まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

投資ファンドによる企業買収

2007-02-28 00:20:01 | 社会・経済

     投資ファンドによる企業買収が最近報じられています。企業価値を与える・高める会社買収なら良いですが、ファンドによる投資は、MBI(Management Bu In)MBO(Management Buy Out)以外は、如何なものかと思います単なる私利私欲のグリーンメーラーには反対です。勿論投資ファンドですから、その背後にがめつい投資家がいます。自分だけではなく投資家からの運用成績アップのプレッシャーもありますが。

     企業をしっかり経営するビジョン・目標もなく、経営者もおらず、ただ金儲けの為の投資ファンドが行う会社買収というのは反対ですね。他に、債券投資とか、商品先物とかいろいろあるので、そちらに行って欲しいと思います。

     米国では、会社も売買対象の物です。私は古いタイプ?の日本人ですから、物とは考えません。会社とは、社会に貢献する有機的組織体です。そこで、人が汗をかいて、働いています。物のように扱われて、社員も簡単にレイオフされては困りますね。

     米国は、軽薄短小、獲物を狙ったら、はげ鷹・持ち去って逃げていく狩猟民族です、拝金主義のまねをしてはいけません。米国の悪い面をまねる猿まねニッポンになってはいけません。(もうだいぶなっていると思いますが)

     日本国内で80年代末に、投機資金が溢れ、不動産・商品・ゴルフ会員権等いろいろな物に資金が流れました。秀和の流通株買い占め、麻布自動車・ピッケンズの小糸製作所、光進の小谷の蛇の目ミシンの買い占め等、最近で言えば、村上ファンド、スティール・パートナーズのサッポロホールデング等ですね。

     ファンドは、お金がお金を生むという考えです。本来、お金がお金を生むことは無いです。信用創造でお金が増えるというシステムが出来上がっているために、あたかもお金がお金を生むように見えるだけです。

信用創造というのは、お金が回転しているだけです。ビールで言えば泡です。ビールを激しくかき混ぜれば泡が一杯出ます。勿論経済の活性化には、少し泡がないといけません。ビールと同じです。泡は適正にしてほしいと思います。

     経済活動というのは、もともと我々が額に汗して、手を使い、汗を出して築き上げるものですね。即ち人間の働きの上に成り立っているのが経済活動です。経済活動に工夫を凝らして余裕を生み出すのが経済成長ですね。

     お金に価値があるのは、我々の基礎的な経済活動が健全であるからですね。お金は、実質的な経済活動に即して流れるのが健全です。ビールの液体部分です。

液体が無く、泡だけになったら、早晩消えて無くなります。私利私欲の投資ファンドは虚業ですね。村上ファンドは消えました。

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取締役選任―累積投票を採用して役会を活性化

2007-02-26 00:19:24 | 企業一般

○会社法では株主が取締役等を選任することになっています。しかし、実態はそうではありませんね。現経営陣が新任役員や後継者を指名します。トップになるためにはどれだけ会社業績に貢献したかというより、社内政治の駆け引きに長けているとか、顔が広いとか、会社では無く現トップにひたすら忠誠を誓ってその意に添って行動するとかが重要視されます。これが多くの企業の現状です。

○身内で固めた取締役会は活性化しないし緊張感がありません。トップ又は少数のトップ経営陣で協議して決めた事項を事後的に承認する儀式となります。平取は、役員ピラミッド構造の平社員で、上の顔を伺います。昇役の人事権等は、会長・社長等に握られていますしね。実質既に決まっていることを取締役会で異議を唱えることなどありません。

○これでは行けないということで、監督機能強化のため社外取締役の選任を増やしています。委員会設置会社等では社外取締役がいないと成り立ちません。しかし、これも基本的には現経営陣が指名します。自分の方針に敵対的な人など指名しないですよね。せいぜい法律とか専門的なアドバイスをするぐらいの人まででしょうか。社外取締役にその会社の現場・事業の詳細などわかりませんし経営もできませんね。形を作って中身が希薄ですね。社外取締役というのは、日本では「飾り」になっているだけの人も居ますね。

