の自由が保障される。、第30条〔結社の自由]、

第31条〔集会の自由]、ロシア連邦の市民は、武器を携行しないで平和的に集合し、会合、集会、示威運動、行進およびピケッティングを行う権利を有する。⇒戦争反対のデモを行ったら、当局に拘束されて召集令状を渡された人がいると報道されています。

第32条〔参政権]、第33条〔請願権〕ロシア連邦の市民は、国家機関および地方自治機関に対し、直接に請願し、または個人的および集団的に請願を行う権利を有する。
第34条〔企業活動の自由]、第35条〔私的所有権]、①私的所有権は、法律によって保護される。第36条〔土地所有権}⑴ 市民およびその団体は、土地を私的に所有することができる。

まあ、そんなところでしょうか。
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ソ連・ロシアの過去の軍事侵攻

2022-04-23 08:33:52 | 国際・政治
◎ヨーロッパは複雑ですね。様々な言語・宗教・文化・習慣を持つ人が一つの地域に混在し、また政治的な境界は変動します。国民が居住する地域と、統治機構としての国家が一致しません。ウクライナもそうでしょう。親ロシア派でロシア語を話す人たちが東部に居るようですね。その東部地域を、プーチンが国家として承認してから、今軍事侵攻していますね。
ロシア、ベラルーシ、シリア、ミヤンマ、北朝鮮等では、腐敗が蔓延し、貧富の格差が拡大し、道徳が失われ、環境を破壊し、事実を隠蔽し、反対者にレッテルを張り粛清し、洗脳し、言論・集会結社の自由を認めない、一党独裁で、独裁者が支配します。

2014年のロシアによるクリミア半島軍事侵攻の後に、ワシントンポストにキッシンジャーの記事が掲載されました。「ロシアがウクライナを衛星国の地位に追い込み、それによりロシアの国境を再び拡大させようとすると、モスクワは、ヨーロッパと米国との相互圧力のサイクルの歴史を繰り返して、破滅の道を歩むことになってしまうのである。」とか「プーチンは、彼の不満が何であれ、軍事的手段に訴えることは新たな冷戦を生み出すことを認識すべきである。」等と述べていますね。
https://www.washingtonpost.com/opinions/henry-kissinger-to-settle-the-ukraine-crisis-start-at-the-end/2014/03/05/46dad868-a496-11e3-8466-d34c451760b9_story.html

◎日本では、今は国民と国家が一致しています。しかし、日本の歴史を見ても、歴史に正義や道徳はないと思いますね。鎌倉殿の13人で、これからどのように描かれるか知りませんが、北条氏は陰謀・だまし討ちと武力で次から次に敵対勢力を滅ぼし、執権の地位を不動のものとしました。織田信長等も比叡山焼き討ち、一部の一向一揆は皆殺しの歴史ですね。

◎ ところで、第二次世界大戦後のソ連・ロシアの軍事侵攻を、まとめてみると以下ぐらいでしょうか。
1) (スターリン)1945年8月18日の旧ソ連(ロシア)による占守島(しゅむしゅとう)侵攻。この侵攻の結果、北海道の北方領土が実効支配されて現在に至ります。北海道本島を守ったといわれる終戦後の日本国土の防衛戦。日本軍の守備隊が自衛で応戦(* 指揮官:樋口季一郎)、激しい戦闘となり多くの死傷者が出たようです。停戦命令を受けて21日に日本側が降伏。ソ連軍は千島列島を占領し、北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)も、米軍がいないことを知ると9月5日までに全島を占領しました。(日本兵は全員シベリア抑留)
・樋口 季一郎:(1888年 - 1970年)最終階級は陸軍中将。兵庫県淡路島出身。連隊長を
経て第3師団参謀長、ハルピン特務機関長、第9師団長等、第5方面軍司令官兼北部軍管区司令官。第二次世界大戦前夜、ドイツによるユダヤ人迫害を逃れた避難民に満州国通過を認め、「ヒグチ・ルート」と呼ばれた脱出路が有名。大戦中はアッツ島の戦い、キスカ島撤退作戦、ソ連対日参戦に対する防衛戦闘(占守島戦)を指揮した。
・連合国との降伏文書の署名日:東京湾上の戦艦ミズーリで日本側が署名した日は、1945月9月2日ですね。 ⇒この文書には、ソ連代表も署名しています。第二次世界大戦の終結日の認識は、国によって違いますね。日本・イギリスは、8月15日ですね。米国などは9月2日で、中華民国では9月3日としているようです。
・ソ連のポツダム宣言参加:7月26日に英米中華民国名で日本に発出。ソ連は8月8日にポツダム宣言に参加表明したということです。

2) (ブレジネフ⇒アンドロポフ⇒チェルネンコ⇒ゴルバチョフ)1979年 - 1989年のアフガニスタン紛争では、アフガニスタンで断続的に発生している紛争のうち、1978年に成立したアフガニスタン人民民主党政権に対するムジャーヒディーンの蜂起から、1979年にソビエト連邦が軍事介入、1989年に撤退するまでの期間。⇒モスクワ五輪ボイコット
長期化した戦争で、ソ連側は1万4000人以上が戦死、アフガン側はその数倍の戦死者を出す結果となり、「ソ連のベトナム戦争」と言われているようです。

3) (エリツィン)第一次チェチェン紛争は、1994年から1996年にかけて、ロシア連邦からの独立を目指すチェチェン共和国独立派武装勢力と、それを阻止しようとするロシア連邦軍との間で発生した紛争ですね。

4)(プーチン)第二次チェチェン紛争は、チェチェン独立派勢力と、ロシア人およびロシア連邦への残留を希望するチェチェン共和国のチェチェン人勢力との間で発生した紛争。1999年に勃発した。2009年4月16日に国家対テロ委員会は独立派の掃討が完了したとして対テロ作戦地域からの除外を発表、10年の長きにわたった紛争は終結したとされたが実際には独立派残党による北コーカサスの乱が2017年まで続いた。
⇒第二次チェチェン紛争は、首相になったプーチンが仕掛けたものと言われていますね。
モスクワ等3か所のアパートでテロが発生。300人以上が死亡1700人以上が負傷。これをチェチェン独立派が仕掛けたテロと断定して、チェチェンに侵攻した。実際はKGBの後継のFSBの自作自演の仕業(プーチンは、首相の前はFSB長官)ではと言われている。これで国民の圧倒的支持を得て翌年2000年に大統領就任。この事件を調査・解明しようとした人は大半が消された。亡命先のロンドンで毒殺された元FSB職員、下院議員2人、ジャーナリスト等が不審死等。弁護士等も収監。
https://www.youtube.com/watch?v=fLU2xx475ag

5) (実質プーチン。メドベージェフ)2008年の南オセチア紛争(ロシア・グルジア戦争)は、2008年8月7日から16日にかけて起こったジョージア(グルジア)とロシア連邦間の戦争。ロシア側には分離派の南オセチアやアブハジアも参戦した。21世紀最初のヨーロッパの戦争とされている。

6) (プーチン)ロシアのクリミア侵攻は、2014年ウクライナ騒乱が発生して以来、ロシアがウクライナ南部のクリミア自治共和国に対して行なっている軍事行動で、実効支配している。

そんなところでしょうか。

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外資系企業の募集株式の発行

2022-03-21 20:47:41 | 商事法務
〇 日本には、多くの外資系企業がありますね。その会社の中には、設立後に増資、即ち募集株式の発行を行います。非公開会社の場合は、通常は株主割当増資が多いでしょう。従い、海外の親会社と、予め増資の概要を伝えお金の用意を頼んでから、総会決議等会社法所定の要件を満たすことが行われますね。

〇 会社法199条1項の募集事項に加え、202条では「株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合」(right issue)の事が規定されています。3項では、定款の定めによって取締役の決定、取締役会の決議、あるいは株主総会の決議によって定めることができる旨規定されています。また、4項では、数人の株主がいる前提で、株式引受申込期日の2週間前までに、株主に対し、1)募集事項、2)株主が割当てを受ける募集株式の数 及び3) 申込期日を通知しなければなりません。でも、増資の際は、事前に株主・会社間で合意が出来ているケースが多く、別に2週間の期間を置く必要もないでしょう。この場合は、全株主からといっても1人が多いと思いますが、202条4項の期間は短縮してOKですよという期間短縮同意書が必要ですね。

〇 ということで、募集事項、株式申込証、期間短縮同意書の一例を日英文で記載して見ましょう。
This is the issuance of 1,000 common shares of J-Yen50,000 per share aggregating to J-Yen50,000,000 to the existing shareholder of the Company on right basis in the ratio of 1 share for every 1 share held by the shareholder of the Company on June 1, pursuant to the resolution passed in its general shareholders meeting held on June 1, 2022.

