もし考え方がおかしければ、ご教示お願いします。
会社法施行規則124条(社外役員を設けた株式会社の特則) 6号では、事業報告の内容の中に、社外役員の報酬等について以下を記載することを求めています。しかし、社外役員がいるにも拘わらず何も記載していない上場企業もあります。理由として、社外役員は株主企業の従業員であり、報酬は無しなので書かないと勝手に解釈して記載していないということではと思います。
・ また、NTTドコモは、4名の社外役員がいますが、社外役員の報酬等の総額としては、3名で69百円(1人当り2300万円。すごいですね。)と記載されています。即ち1名は無報酬なんですね。その1名は、多分親会社NTTの経営企画部門の部長ですね。記載としては下記の6号のハなのでしょうか?(全部ではないのでイではない)わかりませんね。施行規則どおりの表示ではないですね。
6 当該事業年度に係る社外役員の報酬等について、次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項
イ 社外役員の全部につき報酬等の総額を掲げることとする場合=社外役員の報酬等の総額及び員数
ロ 社外役員の全部につき当該社外役員ごとの報酬等の額を掲げることとする場合=当該社外役員ごとの報酬等の額
ハ 社外役員の一部につき当該社外役員ごとの報酬等の額を掲げることとする場合=当該社外役員ごとの報酬等の額並びにその他の社外役員についての報酬等の総額及び員数
○ 一方、法人税法22条2項には以下の様に規定しています。「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」
・ 即ち、これは以下の考え方によるものですね。役務の無償提供があった場合には、その役務の経済的価値が提供者から相手方に移転し、これにより当該役務のもつ経済的価値が実現し、この価値相当額を当該取引に係る収益として益金の額に算入し、その役務提供のために生じた費用を損金の額に算入したうえ、その役務の提供が無償のときは役務の時価相当額を、その性格に応じ相手方に対する寄付金、給与、交際費、その他の費用等として処理する。」というのが税務当局の考え方ですね。
○ 無報酬の役員と言うと、大企業が設立した子会社には多くの無報酬役員がいますね。親会社が指名・選任した取締役ですね。月1回ぐらいの取締役会に出席し、その会社の事業等の意思決定に参画します(まあ、中には株主・親会社の立場でしか発言しない人とか、唯の雑談ぐらいしかしない非常勤取締役も多いですけどね。)。本来なら、当該会社の為に働いているわけですから、当該会社が役員に報酬を払うべきですが、払っていませんね。一方、無報酬役員を選任した親会社から見れば、無償で、使用人等をして役務を当該会社に提供しているわけですね。
・ 上記考え方に依れば、無報酬役員も当該会社の業務に貢献している訳ですから、収益・費用を計上し、税務上益金・損金を認識するということですね。ところが現実には、無償で役務を子会社等に提供しても課税問題等起こっていませんね。どうしてなんでしょうかね。
○ 答えは簡単ですね。役務提供は無形であり、収益・費用を認識することが簡単には出来ないからですね。会計実務でそういった収益・費用を認識している会社は殆ど無いと思います。ということは、税務署としては捕捉が無理なので、結果として課税問題が生じていないというのが実情ではないでしょうか。