日本の会社の定款は、殆ど「取締役の選任は累積投票によらない」と規定しています。

株主が取締役を選任出来るように、少しでも実を入れようとするなら、「累積投票を排除する旨を定款で定めない」と何故しないのでしょうか。会社法では、342条に累積投票の規定がありますが、「定款に別段の定めがあるときを除き」と書いています。

○経営者は、「会社は、株主の物だ」とかいっていますが、村上ファンドにぎゃぎゃ言われて始めて株主重視の配当政策を行った会社もありますね。累積投票が認められるようになれば、ある程度の株式を取得・保有すれば取締役を送り込めます。この取締役は飾りの社外取締役ではありません。取締役会が、一挙に緊張感を帯びます。年寄りの顔を見る儀式から、真剣な討議の場になります。

累積投票を排除している定款規定を変更して、取締役会を活性化して欲しいものです。

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黄金株発行会社の普通株等の上場

2007-02-24 00:15:58 | 株式関連

○ 「合併等の特別決議事項や取締役の選任等の重要事項に拒否権を有する黄金株を発行している会社の、普通株・種類株等の株券の上場は認めない」とする上場規則試案を、当初、東証は発表しました。しかし、政財界から強い反発が出ると一転して容認し上場企業にも条件付き(株主総会や取締役会の決議で消去できる場合に限って認める)で認めると方針を変更しました。

     皆さんは賛成ですか、反対ですか、あるいはその他の代替案なら構わないか、如何でしょうか。

私は、黄金株発行会社の普通株式・種類株式の株券の上場は、まあ特別な理由・誰しもなるほどと思われる理由が有る場合は、例外的に認めても仕方ないと思いますが、原則反対ですね。

特別な理由日本の安全保障等が考えられますね。

私の知る限り日本で唯一(多分)黄金株を発行している上場会社は、国際石油開発帝石ホールディングスですね。日本の石油・天然ガス確保を行う国策会社から出発しましたからね。経済産業大臣が、黄金株=甲種類株式1株の株主ですね。普通株でも、経済産業大臣は29.35%の株主であり、他の株主は、同社と共同して利権などをもつ石油会社・商社等の安定株主であり、まあ安定株主比率70%ぐらいでしょうか。

○賛成論と反対論

・政財界の主張:過剰規制だ。一律に禁止するのはおかしい。多数の株主の意思で消却できるのであれば、開示した上で上場を認めるべきだ。禁止すれば、親会社が過半数の株式を取得し、実質的に拒否権を持つ子会社上場を認めていることと整合性が取れない。

会社法で認めているものを東証が認めないのはおかしい等が言われました。

・投資家等の主張:東証の方針が覆されると日本市場への信頼を損ね、資金が流出することにつながりかねない(企業年金連合会)。新規上場でも原則認めるべきではない(学識経験者)→東証の方針は変更されたが資金流失は起こらなかったですね。

○黄金株は株主平等の原則(ここでは従来の考え方。会社法では、「各株式の内容が同一である限り同一の取り扱いがなされるべきである」と株式平等という視点ですが)に反していますね。多額のお金を投資して経営に影響力を与える比率を買収確保して、いざ取締役を送り込もうとしたら黄金株で拒否では、何の為に株式を購入したかわかりませんからね。勿論、会社の内容をきちんと調べないで、そんなに莫大なお金をつぎ込む人もいないとは思いますが。

個人投資家には、この会社は黄金株を持っているぞという、黄金マークでもつけて、誰でも直ぐにわかるようにしておいて貰わないと困りますね。株主・持株分布、株価の動きがやはり黄金株発行会社は、他の同種・類似会社と違うでしょうしね。素人の投資家は、きちんとEDINETや会社のホームページ等読まないですからね。

○黄金株論議がされた0512月ごろ、会社法で認めるものを東証が認めないのはおかしいという発言をされた大臣の方もおられますが、父ちゃん母ちゃん会社から社会に大きな影響力を持ち株式を公開している会社まで律する会社法と、証券取引法でも規律しているも公開株とはちょっと違うような気がします。