この文章は、株主割当の結論ですね。しかし実際は、日本では当然、発行済株式総数や資本金の額の登記が必要ですので、もう少し詳細を書きます。株主は、株式割り当てを受ける権利(right issue)を与えられますが、別にこの権利を行使するか、放棄(renounce)するか自由ですが、一般的には、事前に話がついているケースが多いと思いますね。

募集株式の募集/Solicitation of Subscribing Shares

商号/Company Name  : ABC Japan株式会社/ ABC Japan Co. , Ltd.
本店住所/Head Office Address : 東京都千代田区丸の外1丁目2番3号 
2-3, Marunosoto 1-chome, Chiyoda Ward, Tokyo
       
【募集事項/ Subscription Requirements】
募集株式の数/ Number of Shares for Subscription 普通株式1,000株/ Common Shares 1,000 shares   
募集株式1株の払込金額/ Amount to be paid in per share 金50,000円/株/ J-Yen 50,000 per Share
払込金額の総額/ Total Amount of being paid in    金50,000,000円/ J-Yen50,000,000.-

申込証拠金振込日(当会社の銀行口座への入金日)     令和4年6月8日(水)迄に
Advances on Subscription (to be reached to the Company’s Bank Account) by June 8, 2022

払込期日/ The day to be paid in      令和4年6月9日(木)/ June 9, 2022 (Thu. )

増加資本金及び資本準備金に関する事項: 
1株につき25,000円を資本金に組み入れ、25,000円を資本準備金に組み入れるものとする。
Matters concerning increased Capital & Capital Reserve:
J-Yen 25,000 per Share to be capitalized and J-Yen25,000 to be apportioned into capital reserve.
申込方法: 募集株式申込証を申込期日迄に提出して申し込む。
Method of the Subscription:
Application Form of Subscribing Shares shall be submitted by Application Form Deadline   
申込期日/Application Form Deadline 令和4年6月7日(火)/June 7, 2022 (Tue.)

申込先/ Application Destination ABC Japan株式会社/ ABC Japan Co., Ltd.

発行可能株式総数/Total Number of Authorized Shares  5,000株/5,000 shares
現在の発行済株式総数/ Present issued number of shares 普通株式1,000株 Common Shares 1,000 shares
現在の資本金の額/ Present capital stock     金5,000万円/ J-Yen50,000,000

株式の譲渡制限:当会社の株式を譲渡により取得することについて、新規取得者は当会社の承認を要する。
Transfer Restriction of Shares:
The acquisition of the shares of the Company by transfer requires the approval of the Company for new acquirers.

払込方法  令和4年6月7日までに申込証拠金を払込受入銀行口座に振込み、払込期日に割当を受けた株式に対する払込金に振替え充当する。
Method of Payment   Advances on subscription to be reached to the Company’s Bank Account) by June 7, 2022, and the Advances will be transferred and applied to the payment for the shares allocated on the day to be paid in.
払込受入銀行口座/Bank A/C to receive the payment
口座名義人/A/C holder ABC Japan (カ /ABC Japan Co. , Ltd.
  落目銀行(0000)あほ山支店(000)/ Ochime Bank Ahoyama Branch(000)
普通預金/Ordinary Account 口座番号/A/C Number 123456
Swift Code /BIC: xxxJPxx
その他     その他株式の発行に必要な事項は、代表取締役が決定する。
Others  Other matters necessary for the issuance of shares will be decided by the Representative Director.

以上/As above

株式申込証
Application Form of Subscribing Shares


引き受けようとする募集株式の数等/Subscriptions for Solicited Shares
ABC Japan株式会社/ ABC Japan Co. , Ltd.
普通株式/Common Shares   1,000株/ 1,000 Shares

(1)引受価額(1株につき)/ Amount of Subscription price (per share) 金/J-Y 50,000円 
(2)払込金/ The amount to be paid in         金/J-Y 50,000,000円
(3)申込証拠金/ Advances on subscription 金/J-Y 50,000,000円

貴社の定款及び募集要項並びに本証の事項を承認の上,株式を引き受けたく,ここに申込みいたします。尚、申込証拠金には、利息を付けずに、払込期日に払込金額に振り替えて充当すること承知いたしました。
After acknowledging your company's Articles of Incorporation, the contents of the Solicitation of subscribing shares, and the matters of this Application Form, we hereby apply for the shares herein. In addition, we duly acknowledge that the Advance payment will be transferred to the amount to be paid in on the payment date without interest.


                  令和4年6月 7日/June 7 , 2022
       

住所/Address: xxxx, USA
株式申込人/ Applicant: ABC USA Corporation


Tagosaku John, CEO and Director

ABC Japan株式会社/ABC Japan Co. , Ltd.
 
代表取締役/Representative Director 毛 あかん/Mao Akan  殿

【期間短縮の同意書/ Consent to Shortening the Period】

当社は、貴社の発行済株式の全てを保有する株主として、上記募集株式の発行に当たり,会社法第202条第4項に規定する通知の期間を置かずに募集株式発行の手続をすることについて,同意します。
As sole shareholder who owns all of your issued shares, the Company consents and agrees to proceed with the issuance of the above offered shares without the notice period stipulated in Article 202, Paragraph 4 of the Companies Act.

令和4年6月1日/June 1, 2022
       
住所/Address: xxxx, USA
株式申込人/ Applicant: ABC USA Corporation

Tagosaku John, CEO and Director


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ゆうちょ銀行のATM利用料金―硬貨の預入

2022-02-19 14:25:54 | 商事法務
今回は、身近で手ごろな話題を書いてみましょう。ゆうちょ銀行は、1月17日から手数料を改定し、その中の改定に硬貨のATMでの預け入れ手数料も含まれていますね。
1~25枚まで 110円 26~50枚 まで220円、51~100枚までは330円ですね。他の銀行でも、枚数によって手数料を取っていますね。

一方、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第七条(法貨としての通用限度)「貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。」としています。
法貨=法定貨幣は、法律によって通用力を与えられた貨幣ですね。

子供が、お母さんに連れられて、駄菓子屋に行き、1個20円の飴玉を1円玉20枚で買おうとしました。駄菓子屋さんは当然、飴玉と引き換えに受け取る義務がありますね。一円玉20枚のときは、110円加算して、飴玉の値段が130円になりますなんて言えないし違法ですね。(理由は、ゆうちょ銀行が、110円取るからですーとは言えませんね)。

ATMでは、振込手数料等のときも手数料をとります。まあ、機械の維持費も必要だから止むを得ないかもしれませんが、預け入れで、手数料という別名目でお金を取るのはおかしいのではないでしょうか。20円を1円で入れたら、貯金通帳は、20円入金、110円マイナスで、90円貯金が減ります。

これって、少なくとも法律の趣旨に反している、或いは違法?と言えないでしょうか?
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日本のM&A契約-表明保証のどうでもよい条項

2021-12-16 00:11:15 | M&A
日本の株式取得のM&A契約は、30年前ぐらいまでは非常に簡単で、株式の取得・価格とその実行のことなどが記載されているだけで、極端なケースでは、財務諸表が公正妥当な会計処理の基準に則って作成されていること、簿外負債はないこと等についての言及・記載もなかったですね。一方、米国などでのM&A契約では、詳細に条件が記載されます。一番重要な規定は売主の対象会社についての事実の表明と保証や、クロージング前後の誓約事項(Covenants)、表明保証違反のときの補償等の条項ですね。DDを実施したが、具体的なリスク自体は発見できなかったとき等に際し、表明・保証違反を構成しないようにDisclosure Schedule等を作成しますね。

この20年ぐらい、日本でも米国等の詳細なM&A契約の影響を受けて、米国で勉強した日本人弁護士などが、米国並みの詳細なM&A契約を作るというか、日本語に翻訳して真似をするようになりました。M&Aが得意でない弁護士などは、他の案件で入手した表明・保証の条項等を条文に詳細記入せずに、別紙で張り付けています。まあ、張り付けるのは契約書の構成をわかりやすくできるので、良い面もあるのですが、契約書本文と言葉使いが異なり、齟齬をきたす部分もある場合がありますね。
きちんと読まずに、また修正もきちんとせずに、コピー&ペーストしたのが見え見えですね。

最近の日本のM&A契約は、表明保証条項については、米国の猿真似条項が多く、どうでもよい条項迄記載する。米国では、表明保証と一体のDisclosure Scheduleがありますが、それが無い場合が多いと感じています。

米国のM&A契約のRepresentations & Warrantiesは、例えば20-30項目ぐらいありますね。ところが、重要な項目というのは、まあ10項目ぐらいで、後はいたずらに長いですね。
どうでもよい不要の条項の例を2-3挙げてみましょう。

〇どうでもよい①:「売主は、本契約を適法かつ有効に締結し、これを履行するために必要な権限及び権能を有していること。」⇒米国では、日常業務はCEOが行いますが、M&A契約では取締役会承認が必要ですね。ですからこういった条項も必要でしょう。しかし、日本では代表取締役が契約締結します。従い、「本契約は適法かつ有効」等と記載する必要はない。M&Aに限らず、重要取引先の基本契約等の重要契約で、「本契約は有効です」等と記載しますか?また本契約は、違法で無効ですと記載しますか?あほな規定ですね。

〇どうでもよい②:「売主による本契約の締結及び履行は、(i)売主又は対象会社に適用ある法令等に違反するものではなく、(ii)売主及び対象会社の定款その他の社内規則に違反するものではなく、(iii)対象会社が当事者となっている契約等について、債務不履行事由等を構成するものではなく、(iv)司法•行政機関等の判断に違反するものではなく、かつ、(v)対象会社の事業又は資産に対して担保権その他の負担を生じせしめる結果となるものではないこと。」⇒これも米国のM&A契約には、一般的に入る表明・保証ですね。まあ、あまり意味がないでしょうね。

