○ Malaysiaの旧会社法(Companies Act 1965)が廃止され、今年1月31日から新会社法(Companies Act 2016)が施行されました。新法では、非公開会社での定時株主総会の廃止可能、書面決議可能、額面株式の廃止、発起人・取締役を2人から1人でもOK、定款(Constitution)の作成義務がなくなりましたね。画期的というか大胆と言いますか、少し現場で混乱があるようですね。
○ 従来の旧法では、基本定款=Memorandum of Association (MoA:会社名、本店所在地=Malaysiaとだけ記載してもOK、目的、有限責任である旨、授権資本、設立時株式引受人等を記載)と付随定款(Articles of Association = AoA)の作成義務があり、AoAについては、1965年法のForth Scheduleをそのまま採用する例が多かったです(MoA + AoA = Memorandum & Articles of Association = M&AA)ですね。
○ 定款作成義務が無くなりましたので、法令に違反しないかぎり何でもできるわけですが、そうかといって、(登記はするにしても)会社名も目的も定款に記載ないというのは、やはり如何かと思いますね。やはり、日本企業がMalaysiaで合弁会社などを設立する場合には、定款作成が必要ですね。当事者で決めた定款自治で会社をコントロールできますね。
○ ではどういった定款を作るべきでしょうか。合弁会社の場合の定款は、結局、i) 合弁会社設立契約の合意事項、ii) 新会社法の一部規定の抜粋とiii)定款の一般的規定より構成することになると思います。一般規定は、2017年1月施行新会社法には明記無いので、旧会社法の雛形から多くの規定を引用することになりますね。i)は、当事者が合意した事項を記載すれば良いですが、ii)については、例えば新会社法340条のPublic company(Berhad)の規定等ですね。
340条Additional Requirement for Public Companiesとして、Annual general meetingの規定を置き、(1)項で以下のように定めています。
Every public company shall hold an annual general meeting in every calendar year in addition to any other meetings held during that period, to transact the following business:
(a)the laying of audited financial statements and the reports of the directors and auditors;
(b)the election of directors in place of those retiring;
(c)the appointment and the fixing of the fee of directors; and
(d)any resolution or other business of which notice is given in accordance with this Act or the Constitution.
iii)については、i) とii)で規定した以外で、以下のような条項が入りますね。
資本金と種類株、先取特権、資本金払込請求、株式の没収、株式の承継、株式の不定額面株式への転換、資本の変更、株式譲渡、株主総会と決議、総会招集手続、取締役、マネジングダイレクター、アソシエイトダイレクター、 取締役の権限と義務、取締役選任手続、秘書役、社印、計算、利益の資本化、清算、 通知、補償(Share Capital and Variation of Rights, Lien, Calls on shares, Forfeiture of Shares, Transmission of Shares, Conversion of shares into stock, Alteration of capital, Transfer of shares, Shareholders Meetings and Resolutions, Proceedings at Shareholders Meetings, Directors, Managing Director, Associate Director, Powers and Duties of Directors, Proceedings of Directors, Secretary, Seal, Accounts, Capitalization of Profit, Winding Up, Notices, Indemnity)
○ 従来の会社の定款(M&AA)は、新会社法の定款(Constitution)とみなされますので、まああまり変わりませんが、定款作成不要の会社法の影響で、ユニークな定款作成も可能になりましたので、徐々に工夫して新しい形の定款を作成する変人?もでてきそうですね。
○ 従来の旧法では、基本定款=Memorandum of Association (MoA:会社名、本店所在地=Malaysiaとだけ記載してもOK、目的、有限責任である旨、授権資本、設立時株式引受人等を記載)と付随定款(Articles of Association = AoA)の作成義務があり、AoAについては、1965年法のForth Scheduleをそのまま採用する例が多かったです(MoA + AoA = Memorandum & Articles of Association = M&AA)ですね。
○ 定款作成義務が無くなりましたので、法令に違反しないかぎり何でもできるわけですが、そうかといって、(登記はするにしても)会社名も目的も定款に記載ないというのは、やはり如何かと思いますね。やはり、日本企業がMalaysiaで合弁会社などを設立する場合には、定款作成が必要ですね。当事者で決めた定款自治で会社をコントロールできますね。
○ ではどういった定款を作るべきでしょうか。合弁会社の場合の定款は、結局、i) 合弁会社設立契約の合意事項、ii) 新会社法の一部規定の抜粋とiii)定款の一般的規定より構成することになると思います。一般規定は、2017年1月施行新会社法には明記無いので、旧会社法の雛形から多くの規定を引用することになりますね。i)は、当事者が合意した事項を記載すれば良いですが、ii)については、例えば新会社法340条のPublic company(Berhad)の規定等ですね。
340条Additional Requirement for Public Companiesとして、Annual general meetingの規定を置き、(1)項で以下のように定めています。
Every public company shall hold an annual general meeting in every calendar year in addition to any other meetings held during that period, to transact the following business:
(a)the laying of audited financial statements and the reports of the directors and auditors;
(b)the election of directors in place of those retiring;
(c)the appointment and the fixing of the fee of directors; and
(d)any resolution or other business of which notice is given in accordance with this Act or the Constitution.