○証券取引法は、国民経済の適切な運営及び「投資者の保護」に資するため、有価証券の発行・売買等の取引を公正ならしめ、且つ流通を円滑ならしめることを目的とした法律ですね。「投資者保護」ですね。

私が気に入らないのは、東証は、「投資者」をはじめ市場利用者の視点に立って、高い信頼性と利便性を備えた健全な市場の構築を目指し、豊かな社会の実現に貢献することを企業理念とすると公に宣言しています。政治家や経済界の言っている事を尊重しますとは言っていません。しかし現実は、政府・経済界の意向に従って、ころりと態度を代えてしまったということです。これでは東証など信用出来ないと思いたくなるということです。方針を変えるなとは言いません。何故変えるか、東証内部でもしっかり議論の上合理的理由をしっかり開示・説明してから変えて欲しいと言うことです(東証内部でも議論したでしょうけど、少なくとも私の目には圧力に屈したと写りました)相変わらずの投資家(特に個人投資家)軽視ではないでしょうか?

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株式と社債の進化

2007-02-22 00:52:28 | 企業投資

株式と社債の違いは一般的に以下と言われていますね。

     株式は一般に償還がなく、株主は投下資本を回収出来ない、これに対して社債は、一般に期限が来れば元本が償還される。

     株主は、その会社が利益を上げられなかったら配当が受けられないが、社債は利益の有無によらず約定の利息が支払われる。

     株式は、払込額が資本となるが、社債は負債となる。

     社債権者は、担保の有無にもよるが、債権者であり、株主に先立って支払い・返済を受けられるが、株主はその後の残余財産の分配を受けるもので、債権者に劣後する。

     株主は、会社の所有者であり総会で議決権を行使して重要な意思決定に参画するが、社債権者はその利害に関係する重要事項のみしか決議出来ない。

上記について、

     について、逆転させたものとして、株式については償還株式(取得請求権付株式&取得条項付株式)があり、社債については永久債(会社法で社債は元本を償還するものとされているため、永久には出来ず、会社の解散時に償還するとする)があります。

     については、利率・利息支払及び期限等を定めないといけないとの規定があります。例えば、ゼロ金利時代がありましたが、利率0.0%というのは可能でしょうか?よくわかりません。仮に無理なら、例えば0.1%ぐらいにしておき、利益配当にあずかる社債(利益参加社債)や利益配当だけを受ける社債を発行すれば、株式と同じになります。ユーロ市場ではこういった社債がありますね。

     については、永久債は会計上負債でしょうか?よくわかりません。償還しない社債を負債というのもおかしな気がします。勿論会社の解散のときは償還しないといけませんが、株主の場合は財産の分配という言葉になりますが。例えば、銀行の健全性を確保するためにBISの自己資本比率規制がありますね。これでは、永久劣後債と期限付き劣後債をTier II、短期劣後債務をTier IIIの自己資本と考えていまね。

     について、考え方はそうなんでしょうけど、無担保社債権者等、会社が倒産すれば大抵のケース殆ど戻ってきませんね。

     について、最近株式特に上場株式を意識して、所有ではなく、債権的な概念で説明しようとする学説があるようです。そうですね、例えば5000万分の1の持分だとか言っても、なんじゃそれ。何の力もない。議決権も行使しない。優先株で議決権の無いのもある。

今までは転換社債が、社債から株式に転換する架け橋で一方通行でしたが、上の様に、株式と社債の間の溝がますます無くなりそうと言いますか、実質的に同じものが作れるようになり、双方通行に進化してきたように思います。

会社法は償還株式から社債への道も開きました。でも社債への転換が可能な償還株式は、多分まだ日本の会社で導入した企業はないのではないでしょうか。

どういった場合に、永久債や償還株式の必要性・需要が考えられるのでしょう?(会社型投資ファンド等を除く)