〇どうでもよい③:「売主は、本契約の締結及び履行のために必要とされる司法•行政機関等からの許認可•承認等の取得、司法•行政機関等に対する報告•届出等その他適用ある法令等上の手続を、全て当該法令等の規定に従い適法かつ適正に履践済みである。」⇒この規程は、不備ですね最後に「又はクロージング日までに履践できるものであること。」と付け加えないといけませんね。きちんとしたM&A契約では、closingまでに行うべきCovenantsとしてはいりますね。M&A契約を締結した後、米国では Anti-trustのfilingが必要ですし、日本でも該当する場合は、公取への届出が必要になりますね。契約締結の時に履践済み等という意味不明の文言が入っている契約ドラフトがありました。

〇どうでもよい④:「対象会社が当事者である契約等は全て適法かつ有効に締結されており、かかる契約は、各契約当事者の適法、有効かつ法的拘束力のある義務を構成し、かつ、かかる義務は、当該契約の各条項に従い各契約当事者に対して執行可能であること。」⇒まともな会社なら当たり前ですね。

こんなところでしょうか。
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英米と日本の会社法の違い

2021-11-08 21:31:53 | 商事法務
今回は、日本と海外の会社制度の違い等の指摘をしましょう。①、多分海外の人には理解の難しい日本の会社の組織形態(機関)の複雑性、②取締役と業務執行者がきちんと分離されている海外と代表取締役社長等といわれて、これが曖昧な日本、それと③発行可能株式総数を発行済株式数の4倍(非公開会社は適用無)と、発行株式の払込額を1/4以上とする制度などですね。

〇 日本の会社組織形態(機関)の硬直性・つぎはぎ結果の複雑性:
日本の会社法は、都度会社法の改正を行い複雑怪奇になりましたね。もっとシンプルにならないものかと思います。こんな複雑な会社の組織形態を定めた会社法は日本だけではないでしょうか。
・日本の基本的な制度は取締役、取締役会、代表取締役、監査役、監査役会、会計監査人でした。これに、特別取締役や会計参与も加わりました。
・米国の影響を受けやすい学者先生などのいる法制審議会会社法部会では、一貫した考え方などなしに、米国では基本的に当事者自治に任せられている委員会を、会社法制に組み込み、取締役の任期も1年に短縮できるようにしました。H14年改正で設置された「委員会等設置会社」がH18に委員会設置会社になり、H26改正によりつぎはぎの「指名委員会等設置会社」と「監査等委員会設置会社」が設けられ、普通の取締役とは異なり監査等委員となる取締役の選任の制度が設けられました。
委員会等設置会社では、社外取締役が過半数の指名・監査・報酬委員会という硬直的な制度を作り、この硬直性をつぎはぎするために、「指名委員会等設置会社」と「監査等委員会設置会社」を設けました。こんなことまで、会社法に規定する必要などないですね。当事者の定款自治に任せておけばいいのです。余計なことまで規定する会社法部会の学者先生の石頭のせいですね。以下の、米国のような規定を、会社法に設ければよかっただけなのにね。

米国の模範事業会社法§ 8.25. COMMITTEESでは以下のように規定しています。
(a) Unless this Act, the articles of incorporation or the bylaws provide otherwise, a board of directors may create one or more committees and appoint one or more members of the board of directors to serve on any such committee.

○経営方針の決定、執行と監督:
米国やドイツでは経営の執行と監督は分離されていますね。ドイツでは監査役会が機能しています。米国では、取締役会が監督機能を担っています。取締役会は、重要な経営事項は自ら決定しなければなりませんが、かなりの経営事項は委員会に権限を委譲しています。委員会は、通常複数の取締役から構成される、監査委員会、指名委員会、報酬委員会、財務委員会、執行委員会等がありますね。これら委員会は、日本(404条等)と異なり会社法で組成を義務づけられている訳ではないですが、慣行的に出来たわけですね(上記模範事業会社法§ 8.25参照)。業務の執行は、DirectorではなくOfficerが行います。取締役を兼任する場合もありますが(1人は兼任多いですが)、OfficerのトップがCEO(Chief Executive Officer)であり、COO (Chief Operating Officer)等で他にはSecretaryやTreasurer などがいますね。英米では、日常業務はCEO/COOが行いますが、これらOfficeを決めていなければ、Directorが行いますね。英国法を引き継いでいる香港などでは、「Director」が行います。

日本では、代表取締役社長という言い方が一般的ですね。Representative Directorですね。しかし、私は海外でRepresentative Directorという言葉は見たことないですね。オランダ系の会社法を引き継いでいるインドネシアでは、President Directorというのがありますけどね。日本的な感覚で言えば、これが代表取締役社長でしょうか。社長という名称は別に法定されているわけではなく、業務執行者という意味でしょうか。定款で定まれば良いですね。ですから代表取締役社長でなくても、代表取締役隊長でも組長でも良いかもしれません。株式会社山口組なら、山口組組長ですね。
上記の、組織の複雑化に共ない、執行役とか代表執行役等も生まれました。もういい加減にしてほしいですね。

法349条4項には、「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」とありますが、この規定は日本独特でしょうね。代表取締役は、勿論取締役会の下部機関ですが、取締役会があまり機能していない場合や細かいことまで決める訳でもないですから、(一応法362-2-1には、取締役会は、業務執行の決定をしなければならないという規定があり、4項に取締役会の権限等として重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財等の規定はありますが)、実際かなりの業務執行の決定を行いますね。通常業務以外は、取締役会の決議が一般的で、それなりの慣行も確立している英米と違いますね。
代表取締役は、「業務に関する一切の行為をする権限を有する。」という規定も曖昧ですね。法定されている取締役会の権限以外の決定もできますね。

取締役の上に、代表取締役という制度を作った矛盾でしょうか?世界の会社の組織形態としては、1)英米型の取締役・取締役会と取締役会の委任を受けた米国の委員会制度、2)取締役会と監査役会が同レベルの国、3)ドイツのような取締役会の上部組織としての監査役会制度を持つ国(ドイツ・インドネシア等)の3つでしょうね。ただ、インドネシア会社法のBoard of Commissioners(=コミサリス(Komisaris)会)がどの程度機能しているか、あまり知りません。

〇授権株式制度と株金の払込:
日本では、授権株式制度が採用されていますね。法113条「発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない(非公開会社はこの制約なし)」ですね。会社が将来発行する予定の株式数を定款で定めておき、その範囲内で取締役会等の決議により適宜発行を認める制度ですね。
これと異なり、株式を発行し、株金の払込は全額ではなく、25%以上でもよいという制度もありますね。そういった制度の国の人と話していたら、発行株式の全額払込をするという意識が無く、会社設立のときに、資本金(日本でも半分まで資本準備昆可能)の半分ぐらいしかお金を用意していなかった例もあります。また、残り3/4は取締役会がCapital Callするんですね。この場合も、英文では、「the increase of issued and paid up capital to be at least 25% (twenty five percent) of the authorized capital shall be conducted within a period no later than 6 (six) months」という風に、授権資本= authorized capitalという言い方をしますので、同じ言葉を使っていても、相手とこちらの認識が違うということもおこりますね。

また、海外では、Capital Callしたものは、全て資本金になるのでしょうか。ここがよくわかりません。日本では、法445条2項「前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる」として、資本準備金として計上しますね。
こういったCapital Reserveも、海外と日本の認識の差がでる部分ではないでしょうか。

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ソフトウェアライセンス契約 その4 

2021-10-05 12:49:56 | 商事法務
ソフトウェアに不具合が発生したら、Licensorはどのような対応をするかの規定で、非常に重要な規定ですね。Userに迷惑をかけたらLicenseeの信用問題に発展しますね。
ここで重要なことは、不具合は再現性がないと修復できないということですね。たまたまサーバーの電圧低下などで一回だけ生じたような不具合は、ソフトウェアの機能には影響がないですから、不具合処理の前提は、不具合に再現性がなければならないことですね。

また、ソフトウェアのVersionは、X.YZと表示されます。例えば、5.26というような表示がされますね。このVersion管理も重要ですね。Xを、4から5にするというのは、大幅な機能向上や基本的な設計の一部変更などですね。Yのレベルを1から2に上げるというのは、マイナーな機能向上や変更などですね。Zのレベルを5から6にするのは、bug-fixの事ですね。

ソフトウェアの不具合・機能障害には、当然重大な欠陥ですぐに修復しなければならないもの、少しは時間が待てるもの、殆ど影響が無い不具合を見つけたので、これを修復しようとする場合があります。メルカリのupdateなどは、このbug-fixですね。

もう一つ重要な点は、不具合が発生したら、「何時間以内に修復作業を開始します」とは約束しますが、「何時間以内に修復します」という約束はできないことですね。みずほ銀行のようなお客様に大迷惑をかける重大な障害でも、何時間以内に直しますということは当然言えません。銀行の場合は、当然バックアップシステムを持っていて、障害が生じたときはそれに切り替えるのですが、それもうまく切り替えられなかったということは、お粗末な会社ですね。銀行ほど公共性の高くない企業でも、やはりお客様に迷惑をかける障害が発生すると、信頼を失いますので、できるだけバックアップシステムを持つようにしないといけませんね。

では、具体的な文章を記載してみましょう。

Exhibit A - – Maintenance and Support

General Terms and Conditions for Maintenance and Support of the Software Packages.

