まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

Corporate Seal(会社印)の押捺と署名

2015-09-27 17:27:10 | 商事法務
英国では、Corporate Bodies’ Contract Act, 1960により、約因(Consideration=対価)があれば、当該契約の締結権限ある者の署名のみにより、Corporate Seal (or Common Seal)がなくとも、契約として有効に成立しますね。契約締結の簡略化・スピード化の要請ですね。署名に加えてCorporate Sealの押捺は、手間がかかりますからね。しかし、重要契約では、正式には、Corporate Sealが押捺されている方がいいですね。Corporate Seal押捺の契約書は、取締役会のAuthorizeが推定(presumption)されるからですね。しかし、最近は、米国などではPDF上の署名だけでも効力が認められていますね。署名権限のある人は、出張も多くオフィスにいないことも多いですから、実務上の必要性からでしょうね。

日本の場合は、商法32条に、「この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。」という規定がありますので、法務局届出済の代表取締役の印鑑を押せばいいですね。大半の場合は、代表取締役は、事務レベルがどんな契約書に代表印を押しているか知りません。代表取締役がいなくても押印できますので、本人の署名をとる必要がないので、便利です。ただ、日本では代表取締役は会社の代表権を持っているので、代表取締役印であり、会社印ではないですね。この代表印のほかに所謂角判と呼ばれる会社印があります。請求書や受取書などルーティンの事務処理には角判が押されます。会社の行為ですよということでしょうね。

中国の場合は、法定代表人(総経理あるいは董事長)の署名+会社印ですね。そのほか法定代表人個人の印鑑もあります。中国の会社印は、日本のか角判と同じような機能ですね。種々の書類に、ポンポン押捺されます。ただし、日本の場合と異なり、会社印の作成は公安当局の許可がないと作製できませんね。

シンガポールやマレーシアは、英国法系ですので、本来ならCorporate Sealを押捺するのが原則でしょうけれども、最近はあまり押捺しませんね。その代り契約書の署名の際には、証人の署名を要求する場合が多いですね。

タイでも会社印が一般的ですね。正式な契約書の場合には、署名+会社印押捺が必要でしょうけれども、あまり会社印は押されていませんね。タイでは、登記のときに企業省にAuthorized Directorの届出をしますので、そのauthorized Directorの署名があれば、契約として有効でしょうね。しかし、会社印も頻繁に押捺を求められます。日本の角判の機能もありますね。中国との違いは、別に公安の許可がなくても作製できます。そこが少し柔軟ですけれども、逆に銀行の口座開設のときに開設書類が、会社印+権限者の署名等、いっぱい届出でる必要がありますね。
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Letter of Comfortについて

2015-09-12 00:33:49 | 商事法務
○ 子会社・関連会社等が銀行から融資を受けるときに、銀行から保証状・Letter of Guranteeの提出を求められることがありますが、保証状を提出すれば計算書類等に偶発債務(Contingent Liabilities) 表記しないといけませんね。子会社の場合には、保証状提出はできませんと言うことも難しい場合もありますが、それでもLetter of comfortで済ませる、また関連会社の場合には、保証状を出すのはためらわれますが、事情によっては、支援姿勢を見せないといけない場合もあります。その他いろんな事情(Credit Ratingの悪化懸念など)があって保証状は出したくない場合もあります。そういったときにLetter of comfortというものを出す場合があります。銀行にとっては、Comfortですので「慰み」になりますし、発行する方も、まあハッキリ保証するとは記載しないので、一種の妥協レターでしょうね。契約書は、明瞭に書くのが大切ですが、Letter of comfortは、保証しているのかわからない曖昧な書きぶりで、まあ双方が納得するというものですね。Legally bindingにならないように記載します。今回は、このLetter of Comfortの曖昧文言を、いくつか曖昧に書きましょう。Letter of Comfortという名前ではなく、Comfort Letterとか、Letter of Awarenessとかいういい方もされます。

○ Letter of Comfortの例文
親会社が、単に銀行の子会社へのローンを認識しているという軽い表現から、徐々に補償するに近い表現の例です。

1) 単なる事実の表明で妥協を図る場合。
- We are aware that your bank has extended a credit line of US$10 million to our subsidiary.

2) もう少し突っ込んだ表明の場合。(一般的なpolicyの表明のスタイルをとる)
- We hereby confirm that it is our present and future business policy to provide our subsidiaries with financial means which are sufficient to enable them to fulfill all of their present and future obligations.

3) 親会社が、その子会社・孫会社の株式等を売却しませんよとか、影響力を行使しますよいう場合。
-The parent company undertakes for the life of the loan extended to the subsidiary to maintain its present participation in the subsidiary.
- The parent company undertakes for the life of the loan extended to the subsidiary to exercise its influence on the subsidiary so that the subsidiary meets its financial obligations.
- The parent company acknowledges the approval of a subsidiary company's attempt for financing.
- It is our policy to provide the subsidiary company with such support and assistance as may be required to ensure that it maintains capital and liquidity levels to enable it at all times to meet its obligations (in conformity with standards of prudence generally accepted for its field of business.)

4) これ以上書くと、保証を与えたとか損害補償(indemnification)を約したようにとられる恐れも出てきますね。特に、we shall actというのは、indemnificationをするかのように捉えられる恐れもありますね。
-It has always been our business policy to provide our subsidiaries with sufficient means to fulfill their financial obligations, and we shall act accordingly during the life of your loan.

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