償還株式についていえば、横並び意識の強い日本企業が、バブル時代こぞってエクイティーファイナンスを行いました。その後90年代末、過大資本を特別法まで作って株式消却を行い減らしました。そのときに、社債への変換型の償還株式があれば使えたかもしれません。しかし、80年代末に10年後の日本の状況を予測し、それに備えた人もいなかったでしょうからね。どういった場合に備えて発行すれば役立つのか、実は私にはよく分かりません。どなたかこの辺のアイデアをお持ちの方がおられれば、教えて頂ければ有り難いです。

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M&A ―Due Diligence(DD)のポイント

2007-02-20 00:50:58 | M&A

M&AではDDを行って、買収対象会社の内容把握と買収金額の算出・妥当性?の検証を行いますが、その際のポイントは何でしょうか?

DDを行う際には、当該企業用のチェックリストを(出来れば自分であるいはアドバイザーのアドバイスも参考にして)作成した方が良いですね。DDの体制、とりまとめ役、責任者等もハッキリさせて、そのチェックリストに基づきマネジメントと緊密な連絡を取って行いましょう。

チェックリストは、全体をカバーし大項目、中項目、小項目に分類して、更に重要調査項目・重点度も明記、かつワンポイントコメントもつけて、当該事項の調査ポイントも記載しておきましょう。弁護士事務所などから出来合いチェックリストをもらうこともありますが、平板で何が重要かわかりません。案件毎に自分で作成しましょう。

1)             買収企業の経営陣による売却企業の経営者等との面談等

買収企業は、買収後対象企業を未来に向かって経営します。買収したら、買収事業をどの様に経営するか、自社との相乗効果・相互補完をどの様に発揮するか、どういったカルチャーで、どの様な人が働いており、差し当たりの経営陣をどうするのか等を検討します。

2)             買収企業の各部署の担当責任者による売却企業の資料の分析と必要な面談

売却企業の事業の詳細を調べて、具体的に今後どの様に変革していくかなどを検討します。メーカの場合は大変です。製品、技術力、研究開発力、品質管理、環境等調査も膨大になります。いくつもの作業グループを組成して調べます。コンピュータ・通信システムの概要を調べて更新・統合の可能性等の調査も必要です。人事制度、給与レベル、退職給付債務(厚生年金基金等)。

     ポイント:買収企業と売却企業が主役です。投資銀行・監査法人のコンサルティング部門・弁護士等は脇役です。買収結果や今後の経営に何の責任も負わない脇役をあまり頼りにしてはいけません。投資銀行等は案件が進み出すまではそれなりに機能がありますが、進み出したら多少のプロセスコントロールを行いますが、それほど機能があるわけでもありません。勿論TOB合戦や、新株予約権差し止め仮処分申請等の事態が発生したら別ですが。

3)             財務

DD

(1)    監査法人のコンサルティング会社が通常は行います。数字を通して、会社の全体像を把握します。しかし、これは過去及び現在までの調査で、事業の将来を予測するものではありません。事業を買収して経営するのは、買収企業です。

(2)    まず数字自体が信用出来るかチェックが必要ですね。(いやがる会社も多いですが)3期間ぐらいの税務申告書のコピーを入手しましょう。ポイントは、売掛金、棚卸資産等いくつかの項目ですが、退職給付債務、役員報酬等もきちんと調べましょう。棚卸資産等も年齢調べをして稼働・滞留を調べます。また、実際の棚卸資産の管理等買収企業の担当者等も管理の状況やコンピュータシステム等をきちんと調査しましょう。

4)             法務DD&契約書作成

(1)   DD:重要契約はきちんとチェックしておく必要があります。最近の国際的なライセンス契約では、合併や企業再編が行われたときは、契約解約の条項が入っている場合がありますからね。これは別に弁護士さんにチェックしてもらわなくても出来ますね。訴訟などを抱えておれば、弁護士さんの意見を聞くことも大切です。しかし、売却企業に変な締結済みの契約があっても変更出来る訳ではありません。ハッキリ言ってお金の割に、あまり機能が有るわけではありません。でも、法務DDもやったという事が買収企業の社内正当化に役立つなら、起用しても良いでしょう。