This Exhibit sets forth the terms and conditions under which Licensor will provide maintenance and support (collectively called “Support”) to Licensee. All terms not otherwise defined herein have the meanings given them in the applicable license agreement.

1 Definitions
1.1 "Patch" shall mean a fix to a program Error.

1.2 “Error” shall mean a demonstrable instance of adverse and incorrect operation of the Software Packages that impacts Licensee’s ability to use a functionality described in the Documentation.

1.3 “Error Resolution” shall mean the following:
1.3.1 a solution has been generated in the form of a Patch, or a revised version of the Software Packages corrects the Error, neither of which create additional problems; or
1.3.2 the origin of the Error lies in the Documentation and the appropriate Documentation has been clarified.

2 Changes to Support Terms

Licensor can change, from time to time, its standard Support terms and conditions subject to the prior consent of Licensee. Any change to the Support terms and conditions will not materially reduce the level of Support set forth herein.

3 Description of Support
サポート業務の内容の一例です。広く普及しているソフトウェアの場合などは、もっと厳しいサポート内容になると思います。
3.1 Licensor will use commercially reasonable efforts to provide Error Resolution to Errors reported and submitted by Licensee, pursuant to the response times detailed below.

◎ Severity Level:Critical. The Error is having a critical impact on Licensee's ability to conduct business. This means that the Software Package is down, or not functioning, and no procedural workaround exists.
Licensor Response Time:1 hour, work commenced immediately
Status Updates:Once every day

◎ Severity Level: Severe. The Error is having a severe impact on Licensee's business in which Licensee's operations are disrupted, but there is a capacity to maintain necessary business operations.
Licensor Response Time: 6 hours, work commenced within the same business day
Status Updates: Once every other business day

◎ Severity Level:Minor. The Error is having a medium-to-low impact on Licensee's business that involves partial, non-critical functionality loss. Licensee's operations are impaired but functioning.
Licensor Response Time:1 day, work commenced within one business day
Status Updates:Once every 5 business days

3.2 General usage questions will be responded to within two business days and treated with a lower priority.

3.3 “Hours” and “days” are counted within regular operation hours for the Licensor support center to which Licensee has been assigned, excluding any holidays specified by Licensor and public holidays. If an Error is reported on a day that is a public holiday or on a Saturday or Sunday, the Response Times indicated above will commence as of the first business day that Licensor received the report of the Error. All critical requests should be confirmed by phone.
このサポート内容は、ソフトウェアがBtoBの業務用を前提にしているので、このような緩い条件になっているのですね。土日休日も使用されるソフトウェアの場合は、サポートセンターの稼働も、24/7ですね。当然サポートfeeは高くなります。

3.4 New Versions
Licensor will make each New Version of the Software Packages that Licensor releases available to Licensee.

"Version" means that release identification scheme generally in the form of X.Y, where X represents a major release or a change of base level, and Y represents a minor release level. A version can have several maintenance releases identified by a third digit such as Z in X.YZ ("Maintenance Release").

X = A major release or a change of base level: New features and/or new functionality is added to prior version and customer can identify the improvement easily.
Y = A minor release level: Minor improvement, modification of existing features and functionality.
Z = Maintenance Release: Error Resolution, issuance of Patch

“New Version” shall mean that new release of the Software Packages. Examples: if v6.3 replaced v6.2, then v6.3 is the New Version; if v6.0 replaced v5.0, then v6.0 is the New Version. This does not include Maintenance Releases.

4 Exclusions
4.1 Support does not cover resolution of Errors which result from (i) any non-Licensor modification to the Software Packages, or (ii) unless otherwise approved by Licensor in writing, use of the Software Packages by Licensee which is not in accordance with the Documentation.

4.2 Support does not cover modifications to the Software Packages, except for bug-fix and provision of patch, to work around the dysfunction or limitation of third party software or hardware.

4.3 Support does not cover source code supplied by Licensor to Licensee as part of a consulting engagement.

4.4 Support includes troubleshooting or determination of the origin of whether the Error is attributable to the Software Packages.

5 Additional Services
5.1 Training and on-site support are additional free-services and can be made available to Licensee upon request of Licensee, provided that such training is no more than one time in any half-year period. The terms for all such services shall be subject to mutual agreement of Parties.

6 Escalation
Either Party may initiate escalation procedures if the normal avenues for Error resolution have been exhausted.

7 Other Terms
All other terms of the applicable license agreement, including but not limited to the sections related to the license grants, title and general contractual provisions, are hereby incorporated herein by reference. In the event of any inconsistency between the terms of the applicable license agreement and the terms of this Support Agreement, the terms of this Support Agreement shall control only with respect to determining Licensor’s obligations with respect to providing Support. In all other cases, the applicable license agreement shall prevail.

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ソフトウェアライセンス契約 その3

2021-09-12 20:23:06 | 商事法務
ソフトウェアライセンス契約のその他の主な条項について書いてみましょう。
まず、責任と損害賠償額の定めですね。所謂相当因果関係説の考え方と大きく異なりますね。特徴は、Licenseeが、過去1年間にLicensorに支払った対価の額を上限とし、しかも実際の直接損害の額に限定することが多いです。まあ、直接損害と規定しても、何が直接損害かは、実際判断・考え方が分かれるところですが、一定の枠ということでは制限がありますね。

〇 Liability
1) Each Party is responsible only for any actual direct loss or damage of the other Party arising in connection with this Agreement, which shall be no more than the amount that Licensee has paid Licensor for the latest twelve (12) months as License and support fees, except that this limitation will not apply to (a) Licensor's indemnity obligation under the next Section (Licensorが、第三者の権利侵害をしていた場合), (b) claims based upon gross negligence or willful misconduct, (c) claims for breach of the Section (LicensorのRepresentation & Warranty違反の場合) or (d) Licensee’s obligation to pay any unpaid License fees and support fees otherwise due and payable under this Agreement.

2) Parties further agree that neither Party will ever be responsible to the other or to any third party for special, incidental, exemplary or consequential damages (including but not limited to lost profits or savings) even if Party is informed of their possibility and regardless of the basis or legal theory on which damages may be claimed.
この条項は、実際の直接損害のみ責任を負うとの規定を補足するため、特別損害・結果損害等は責任を負わないと規定しますね。

3) Under no circumstances (except as required by law) will Licensor be liable for third-party claims relating to the Service against Licensee for losses or damages other than those arising out of an alleged infringement claim of the Software Packages. Licensor shall also not be responsible for loss of, or damage to, Licensee’s records or data obtained from providing the Service to User.
例えば、みずほ銀行のソフト(もしみずほ銀行のソフトが自社開発でなくてLicensorがみずほ銀行をLicenseeとしてライセンス契約をしていた場合ですが)で、銀行ソフトを使用してお金を下そうとしているUserから、Licensorにクレームがあっても責任は負いません。みずほ銀行自身で処理してくださいということですね。

4) If Licensor receives notice of an alleged infringement claim or determines that such claim is likely, Licensor may, at its option, (i) obtain the right for Licensee to continue to use the Software Packages; (ii) substitute the Software Packages that have similar operating capabilities for the current Software Packages; or (iii) modify the Software Packages so that they are no longer infringing but has substantially similar operating capabilities as the current Software Packages. In the event that none of the above options is reasonably available, Licensor may terminate this Agreement and shall remedy Licensee for any losses arising thereof. The details of such remedy shall be discussed and decided between the Parties hereto.
もし、Licensorが、他社のソフトウェア著作権を侵害しているときには、同等の機能を有するソフトウェアに変更するなどの対応をしますということですね。

5) Each Party acknowledges and agrees that money remedies may not be a sufficient remedy for any breach of this Agreement by such Party, and the other Party may be entitled to specific performance and injunctive relief as remedies for any such breach. Such remedies will not be deemed to be the exclusive remedies for a breach of this Agreement by such Party but will be in addition to all other remedies available at law or in equity to the other Party
金銭賠償が不十分であるときは、特定履行の請求や差止等の救済を申し立てることができる規定ですね。

〇 Licensor Intellectual Property Indemnity
Licensor represents and warrants that Licensor has received no claim of infringement from any third party as to the Software Packages, as of the execution date of this Agreement. Licensor will defend (at its expense), indemnify and hold Licensee harmless against any claim, suit or proceeding brought against Licensee if it is based on a claim that the Software Packages (so long as it has not been modified in any respect by Licensee) infringe a copyright enforceable in any country which is a signatory to the Berne Convention, trade secret and/or other intellectual property rights. Such indemnification obligation will require that Licensee (i) give Licensor prompt written notice of any such claim; (ii) allow Licensor to control the defense and settlement of such claim; and (iii) provide Licensor with all information and assistance (at Licensor’s expense) for defense and settlement of such claim. Licensor will pay any settlement costs and damages awarded after final appeal. Licensor shall have no obligation to defend or hold Licensee harmless if any alleged infringement of intellectual property right is based upon the use of the Software Packages in a manner for which it is not intended.
契約締結時に、侵害のクレームなどありませんという規定です。もしそういった訴訟がLicenseeに起こされても、Licensorが自分の費用で解決しますという誓約ですね。

