○ 連休で時間があったので、日経ビジネス(前回の4.23号)を見ていたら、「HOYA、戦略変更の裏事情―ペンタックス合併に「資本拘束条項」の壁」という記事がありました。
HOYA首脳は「ペンタックスとある企業との契約が合併のネックになった」と話す。「チェンジ・オブ・コントロール(資本拘束条項)」が含まれている模様だ。M&Aに詳しい弁護士さんが「M&Aの増加を背景に、欧米では企業間の契約に盛り込まれることが増えている」と言われたと書いていました。
○ 私は、新聞記事や雑誌記事をちょろちょろ見ているだけですし、全く門外漢の第三者ですから実際どういった契約条項があるのか勿論わかりません。しかし、契約としては有価証券報告書に「経営上の重要契約等」として、以下の技術契約と買収防衛策として信託型ライツプランの新株予約権管理信託契約を三井アセット信託銀行と締結した旨が記載されています。
○ 技術契約7件の記載があります。米国企業とのデジタルカメラに関する特許実施権の許諾等が5件、豪州企業との共焦点内視鏡の共同開発及び商品化1件、それと日本のキャノンとデジタルカメラ及び銀塩カメラに関する特許実施権のクロスライセンス契約を結んでいます。
キャノンとの契約は、合併されるとデリケートな問題を起こすかも知れませんね。
○ 「資本拘束条項」というのは不正確といいますか、違うでしょうね。だって合併は駄目で、TOBならOKと言うことですからね。TOBは、本件の場合、普通は役員の選任の議決等ができる過半数を目指しますね。つまり親が変わるわけです。TOBで資本関係が変わるわけです。資本拘束条項があればTOBでも駄目になる筈でしょ。例えば「新たに50%超保有の株主が出現したときには、相手方は本契約を解約できる」等というのが資本拘束条項ですからね。また、ペンタックスは上場企業ですから、株主は絶えず変動しますね。24%保有のスパークスも、12.6%保有のフィデリティも昔から株主であった訳ではありませんね。上場企業で、資本拘束条項というのは考えにくいですね。
日経BPも適当なこと書いてますね。よくあるケースですけどね。
○ 欧米の本来の「Change in Control Clause」というのは、こういう場合の条項ではありませんね。欧米企業の経営幹部の受任・雇用契約等で、会社が買収されたときは、がっぽりお金を貰える(&辞める)場合の条項です。即ちGolden Parachuteと言われているものです。会社が買収されたときは、買収者が新経営陣を指名します。即ち、旧経営陣は退任・退職ですが、その際にがっぽり退職報酬、ストックオプション、ボーナスの支給を受けると言う規定の事です。経営幹部が自分の地位を脅かされる場合、即ち上場企業では、1/3超とか35%以上を新規株主が取得した場合、非公開会社の場合は50%超を取得された場合などが、Golden Parachuteの発動条件です。
○ では、ある企業との契約が合併のネックになった契約の条項とは何でしょう。私の推測は簡単です。他社と合併したときは、相手方が契約を解除・解約できるという条項があったためだと思います。即ち「次の各号の一に該当するときは、本契約を解除することができる。」等として、契約違反の場合は一定期間を与えて催告したときとか、民事再生、破産、又は会社更生の申立を受け、もしくは自ら申立をしたときの他に、合併したときとか、消滅会社として合併したとき等というような条項があったのでしょう。
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