(2)   契約書作成:経験ある、また企業法務に詳しい弁護士さんに見てもらうか、作成・修正をお願いしましょう。弁護士さんによっては、あまりノウハウも無く、契約書も実務に根ざさない、抽象的かつ枝葉末節を、ぐじゃぐじゃ言う人がいますので注意しましょう。また税金問題の発生する場合は、監査法人のコンサルティング会社等と相談しましょう。

5)             買収金額の算出、妥当性?検証

(1)    買収金額は、背後事情、競争状態、力関係で決まります。1988年2月、米国のタイヤメーカであるファイアストーン(FS)とブリジストン(BS)との間で、BS75%出資でFSと合弁会社を作り、FSの海外工場の大半を、その合弁会社の傘下に収める内諾(MOU)が出来ました。ところがイタリアのピレリが、大きなお世話で、3月上旬にFS全株式を$58/株で購入するTOBを実施すると発表しました。これに対しBSは3月中旬$80/株で全株式の対抗TOBを行うと発表して決着しました。FSは事業低迷で、年初の株価は$10割れでしたが、BSとの合弁発表で$45に急騰、ピレリの横やりで結局BSは$80/株払う羽目になり、総額26億ドルで買収しました。(それからBSは、FSへの大変な追加負担と苦労が始まりました)また最近の例では、東芝のWHの買収価格は、三菱重工の倍近くの金額を提示したとも言われています。

(2)    相互補完、相乗効果のある売却企業なら、買収企業の経営者なら、だいたい勘が働く筈です。BSPLと事業概要が分かれば、相場観が働く筈です。まあ大体これぐらい、でも交渉事なので、百歩譲って「やむなし価格」ならこれぐらいと判断できます。(判断出来ないなら、経営者を止めるか、買収を止めた方が良いです)。

(3)    買収価格は、「豚に真珠」、その事業に興味の無い人には無価値です。買収して、事業・業績拡大したい買収企業には買う価値が有ると言うことです。上場企業で株価がある場合は別として、買いたさと売りたさの程度・強度、競争状態、背後事情(資金繰り、オーナーの事業承継、オーナーが株でちょんぼして大損等)等により決まります。最初から公正・適正な買収価格など存在しません。殆どのケース「やむなし価格です」

(4)    相手と交渉して妥結価格が見えたら、その価格が妥当である事、公正買収価格である事を装うために、また株主にも説明しないといけませんので、価格算出を行う必要があります。

監査法人のコンサルティング会社や、投資銀行に、DCFとか類似会社・業種比準、EBITDA multiplePER等いろんな方式がありますので、計算しやすい方法で計算してもらって、「買収価格は妥当である」という意見・報告書をもらっておきましょう。

今回はだいぶ長くなりました。これぐらいにしておきましょう。

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合併・企業結合の目的と類型

2007-02-18 00:42:20 | M&A

合併・企業結合の目的と類型について、思いつく事を書いてみたいと思います。大競争時代、サバイバル時代ということで、いろんな業界でM&Aが、昔と違って、最近はポジティブな、将来を見据えた事業拡大の手段として日常茶飯事化してきました。毎日、もぐら叩きのように、案件が噴出しています。

[目的]

合併、あるいは持株会社方式等を利用した企業間統合・企業結合の狙いや経済的機能は以下の通りですね。通常は複数の理由がありますね。

1.業績不振会社の救済:倒産すると従業員・取引先(預金者)等への影響が大きい為、体力のある会社が救済する。

2.経営の合理化:職能部門等で重複する人員を整理し、間接費・コスト低減を計る。

3.統合化:地域毎の販社を統合、営業地域の異なる会社同志が合併するなどにより、効率を追及する。

4.総合力の発揮:合体することにより企業規模を拡大し、資金力(設備投資力等)の強化、販売強化、人の採用力強化を目指す。大規模なものは水平プラス垂直的合併となる。

5.相互補完:技術・地域・製造・販売等の弱点を相互補完する。

6.資産・技術等の入手:他社保有の資産・技術・ノウハウ・許認可等を入手する。

7.水平的合併:同種品目の製品を生産している企業同士が、世界的な競争に備えて、あるいはマーケットで相応の影響力を持つための拡大・集中・効率的生産、体力強化を目指す。