〇 Agreement Structure
If there is a conflict among or between terms in the various documents which make up this Agreement, the following order of precedence shall prevail: (1) the Exhibits of this Agreement; and (2) the body of this Agreement. Any additional or different terms in other communication are void except by mutual express consent in writing of subsequent date signed by authorized officer of each of Parties hereto.
この規定は、ソフトウェア契約には時々見られます。添付書類との間で矛盾のある場合は、添付の書類の方が優先適用されるという規定ですね。

〇 Contract Renewal and Termination
LicenseeがUser ProgramをUserに配布して継続的ビジネスを開始すれば、やめられませんね。従い自動更新付の条項が多いと思います。

次回に続きます。次回はソフトウェアの保守・修正の条項です。ソフトウェアに不具合が発生したらどのような対応をするかの規定で、非常に重要な規定ですね。

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ソフトウェアライセンス契約 その2

2021-08-26 10:32:42 | 商事法務
もし、ライセンスフィーが、ユーザ数に応じて課金される場合には、Licensorへユーザ数報告をしなければいけません。その場合の規定の例は以下です。
〇 Reports on Number of User and Other Information
1) For distributions of User Programs by Licensee to User, Licensee shall provide Licensor, by no later than the end of the following month, monthly report detailing the number of Registered User of each month.
2) Licensor will calculate the amount of License Fee and support fees stipulated in the Section x in accordance with the formula mentioned in the schedule specified in Exhibit xx.
3) If Licensor wants to get other information (about system access authority and others), Licensor shall specify the type of the information and request Licensee to provide. Licensee shall furnish such information to Licensor within a reasonable period of time.

〇 Review of Licensee’s Compliance with the Agreement
Licensor may review Licensee’s compliance with this Agreement. Licensee agrees to provide Licensor with relevant records, particularly those relating to payments and the basis for payments, on request, and Licensee agrees to maintain such records for a period of two (2) years after the end of this Agreement. The review of Licensee's relevant records will be conducted at Licensor’s sole expense during Licensee’s normal business hours upon prior written notice to Licensee. Licensor will conduct no more than one such review in any half-year period. If any errors are found during the course of any review, Licensor and Licensee shall discuss in good faith as to such errors. Licensor will treat any information that Licensor obtains from the documents provided to or reviewed by Licensor as Licensee’s Confidential Information.

〇 Ownership
ライセンサーは、ライセンス供与、使用権許諾するにしても、許諾する権原があることが必要ですね。自ら開発しなくても他社からソフトウェア著作権を購入して、自分のものにすればいいのですけど、多くの場合は自ら独力で開発したものであるケースが多いと思います。
1) Licensor represents and warrants to Licensee that Licensor has independently developed all the Software Packages including the Documentation thereof and confirms that the Software Packages do not include any unauthorized software.
2) Licensee acknowledges and agrees that: (a) the Software Packages are protected under copyright and other laws and international treaty provisions; (b) Licensor retains all copyrights and other intellectual property rights in the Software Packages; (c) there are no implied licenses under this Agreement, and any rights not expressly granted to Licensee hereunder are reserved by Licensor; and (d) Licensee acquires no ownership or other interest, other than those rights explicitly stipulated in this Agreement, in or to the Software Packages.

〇Warranty
1) Licensor represents and warrants to Licensee that the Software Packages do not infringe any third party’s patent, copyright, trade secret and/or other intellectual property rights and has the authority to grant license, based on the rights and interest it holds, in accordance with the provisions of Section xx hereof.
2) Licensor warrants that the Software Packages, if operated as instructed by Licensor, will substantially achieve the functionality described in the Documentation in all material respects.
ソフトウェアの機能性を保証していますが、通常と異なるのは重要な点だけの保証ですね。
3) Licensor represents and warrants to Licensee that the Software Packages are free from any viruses, Trojan horse, any malicious and/or harmful programs, provided, however, that Licensor is not responsible for any viruses, Trojan horse, any malicious and/or harmful programs if these programs would be installed to User’s PC to damage, destroy or infect the Software Packages by any third party and/or User.
4) Licensor will not warrant that the Software Packages are free from bug and/or defects, and/or have no difference between the Software Packages and Documentation and Licensor does not warrant that the Software Packages conform fully to the requirements and purpose of User. Licensee must report warranty claims to Licensor as soon as possible when they are found.
ソフトウェアは莫大なソースコードからなっており、人が作成するものですので、bugや欠陥が無いとは保証できないですね。この規定は、ソフトウェアライセンス契約に特有もモノと言っていいでしょう。
5) Licensee’s remedy for any breach of the representations and/or warranties in this Section by Licensor shall be, at Licensor’s option, (i) to make bug-fix, repair or replace the defective Software Packages; (ii) to provide Licensee with a reasonable workaround so that the Software Packages substantially achieves the functionality described in the Documentation. Repaired, corrected, or replaced Software Packages (including Documentation) shall be covered by this limited warranty.
6) Except as otherwise stated in this Agreement, Licensor makes no other express, implied or statutory warranty and expressly disclaim all warranties of fitness for a particular purpose.
ここの書き方は、米国ではよくあるケースですね。Uniform Commercial Codeの2条に定める性能・品質保証の考え方です。詳しくは2011年3月12日Blog 英文契約のExpress & Implied Warrantyをご参照ください。(https://blog.goo.ne.jp/masaru320/m/201103)

その3に続きます。
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ソフトウェアライセンス契約 その1

2021-08-13 09:05:46 | 商事法務
〇 ソフトウェアにはいろんな種類がありますね。WordやExcelの場合は、Microsoft社からソフトの使用権を購入し使用しますね。しかし、ソフトの中には、開発企業から使用権を得て、この使用権を基に、顧客・消費者に継続的にサービスを提供するソフトもあります。メルカリの場合は、どのようになっているのか知りませんが、例えば開発企業からメルカリのサーバーに、サーバータイプソフトの使用権を許諾し提供、メルカリは、そのソフトをインストールして顧客にサービスを提供する。メルカリのユーザはスマホなどにユーザプログラムをダウンロードしてサービスを利用する。ご承知のように、メルカリからは頻繁にソフトウェアの修正・アップデートの連絡が来ます。これらはbug fixですね。
ソフトウェアのライセンスには、使用権許諾と保守サポートを別々の契約で行う。保守サポート契約は、本体のソフト使用権の対価の20-15%ぐらいの対価を得て、Version Upを行うような契約もありますが、最近は継続使用のソフトウェアの場合は、保守サポート契約と一体となったものが多いのではないでしょうか。
今回は、このようなソフトウェアの使用許諾で、保守メインテナンス条項付きについて記載します。重要な点は、サービスを中断なく行うために、保証をどのように規定するか、保守・メインテナンスをどのように規定するかですね。類似の例では、政府が外注してソフトを作成してもらったコロナ対策ソフトがありましたね。保守をきちんとせず何か月も放置して非難を浴びました。

〇 ライセンス契約の主な条項(一般条項は除く)は、以下ぐらいでしょうか。
Definitions, Grant of License and Sublicense, Maintenance and Support, License and Support Fees, Restrictions on Use of the Software, Reports on Number of User and Other Information User数に応じてライセンスフィーを決める場合は、この条項が必須ですね), Review of Licensee’s Compliance with the Agreement, Ownership, Warranty, Confidential Information, Liability, Licensor Intellectual Property Indemnity, Agreement Structure, Contract Renewal and Termination, Exhibit – Maintenance and Support
上記の条項の中で、他の一般的な規定と異なるのは、保証、責任、保守サポート等でしょうか。特に、保守サポートは重要ですね。重要と思われる規定等について、以下具体的に記載してみましょう。特に重要な規定は、上記の内太字で書いた条項ですね。

〇 Definitions-ライセンスを供与するソフトの定義等、いろいろな定義が必要ですね。

〇 Grant of License and Sublicense
Subject to the terms and conditions of this Agreement, Licensor grants Licensee a non-exclusive, non-transferable, non-assignable right (the “License”) to use the Software Package as under for Licensee’s business to provide User with the Service in Japan. Both Parties acknowledge and agree that the License is granted by Licensor to Licensee only and not to its subsidiary, agent nor other third party. The License should not be shared with any Licensee’s subsidiary, agent or other third party. In case Licensee’s subsidiary, agent or cooperator need to use the License and/or they want to expand area of the Service other than Japan, such license shall be agreed and granted by Licensor through a separate contract.
1) the right to use the Software Package.
2) the right to sublicense and authorize Licensee to market and sublicense User Programs to User as an plug-in module in User’s PC and/or smart phone .