iii)については、i) とii)で規定した以外で、以下のような条項が入りますね。
資本金と種類株、先取特権、資本金払込請求、株式の没収、株式の承継、株式の不定額面株式への転換、資本の変更、株式譲渡、株主総会と決議、総会招集手続、取締役、マネジングダイレクター、アソシエイトダイレクター、 取締役の権限と義務、取締役選任手続、秘書役、社印、計算、利益の資本化、清算、 通知、補償(Share Capital and Variation of Rights, Lien, Calls on shares, Forfeiture of Shares, Transmission of Shares, Conversion of shares into stock, Alteration of capital, Transfer of shares, Shareholders Meetings and Resolutions, Proceedings at Shareholders Meetings, Directors, Managing Director, Associate Director, Powers and Duties of Directors, Proceedings of Directors, Secretary, Seal, Accounts, Capitalization of Profit, Winding Up, Notices, Indemnity)
○ 従来の会社の定款(M&AA)は、新会社法の定款(Constitution)とみなされますので、まああまり変わりませんが、定款作成不要の会社法の影響で、ユニークな定款作成も可能になりましたので、徐々に工夫して新しい形の定款を作成する変人?もでてきそうですね。
大変勉強になる記事をいつも投稿して頂きありがとうございます。
この記事を読みながら勉強させていただいているなかで疑問が出てきました。マレーシア新会社法を読んでいてもなかなか回答にたどり着けません。
もしよろしければ、マレーシア新会社法について教えていただけないでしょうか?
【質問内容】
額面株式が廃止されたということで、無額面株式になったと思います。定款は任意になったものの以前から作成していた定款は有効ということで、授権資本額1RM/1shareの記載は残っていますが、これも有効なのでしょうか?
また、無額面株式になったため、利益の資本化(Capitalization of Profit)の際に株式は発行する必要があるのでしょうか?
日本ではどうなのか調べたところ、利益剰余金の資本組入は株式発行が必須ではないとわかりました。
そのため、マレーシアにおいてはどうなのか調べてみましたがわからず、まさるさんへお聞きしたいと思った次第です。
宜しければご教授いただけませんでしょうか。
以下ぐらいではないかと思います。
〇額面株式廃止:MalaysiaのSSM(Companies Commission of Malaysia)には、新会社法(額面株廃止等)とその移行について記載があります。
以下のURLでは、新株発行(従来の額面株RM1/shareとはかかわりなく)は時価で行う(RM1未満でも、超でもどちらでも、ともかく時価)とありますので、従来の定款の額面株RM1/shareは、無視・無効になったと考えてよいと思います。
https://www.ssm.com.my/sites/default/files/companies_act_2016/part_n.pdf
〇利益の資本化: 従来のMalaysiaの財務諸表(英国式)では、資本勘定は、Share Capital, Share Premium, (Treasury share) and Retained Profitを記載することになっていたと思います。従い、従来はCapitalisation of Profitは、新株発行無しにshare premium accountに移し、Share capital accountに移すときは、新株発行が必要だったと思います。しかし、新会社法ではshare premium accountもpar value shareも無くなりました。従い、新株発行無しに、Capitalisation (米語ではCapitalization) of profitは可能だと思います。以下のEYの新会社法の解説page 5 下の真ん中に、Companies can now issue shares at a discount and capitalize profits without having to issue new shares と記載されています。
http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/EY-take-5-companies-act-2016/$FILE/EY-take-5-companies-act-2016.pdf
まさる