8.垂直的合併:原材料・半製品・製品製造とその販売を分担していたものを一貫化する。

○昔は、含み損の解消を狙った合併などもありましたが、最近は減っていると思います。即ち、含み益のある会社を吸収合併し財務体質(B/S の補修)を強化することが出来ましたが、最近は受入記帳価額が時価とするパーチェス法が原則になりましたしね(プーリング法はレアケースですね。(昔は、例えば含み益のある土地などの受入記帳価額は、時価を限度として自由に価格設定が出来ましたしね。勿論課税合併差益の問題はありますが)。

最近は、村上ファンドの阪神買収やスティールのサッポロビールの様に、優良資産(土地)を保有している割には、株価が割安(=本業がいまいち)な企業の株式取得がはやっているような感じです。

[類型]

類型としては、以下のような感じでしょうか。

          前向度    外圧    効果

・救済合併     ×          111.5

・リストラ型合併             11=2前後

・戦略的合併        ×     1+12.5

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三角合併脅威論と企業防衛策

2007-02-16 00:17:31 | M&A

三角合併解禁が間近に迫っています。脅威論等が出ています。経団連等は勿論正面から否定しませんが、M&A法制の見直しを求めています(2006.12.12.意見書等↓)

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/085.html

私は、これは日本の経営者の甘えだと考えています。

1)      事業拡大には、今後積極的にM&Aを検討すると言いながら、自分が買収対象になったときは「イヤだ」とは、身勝手でありunfairです

2)      買収対象となっても、安定株主が現経営陣を支持して売却しないようなりっぱな経営をすべきです。経営者は自分には経営力が無いと言っているように思います。

3)      買収防衛策が、昨年来導入されています。敵対的買収者に株式を売却するのは株主です。それが会社の最終意思決定者である株主の意向です。株主にとっては、株を今の時価よりも何割も高く買い取ってくれる有り難い買収者です。なぜ、売ろうとしている株主の邪魔をする買収防衛策等を策定するのでしょうか。

4)      建前上は「株主尊重」等と言って、実際は売却しようとする株主の意思を尊重していません。自分を尊重しています。経営者の保身です。

5)      いやならファンドにサポートしてもらってMBOでもして、上場廃止をすればいいと思います(勿論トヨタ・新日鉄等の大企業では出来ませんが)。株券を誰でも自由に買えるようにと上場していながら、なぜ買収者の邪魔をするのでしょうか?「いいとこどり」のひねくれ根性です。

6)      敵対的買収者が、企業価値を上げてくれるなら、買収防衛策を発動しません、株主様株式を売ってOKですという、経済産業省の企業価値研究会等の論理も摩訶不思議な論理です。企業価値が上がるなら株価は上昇します。売却せずに持っている方が良いわけです。(勿論機関投資家などが、利回り、利益実現の為利食い売りをするということもありますが)

7)      会社の所有者が株主であるなら、買収者が絶対数の(例えば、TOBで買えなかった分など株式交換などして100%にして)所有者になれば別に企業価値を上げようが下げようが買収者自身の問題では無いでしょうか。だって自分の物をどうしようが自分の勝手です。勿論会社は社会的存在で、株主以外にもステークホールダーがいますが。少数株主はTOBに応じて買収者に株を売ればいいですよね。企業価値などどんどん下げても構わない、法人税等払わずに、利益分は全部従業員に分配して、取引先を大事にして等というユニークな(うらやましい。そんな会社があったら行ってみたいですね)経営だって出来ますね。

(私は、企業の価値とは「付加価値額」と考えていますので、人件費を莫大に払っても、それが企業価値と言えます。尚、ここでは買収のお値段の企業価値ではありません。お値段の方の企業価値は、種々の方式等で計算しないと出てきませんね)