〇 Maintenance and Support
Licensor agrees to furnish Licensee with maintenance and support by itself and/or through its subsidiary in Japan for the Software Package including provision of patch and modified and/or enhanced version of the Software Package. The terms and conditions for that support coverage are as detailed in Exhibit A attached.
継続的に、お客様Userにサービスを提供するには、保守サポートが重要ですが、ある程度細かい規定となるので、通常は別紙に記載します。その別紙を更に細かく具体的に詳細に決める場合もありますね。

〇 License and Support Fees -いろいろなライセンス料や保守料の定めがありますね。

〇 Restrictions on Use of the Software Package
Licensee agrees;
1) that, except as otherwise permitted in this Agreement or as required by law, Licensee agrees not to : (i) disassemble, decompile, reverse compile or reverse engineer the Software Package; (ii) modify, copy or create derivative works based on the Software Package ; (iii) sell, give, rent, lease, loan, sublicense, distribute or transfer the Software Package, in whole or in part; (iv) process data or information for, or on behalf of any third party, using or having any manner of access to the Software Package; or (v) create ID other than the ID issued and granted by Licensor;
2) that, except as expressly permitted under this Agreement, Licensee may not sublicense or otherwise transfer any of the Software Package; and
3) and understands that the source code of the Software Package, if Licensor discloses to Licensee, shall not be exposed, disclosed or made directly or indirectly accessible to User and/or other third party.

以下、その2に続く。
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製造ライセンス契約について その4

2021-07-08 11:19:23 | 商事法務
特許は国ごとの制度ですから、LicensorはLicensee所在国でも当該特許を取得しているのが前提ですね。それを前提に特許の実施権をLicenseeに授与するわけですね。米国などでは詳細に決めるケースが多いですが、以下では、簡単な例の、特許侵害Patent Infringementと、この契約は、技術情報の開示なども含んでおりますので、その技術情報の開示の制限の規定も書いてみます。

7. Patent Infringement
Licensee shall agree to hold Licensor free from any liability resulting from any patent infringement of xxx(Licenseeの所在国) patents by sale or use of the Products covered by this Agreement. Should Licensee become aware of a suit or claim filed against them for the patent infringement, Licensee shall promptly notify Licensor of such a suit or claim and Licensor agrees to assist and cooperate with Licensee, at the request and expense of Licensee, for the conduct of any such defence.
この例では、Licenseeが特許侵害の訴えに対して攻撃防御をしないといけない例ですね。ですからLicensor agrees to assist and cooperate with Licenseeと記載されていますが、こういった場合はLicensorが攻撃防御するという規定も当然ありますね。特許が、当該国で有効に成立していることを特許権者は、実施許諾する者へ保証しないといけませんからね。

8. Limitation of Liabilities
8.1 Third-party information. Licensor shall not be obligated to disclose any proprietary information of a third party without the consent of such third party, and Licensor shall not be obligated to furnish any information which furnishing would require payment of a fee to a third party other than an employee of Licensor.
8.2 To the best of Licensor’s knowledge and belief, Licensee’s use of the Technical Information or the manufacture or sale of the Products will not result in the infringement of valid patents of third parties. Subject thereto Licensor gives no warranty in this respect. Should Licensee be sued for infringement of any patent or patents of the third party by reason of its use of the Technical Information or the manufacture or sale of the Products, Licensee shall on request assist Licensor in its defence to such action to extent that in all circumstance it is reasonable to do so.

9. General Indemnification
Except to the extent that Licensor has itself been unreasonably negligent, Licensee hereby agrees to indemnify, defend, and hold Licensor harmless from and against any and all liabilities, losses, damages, injuries, costs, expenses, causes of action, claims, demands, assignments and similar matters including without limitation, reasonable attorney’s fees resulting from or arising out of manufacture, delivery or performance of the Products, Technical Information or services provided hereunder, including without limitation, claims for products liabilities.

この補償の規定は、少しわかりにくいかもしれませんね。hold Licensor harmless from and against any and all liabilities, losses等と書いています。特許については、特許権者が実施権者に、きちんと使えるようにしないといけませんが、もしその特許に基づき実施権者が製品を作る時に、従業員が怪我をした。従業員は、特許製品の製法がおかしいので怪我をしたので、特許権者を訴えるという場合、hold Licensor harmlessで、特許権者にはご迷惑はかけませんよという規定ですね。

10.Other Provisions
1) Termination この契約は継続的な契約ですから、Licenseeの倒産、契約違反(ライセンス契約のみならず、それと密接な関係の契約違反を含む場合があります)の時などの規定を入れます。Terminateされても、直ぐに生産できないとなるとお客さんへの供給責任等もありますので、その辺の規定を入れることもあります。勿論、その間はRoyaltiesの支払い義務はありますね。
2) 契約期間、自動延長するかなどの規定も入れます。
3) 普通は、Prohibition of Assignment and Sub-Licensingの規定が入りますね。
4) その他の一般条項は、以下ぐらいでしょうか。Approval(当該国で要求される場合), No Waiver, Complete Agreement, Modification, Title (reference only), Notice, Arbitration, Relationship, Force Majoure, Confidentiality (但し、製品の顧客が技術情報等を求めるときは、Licensorの同意のもと、同意の範囲内の開示は可能と入れるときがあります)

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製造ライセンス契約について その3

2021-06-18 20:46:46 | 商事法務
前回からの続きです。

5 Consideration for Grant of License including providing Technical Information and Technical Services
技術支援は、派遣タイミング、期間、人数等がわからないことが多いですね。従い、ライセンスと技術情報と別のお金の取り方となることが多いでしょう。また、派遣費用と報酬部分に分かれます。注意点としては、現地の給与レベルに比し当然かなり高額になるので、相手となかなか金額が折り合わない一方、余りに低い金額にすると日本の税務署が「安すぎる」と文句をつける可能性があることですね。

5.1 Royalties for Grant of License and providing Technical Information
5.1.1 特許実施料の取り方にはいろいろ考えられますね。
(1) Onetime lump sum payment 一括払いですね。契約締結後xx以内に支払えというのが多いですね。
(2) License Maintenance Fee- 毎期(年)一定金額を支払うものです。
(3) 製品売上にリンクしたRunning Royaltiesですね。例えば、Licensee shall pay to Licensor a royalty of two point five percent (2.5%) of the net Sales Price of the Products sold by Licensee during the term of this Agreement.
(4) 例えば、契約時に一括払いを受け取り、その後Running Royaltiesを、売上高の一定率を受け取る場合も多いですね。この場合は、Licenseeの売上高を調査する権限などの規定も必要になります。

5.1.2. Payment of Royalty shall be made within thirty (30) days after the end of each half year period for all Products sold or otherwise disposed of during such half year.
5.1.3 Record keeping and reporting. Licensee shall keep accurate records showing the quantity, price and date of sale of all Products sold by Licensee during the term of this Agreement and Licensee shall furnish Licensor within thirty (30) days after the end of each half year a certificate showing the quantity and Sales Prices of such Products sold or for any taxes withheld by Licensee or paid on behalf of Licensor. Licensee shall permit inspection and verification of all such records by representative of Licensor at reasonable times and upon reasonable notice.

5.2 Fee and Expense for Technical Assistance
ここでのポイントは、派遣費用と技術支援の報酬の峻別ですね。技術支援の報酬は、派遣元の報酬ですし、これに対して現地で租税条約に従った源泉徴収がされます。この源泉徴収税は派遣元が現地税務当局に支払う税金ですので、納税証明を取り付け、日本での税額控除の対象にしてもらわないと損しますね。一方、派遣費用は、費用補填ですし、一種の立替費用ですので、源泉徴収の対象外になります。もし、立替費用と報酬が明確に分けられていないと、この両者の金額の合計金額から源泉徴収されることになるので面倒になりますね。
5.2.1 The following fee related to the provision of services by Licensor shall be borne by Licensee.
- Daily allowance of US$xxx.00 per person per day (including meals) for the period from departure date to returned date including Saturday, Sunday and Public Holiday.

5.2.2 The following cost and expenses shall be borne and reimbursed by Licensee to Licensor when such cost and expenses are paid by Licensor/Licensor’s engineers.
(1) Transportation expenses of engineers – airfare (economy class ticket including related taxes), travel insurance (including the cover of injury and/or sick) and transportation cost from home to airport and from airport to hotel (both way)
(2) Communication expenses
(3) Hotel (accommodation) charge
(4) Charge of car with driver or appropriate alternative transport cost.

6. Payment of Royalty and Fee
6.1 Currency. -売上は通常Local Currencyですので、それをUS$払いにするのか、その時の換算をどうするのか等の定めもしておかないといけません。例:All payments made to Licensor pursuant to this Agreement shall be in U.S.Dollars. The net Sales Price shall be converted as appropriate into U.S.Dollars at the exchange rate used by a principal international bank in xxxx effective at the close of the last business day of each half year period prior to calculating the royalty due for that period or, as to Technical Assistance Fee, at the time of remittance.

6.2 Taxes. Any taxes required to be withheld by the Government of the Territory applicable amounts which become payable to Licensor under this Agreement shall be paid by Licensee on behalf of Licensor and deducted from the amount of payment which is to be remitted to Licensor. Licensee agrees to furnish Licensor with the payment certificates or receipts from the appropriate tax authorities for any such taxes which have been so paid for.

