○ 英米系及び日本の法人(設立準拠法主義を取っている場合)では、本店等の所在地で全世界所得に対し課税されるとともに、国外所得はその発生した国でも、その国での源泉所得に対して課税されます。即ち、ある国において外国企業が、支店や子会社ではなくても事業を行った場合は、基本的にはその国の国内の税法に従って、
(1) その国に所得の源泉があるか、
(2) その国で課税対象となる事業を行っているか、
(3) その国に事業を行う為の何らかの拠点を有しているか
等の基準から、課税か非課税かの判定が行われるが、二国間で二重課税防止のための租税条約を締結している場合には、租税条約上の既定が、国内税法に優先して適用されることになりますね。
○ 租税条約上、事業所得はPE(Permanent Establishment=恒久的施設)がある場合のみ課税されるというのが原則となっており、国内法上、課税要件を満たしていても、外国企業は租税条約上のPE(=租税条約で定義される)がなければ課税されません。原則と言いました、中国のようにPEが無くても、中国企業の持分(株式)を売却してキャピタルゲインを得れば、当該外国企業そのものが、中国でPEを持たなくても課税するという例もあります。インドでもそういった例があるようです。<o:p></o:p>
○ Doing Business(=事業を行っている)というのは、外国企業がその国において、商品販売、物流、動産・不動産賃貸等を行い、その国の課税対象となる事業を行うことを言います。では何が、Doing Businessかは、当該国の税法をもとに判断しますが、単なる駐在員等の情報収集・連絡事務所、商品購入、株式投資等を行うだけでは、Doing Businessにはならないと考えられています。しかし、中国は株式・持分投資の譲渡益にも課税します。中国では国際的な課税の常識は通用しません。<o:p></o:p>
○ PEとは、ある国において事業を行う上での拠点であり、支店・事務所、工場、一定期間を超える工事現場、外国企業の為に活動を行う代理人等を言います。尚、中国では会社法上は支店設置ができることになっていますが、現在まで銀行・保険会社以外で支店設置の許可を下ろしたことは無いと思います。Doing Businessとの関係ですが、普通は拠点を持ちますが、別に出張ベースでもビジネスが出来ますし、現地に現地企業の代理人を設けても、自らPEを持たずに事業はできますね。<o:p></o:p>
○ PEは、租税条約で定義されますが、運用が問題で、グレーの場合はPEだとして課税される可能性があります。以下いくつか例を挙げましょう。
(1) 相手国での在庫・リース資産を本国企業が持つ場合:在庫・リース資産そのものはPEにはなりませんが、その在庫・リース資産を常時管理する事務所や代理人がいれば、それがPEとみなされる。
(2) 工事監督者の長期派遣
(3) パートナーシップが相手国で事業を行っている場合、そのパートナーシップが参加者のPEとされる場合。
(4) 現地法人を、単なる販売代理店(ブローカ)として起用して、自ら販売代理店をコントールする場合、あるいは代理店の販売リスクを本国企業が保証している場合。
大体以上ぐらいでしょうか。
お知恵をお借り出来たらと思い投稿します。
米国向け輸出でDAP等の引き渡し条件で物流費を日本が負担して輸送をした場合、Doing Business上課税対象となるのでしょうか?
ご参考までに、中国やインドでの理不尽なPE認定・課税の事例は、経済産業省の資料↓のP7以下等該当の個所をご覧ください。(まさる)
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/kazeimondai/PDF/kazeimondai_syousai.pdf