企業価値研究会のレポートは、役所の意見操縦ですね。ほんとにおかしな論理がまかり通っています。但し、誤解を避けるためですが、私は、買収防衛策を全面否定するわけではありません。

会社は誰のものか。私はステークホールダーのものと考えています。勿論資本上の所有者は株主ですけど。会社の存在根拠は社会への貢献であり、企業価値を高めるのは、その会社の役職員による社会への貢献度の増大と考えています。この理屈から言えば、企業価値を下げる買収者の登場私利私欲に溺れたグリーンメイラー・焦土化経営目的等は反社会的買収という見方ができます。その際の合理的な防衛策は構わないと考えています。即ち、ライブドアがニッポン放送の株式を買い占めたときに、東京高裁決定で防衛策が許容できる4つのケースが示されていますが、そういった買収防衛策まで否定するものではありません。

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合弁会社の支配・運営と文化の衝突

2007-02-15 00:21:33 | 企業一般

合弁会社は、言ってみれば結婚と同じで、うまく行くケースもありますが、なかなか日常生活がうまく行かないというか、運営がスムーズに行かない場合もありますね。最後は分かれる、即ち合弁事業破綻・解消ということもあります。

株主から見た、合弁会社の経営支配は、金(出資比率、場合によっては融資・保証もあり)に基づいて、人(派遣役員)&物(原材料納入、販売、技術供与等も含む)にて行うという構造になりますね。

【適切な出資比率とは何か?→わかりません】

○ 例えば、6:4の場合、普通は、取締役も3人と2人=計5人等と比率に応じて指名権を持ちますね。これでは、総会も取締役会も60%側が牛耳る事が出来ます。総会特別決議の場合を除いてですね。マジョリティー持つ株主に牛耳られるのも如何かということで、定足数・決議要件を、40%株主の持株・指名する役員の賛成が無いと決議出来ないようにすることも可能かもしれません。しかし、あまりきつくすると今度はデッドロックで決議が出来ない場合が出てきます。

○ 理想的には、双方等分の比率で、また対等にリソースを持ちよりうまく事業拡大が出来れば良いですね。しかし現実的には5:5の出資比率は最悪の場合も多いですね。これは、最初からデッドロックが想定される持ち株比率ですね。勿論うまく行くケースが無いとは言いませんがね。うまく行けばすばらしいですけどね。

○ 運営に支障が出ない持株比率は、2/3以上と1/3未満ですね。2/3以上の株主が絶対的支配力を持ちます。1/3未満株主は、何を狙うのかきちんと決めないと合弁事業を立ち上げられません。原材料供給等で株主側の取引利益を狙うとかですね。合弁会社と独占供給契約を結ぶ等しないといけません。しかし、最近流行のネット型企業、ソフトウェア開発会社等では、物の供給を行わない場合も多いですから、1/3未満株主が取引利益で利益を上げる絵が書きにくい場合もありますね。配当で回収するといっても、何時になったら配当が貰えるか不明ですね。上場のCapital Gainと同じで、何時得られるか不明です。

【常勤と非常勤役員】

     普通は、出資比率に応じて役員を指名しますが、大規模な場合を除き、常勤役員は1人あるいは2人が多いですね。2人の場合は、両株主から1人ずつで、他の方は非常勤役員です。非常勤と常勤は全く違います。常勤は、合弁会社の事業を毎日こなし運営しなければなりません。非常勤は、主管部の部長なりがなりますが、合弁会社の業務に従事しませんから、基本的には観客です。あまり事業の事も分かりませんし、常勤役員の苦労もなかなか肌身で感じて貰えないケースもあります。

     常勤者は仲良く、ときにはお互い相手方株主を牽制したり、株主向け対応と社内向け対応を使い分けて運営することになります。

【企業文化の衝突】

○ 合弁会社へは、株主の会社の社員を出向させるケースが多いですね。このときに問題になるのが文化の衝突です。社内用語、発想、書類作成、行動パターン、コミュニケーション方法、意思決定プロセス等、これらが違う企業から出向します。奥さんの料理の味、皿の並べ方、服装、言葉使いが違うのと一緒です。忍耐を持って「我慢強く」意志疎通を図りながら、日常生活を送らないと、前に進めません。合弁事業もなかなか難しいですね。