6.3 Late Payment. Licensee shall pay interest at a rate of ten per cent (10%) per annum to Licensor on all payments not made in a timely manner pursuant to the above Section 5.1.2. Licensor’s receipt of such interest, however, shall not eliminate or prejudice any of Licensor’s rights of termination as hereinafter set forth.

特許のライセンスは実施許諾ですので、特許をLicenseeが、きちんと実施できるようにするのがLicensorの義務になります。従い、Patent Infringementのときどうするかとか、そのIndemnificationをどうするか等を規定しますね。また、米国の契約等は、契約記載事項以外は、No Representation & Warrantyの条項が入ります。長くなるので、次回にします。
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製造ライセンス契約について その2

2021-06-08 20:30:01 | 商事法務
前回の続きです。ライセンス契約の内容に入って行きましょう。

LicensorからLicenseeに提供するものは、1) 特許のライセンス=実施権。2) 技術情報ですが、操業Manual、検査基準、メインテナンス作業手順書等。3) 技術支援、即ち技術者が技術提供先に行って操業支援するーこの3つが必要です。この3つが有機的に機能することにより、製品の製造技術が移転できるわけですね。更に、これに加えてこれら支援をしても、受入側の技能者がTrainingを受けマスターしないと身に付きませんので、Trainingの条項を入れることもありますが、受入側がマスターするかの保証はできないですね。

特許を発明するときに得た種々の技術的な知見、操業するときに試行錯誤しながら得た効率的かつ品質維持の実際のノウハウ等が記載されたマニュアル・手順書。しかし、ライセンス・技術情報を与えても、直ぐにLicensorと同じ生産が可能かといいますと、そんなことはないです。Licenseeにきちんとした操業が可能になるには、こういったノウハウを身に着けた技術者が現地に行って、教えてLicenseeの技能者がマスターして初めて、同等の品質の製品を同等の効率性・歩留まりで作れるわけですね。

では、この3つの支援と、Licenseeからのお金の取り方とはどういった関係でしょうか?一番お金に換算しにくいのは2)の技術情報の提供ですね。マニュアル代は〇〇〇ドル。検査基準書は〇〇〇ドルという決め方もありますが、即ちノウハウ提供料を、相手から取ろうとしても、なかなか算定できるものではないです。従い、(1) 結局一式50万ドルとか「エイヤー」と決める方法か、あるいは(2) 特許の使用料(Lump-some 又はrunning royalties)に含めるかぐらいが実際的ではないでしょうか。

上記の例外は、親子間(100%子会社)のライセンス契約ですね。ノウハウを持った技術者が出向するのが通例ですから、契約も簡単で良いですね。

2. Grant of License
2.1 License Grants. Subject to the terms of this Agreement, Licensor hereby grants Licensee for the Term a royalty-bearing non-transferable right under the Patent Rights to make, use, sell, offer to sell and lease the Products and use the Technical Information to be provided by Licensor for manufacturing the Products in the Territory.

2.2 Exclusivity. In order to establish an exclusive period for Licensee, Licensor agrees that it shall not grant any other license to make, use, sell, lease and import the Products in the Territory during the period of time commencing on the date hereof and extending to the end of the Term.

3.Technical Information
3.1 Without prejudice to the generality of Section 1 (c) , “Technical Information" shall include but is not limited to the following which shall be supplied to Licensee by Licensor to the best of Licensor’s knowledge and information.
(a) Information as to Materials
i) Material specification
ii) Names of materials’ suppliers
iii) Sources of supply know to Licensor

(b) Information as to the method of manufacturing and processing
i) Process Flow diagram
ii) Production standard

(c) Information as to tools and machines
i) Machine tools specifications
ii) Tooling specification and drawings
iii) Machines and tools setting procedures

(d) Information as to Inspection
i) Inspection standard specification for incoming materials, process as well as finished goods.
ii) Quality control chart
iii) Gauge drawings for measurement

(e ) Operation method and/or advice
i) Layout of production equipment
ii) Operation optimization of machines
iii) Cost reduction procedure
iv) Quality assurance program and procedure
iv) Preventive maintenance program

(f) Factory layout and/or advice
i) Overall factory and line design
ii) Environment control and waste management

Licensor shall furnish such Technical Information to Licensee in English to the best of Licensor’s abilities.

ここでは、Licenseeがライセンス=特許実施権を受ける際に、新規に製造ラインの増設などを行う場合を想定していますので、結構提供する技術情報は多いですね。
新規設備をLicensorから購入する場合がありますね。標準設備に、独自の改造を加えた機械設備・工具などです。この機械設備・工具販売でも、Licensorは適正利潤を得られます。工具でも、定期的に新品が必要なときは、継続的な販売もできますね。その部分は別の部品供給契約の締結になります。

3.2 Licensor warrants that all Technical Information disclosed and rendered or to be disclose and rendered to Licensee under this Agreement is, or will be, to the best of Licensor’s knowledge and belief, accurate (provided always that Licensor will promptly correct any errors in the Technical Information subsequently discovered by Licensee).

In the event that Licensee suffers legal suits pertaining to the use of the said Technical Information, Licensor shall provide necessary support to Licensee in overcoming the said legal suits.

4.Technical Assistance and dispatch of Licensor’s Engineers
4.1 Technical Assistance
Licensor shall, at the request of Licensee, provide Licensee with the following Technical Assistance:

(1) With regard to planning of the Plant including total facilities for manufacture of the Products:
i) Preparation of basic plan of the Plant;
ii) Preparation of layout drawing of the Plant including a list of Machinery and Equipment in relation to the site of the Plant, as well as consultations aimed at the correct technical administration of the functional design, construction and facilities of the Plant;
iii) Planning of supply network for gas, electric power, water, air, etc.;
iv) Counseling to the Licensee's constructor involved in the Plant and construction of the Plant.

(2) With regard to the Machinery and Equipment:
i) Advice on Licensee's procurement of the Machinery and Equipment from suppliers;
ii) Supply useful Technical Information on the Machinery and Equipment.

(3) With regard to the starting and initial operation of the Plant:
i) Consultation and advice for installing the Machinery and Equipment in the Plant up to such time when production of the Products reaches "at running level";
ii) Counseling by Licensor's engineers for the determination of parameters that will control the efficient operation of the Machinery and Equipment in the Plant;
iii) Supervision by Licensor's engineers for such directions and explanations as may be necessary for smooth operation of the Machinery and Equipment;
iv) Other useful advice on or about the operational optimization of machines, cost reduction procedure, inspection of the Products and environmental control and waste treatment if any and requested by Licensee.

4.2 Dispatch of Licensor’s Engineer
Upon request of Licensee, unless otherwise agreed, Licensor shall agree to dispatch Licensor-nominated engineers (including such engineers of its subsidiary) to provide Licensee with the Technical Assistance mentioned in 4.1 above, at such mutually agreeable time arranged in advance and for such reasonable duration which will not unduly interfere with the normal operation of Licensor:
(1) To dispatch appropriate number of engineers to provide Technical Assistance for the purpose of investigation of the Plant site, making basic plan and layout drawing of the Plant, installing and commissioning the Machinery and Equipment and other assistance mentioned in 4.1 above and furthermore relating to the production of the Products;

(2) The number of engineers dispatched by Licensor to Licensee’s Plant shall be mutually agreed upon;

(3) The engineers dispatched by Licensor to Licensee’s Plant shall have enough expertise and capability of performing their tasks efficiently;

(4) The period of stay for engineers dispatched by Licensor to Licensee’s Plant shall be in principle no more than fourteen (14) working days per visit;

(5) The period of stay for engineers shall mean the time from when the engineer leaves Japan to the time that such engineer returns to Japan, excluding any private holidays taken during the course of such engineer’s voyage;

(6) The working hours for Licensor’s engineers dispatched to Licensee will be in principle to follow Licensee’s normal working hours for day-shift operation, but will not exceed forty (40) hours per week excluding lunch breaks.

結構長くなりました。この続きは、次回にします。

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製造ライセンス契約について その1

2021-05-25 08:51:34 | 商事法務
〇ライセンス契約と言ってもいろんな種類のライセンス契約がありますね。日本のメーカにとってよくあるケースは、特許使用許諾、技術ライセンスや技術支援契約でしょうか。その他商標ライセンスとかソフトウェアライセンス等もありますね。また、Know-How License契約というのもあります。Know-Howは移転するものという考え方で、移転機期間の上限を定めている、即ちいたずらに延長することを認めていない国等もありますね。

・特許などの知的財産は、それを取得した国でしか効力がありません(各国特許独立の原則)。即ち、特許権等の効力は権利を取得した国の中でしか及びません(属地主義)。従い、日本のメーカが、外国企業に特許ライセンスする場合は、当該国で特許を取得しておくことが前提ですね。ただ、国際出願も行うと、即ち工業所有権の保護に関するパリ条約(「パリ条約」世界百数十カ国が加盟)に基づき、パリ優先権と呼ばれる権利が生じますので、それに基づき、特許を取りたい国への国内移行手続きを行い、当該国の特許を取ることになりますね(PCT国際出願制度=出願であって、国際特許というものはないですね)。

・ライセンス契約での注意点は、一般的には租税条約に基づく減免対象ですので、Licensor がLicenseeから受領するRoyaltyについて、支払国側でLicensorの税金としてLicenseeがwithholdして軽減された税額を当局に収めなければならないことですね。その納税証明書をLicenseeが取得してLicensorに送付して、Licensorが納税申告の時に税額控除を受けられるということですね。Licensorが日本の企業でも、例えば米国企業の支払ならIRSにForm:W-8BEN-E(Certificate of Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding and Reporting (Entities), is used by a foreign entity)の提出が必要ですね。しかし、こういった書類の提出を要求しない国もあります。

〇 特殊な例としては、中国企業とライセンス契約をするときは、その契約内容とRoyaltyの支払額等を当局に登記しないといけないことですね。中国当局は、その内容を把握し、また盗んだりする制度を設けています。詳細は、JETROがWebに中国ライセンスマニュアルを掲載していますので、それをご覧ください。この登記をしないと、海外への送金=提供者へのRoyaltyの支払いができないという規制になっています。また登記・登録の制度は、ブラジルでもされていますので注意が必要ですね。

〇 では、具体的な契約書を例として考えてみましょう。ある日本の企業が製品の製造特許(Manufacturing method patent)を保有し、東南アジアの国に資本関係のある会社を有し、その会社にパテントのライセンス(専用実施権許諾=exclusive license)と製法の技術支援をする簡単な例ですね。パテントの内容だけを見ても、当然製品はすぐには作れませんね。関連の技術情報の提供とか、実際の技術支援・指導をしないと製品は作れません。これはTechnology Transferですね。しっかり提供しないとライセンシー側では作れないけど、逆にきちんと教えるとその技術を相手は習得するわけですね。痛しかゆしですが、日本で製造していてはコスト的に合わないとかとなると、やはりTechnology Transferは、時のながれですね。
その際重要になるのが、現地国での特許の登録ですね。これをしていないと、Licenseeは、技術を習得すると、自分で製造できますからね。

日本では、専用実施権を設定するには特許庁に設定登録申請書を提出して、登録しないといけません。海外でもRegistrationの制度があります。Exclusive Licenseであろうが、non-exclusiveであろうが登録できるようですが、登録するかは任意という国もあるようです。勿論Registrationした方が、Licenseeの権利としては一般的には確かなものになりますが、侵害されても排除をenforceableするのが大変だったりするケースも多く、また時間がかかるところもあるようなので、その辺はLicenseeの国の知財権専門の弁護士に聞くしかないと思います。

ライセンス契約では、契約目的の製品や使用地域、その他必要な定義がまず書かれます。
l . Definitions
As used in this Agreement, the following terms shall have the following meanings:
(a) “Products” shall mean xxxxx that Licensee manufacturer in the Territory for the customer (”Customer”, which expression shall include its successors and assignees), including such other products which Licensor and Licensee may agree to manufacturer and/or develop in future. (特許を使用して製造できる製品のうちの一つの製品とすることにより、ノウハウの技術移転の範囲を限定できる場合がありますね。また、その製品を特定顧客向けに限定するのも方法ですね)

(b) “Territory” shall mean the geographical area under the jurisdiction of xxx xx.

(c) “Technical Information" Patent Licenseに加えて技術指導する場合なので、定義は広くカバーするような定義を記載します。メーカの場合には、当然特許を取得した製品の製造マニュアル等がありますね。そういったものも、実際の製造には重要になりますね。-shall mean any technical know-how, facts, trade secrets, description and patent applications, data or advice oral or written (in the form of reports, letters, drawings, training and operation manuals, specifications, material, sources of materials or supplies, photographs and the like) relating to machines, compositions, designs, mold, methods, technical processes, advertising and merchandising programs and the like, used commercially by Licensor in the manufacturing, processing, inspection & testing, packing, marketing, distributing or sale of the Products in the regular course of its business during the term of this Agreement and in possession of or which may be acquired at any time and from time to time by Licensor and relating to or in respect of or use with the Process and method for producing the Products and alter part of which may be necessary to enable Licensee to manufacture the Products but shall not include:
(1) any information which Licensor has received or receives from a third party which information Licensor is unable to disclose lawfully to Licensee, or
(2) any information that Licensor develops for, or develops in cooperation with a third party and which information Licensor is unable to disclose lawfully to Licensee or the use of which requires the payment of royalties by Licensor to such third party except which such use by Licensee is permissible upon payment of an appropriate royalty by Licensee.

(d) “Patent Rights” shall mean -- 特許のタイトルや番号・日付等を記載します。日本の特許と相手国での特許も書きます。Patentは、基本特許が一つだけというよりも、関連特許もあります。一つの特許よりも、いくつもの特許を組み合わせて使用しないと、製造できないような特許をわざと取得するわけですね。Patent Nos. 5,005,681, 5,193,653, 7,461,645 and 8,569,477 and all patents that are related to any or all of those patents through priority or otherwise, directly or indirectly, including but not limited to, continuations, continuations in part, divisions, reissues and reexaminations thereof.

(e) “Equipment” – Licensorが、製造機械を自己の特許製品を製造するために改造している場合がありますので、その場合には、Equipmentの定義も、specially designed by Licensorとして定義を書く時があります。

(f) “Sales Price”- Royaltyが販売価格の一定率の場合には、Sales Priceの定義をします。

(g) “Term” shall mean the term of this Agreement which shall commence on the execution date of this Agreement and shall remain in effect until the expiration or abandonment of all issued patents and filed patent applications within the Patent Rights mentioned herein, unless earlier terminated in accordance with the provisions of this Agreement.

長くなります(疲れます)ので、ここから先は次回にします。


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合弁子会社とのDebt -Equity Swap取引 その4

2021-05-04 20:49:14 | 商事法務
前回の続きとして、転換条項や残余財産分配優先の条項についてですね。

2.Conversion (転換株式で普通株にする例)
(a) Optional Conversion(取締役会がConversionの権利を持つ場合です). Each Convertible Preference Share may be converted, by the unanimous approval of the Board, into fully paid and non-assessable ordinary shares. Partial conversion is possible – by the unanimous approval of the Board, it shall decide number of Convertible Preference Shares to be converted into ordinary shares.

(b) Conversion Ratio. One Convertible Preference Share shall be converted into 50 ordinary shares of the Company.

(c) Mechanics of Conversion. Upon the notification from the Board of the conversion, the holder shall surrender the certificate(s) representing the Convertible Preference Shares, duly endorsed. The Company shall, as soon as practicable after such surrender, issue and deliver i) certificate(s) representing the number of ordinary shares to which such holder is entitled and ii) new certificate(s) representing the (remaining) number of Convertible Preference Shares not so converted.

Any Convertible Preference Shares converted into ordinary shares shall be retired and may not be reissued by the Company.

(d) Fractional Shares. No fractional ordinary shares shall be issued upon the conversion of Convertible Preference Shares.

3.Liquidation Preference(残余財産分配優先の条項)
優先株の内容として、会社が解散・清算するときに残余財産の分配を、普通株株主に優先して受けることができる条項を記載することがあります。米国のベンチャーキャピタルとの投資契約では、残余財産の優先分配は、まず必ず入る条項ですね。
3.1 Upon any liquidation, dissolution or winding up of the Company (collectively called “Liquidation”), whether voluntary or involuntary, the holder of Convertible Preference Shares shall be entitled to be paid out of the assets of the Company available for distribution to its shareholders, an amount in cash equal to the aggregate Liquidation Preference (as defined below) at the date of payment, which amount shall be paid before any distribution or payment is made upon any ordinary shares.

The holder of Convertible Preference Shares shall be entitled to no other or further distribution of, or participation in any remaining assets of the Company after receiving the full preferential amounts provided for in the preceding sentence. (この条項を入れずに、普通株株主へ分配されるときに、優先株株主も参加できる条項を入れるときもあります)

Upon any such Liquidation, after the holder of Convertible Preference Shares has been paid in full the amounts to which they are entitled, the remaining assets of the Company may be distributed to the holders of ordinary shares.

例えば、優先株株主も普通株株主への分配に参加する条項は、以下ですね。
the remaining assets shall be distributed ratably to the holders of ordinary shares and Convertible Preference Shares, on an as-converted basis, until the holders of the Convertible Preference Shares have received an aggregate of two times (2X) the Purchase Price.(2倍の制限付ですね)。

3.2 Liquidation Preference:
Liquidation Preference measured per Convertible Preference Share shall mean an amount equal to the sum of (i) the Issue Price (or the Purchase Price by the holder of Convertible Preference Share) , (ii) an amount equal to the amount of cash dividends that would have been payable on such Convertible Preference Share had the Board declared and paid the Convertible Preference Dividends from the Issue Date to the date of such liquidating distribution, less any cash dividend amounts actually paid on such Convertible Preference Share during such period, plus (iii) without duplication, an amount equal to all declared and unpaid Convertible Preference Dividends.
In the case of clauses (ii) and (iii) hereof, such amounts will constitute part of the Liquidation Preference whether or not such unpaid dividends have been declared or there are any unrestricted funds of the Company legally available for the payment of dividends.

Others
合弁子会社は閉鎖会社ですので、普通株には当然譲渡制限がついていますが、当然優先株にも譲渡制限をかけますね。
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