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新設合併はよくわからない

2007-02-14 00:24:05 | 商事法務

会社法には新設合併の規定がありますが、私は新設合併の例を知りません。

【新設合併のされない理由】

     ある基本書に、①新設合併規定特に設立委員(H9改正前563)の権限が不明確。②免許事業の場合、新設会社は改めて免許申請が必要。③当事会社全部が解散すれば、どの会社の株券もすべて回収して新株券と交換せねばならず、上場会社だとその間株式売買が停止。するためと書いてありました。(最近は上記①と③の後半は違うと思いますが)

→まあ、これらも理由でしょうけど、やはり主な理由は、手間と労力(=コストアップ)が、新設合併の方がはるかに増えるということでしょう。例えば企業再編税制実施前は、合併会社は、消滅会社毎に、最後事業年度の税務申告と清算所得の合併確定申告書を出す必要がありました。新設合併では消滅会社が2社(2社合併の場合、以下同じ)ですから、吸収合併の2倍手間がかかります。会社は効率を追求します。手間の少ない・コストがかからない方法を選ぶのは当然です。

【合併の効力発生日】

     商法では、合併の効力は、当事者の定めた合併期日ではなく、登記によって発生しました。従い通常は登記申請日ですね。会社法では、吸収合併では、合併契約で定めた日即ち合併期日が効力発生日となりましたが、新設合併では、新設会社成立の日即ち登記の申請日ですね。例えば、41日が合併期日と決めても登記の日が43日だと、新設会社成立の日は3日ですよね。1日に登記をすれば良いかもしれませんが、4月1日・2日が土日なら登記が出来ませんね12月決算会社が1月1日を合併期日にしても、その日に登記は出来ません。お休みですね。

・会社法754条には新設合併設立株式会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継すると規定されています。これは成立の日が合併期日になると言う意味?でしょうか? 期日は、当事者が決めた41日なり11日でないと困りますよね。中間決算・年度決算の翌日でないと、月の途中で会社の計算を締め切り、翌日からスタートするのは大変ですしね。

【合併期日から登記前までの間の取引等】
  4月1日を合併期日とした場合、 41&2日は、新設会社は存在しませんね。この期間の取引は新設会社の名前でするのでしょうか?しかし、契約を行って、相手から登記簿謄本(証明書)出せと言われても、その日現在の新設会社も、その代表取締役も存在しませんね。消滅会社に帰属して、新設会社が成立した日に治癒されると考えるのでしょうか?よくわかりません。

41日から計算がスタートします。1日の開始BSを作成し、その日から損益が発生します。でも会社が出来ていません。設立中の会社でしょうけど、どのように考えれば良いのでしょうか。会社が存在しないのに、会社の計算を開始するのでしょうか。会社は41日に実質的に合併しているのだからということでね。あるいは3月末日を決算期として、再度4月2日を決算期として決算するのでしょうか?

追加:上記についてはその後国税庁に照会がなされ、回答が出ています。↓

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/10.htm

【実務的な問題】
・新設会社ですから税務署から始まって種々の届出が必要です。登記簿謄本を出さないと、税務署等一連の届出も、銀行の取引口座も開設出来ません。新設会社の銀行取引口座が暫くありません。登記完了も、登記申請から早くて10?(合併の場合は、消滅会社の管轄法務局とのやりとりがあるので、通常より日数がかかる)なり、混雑時は3週間以上ぐらいかかりますかね。

・その他労基署・社会保険・労働保険も、新設会社では、一からやり直して、しかも一挙に膨大な処理が必要でしょうね。

     厚生年金基金は、新設会社から、厚生労働大臣に設立認可申請を出さないといけないでしょうね。厚生労働省はゆっくり!?ですから、まあ3―4ヶ月はかかるでしょう。

     不動産登記、船舶登記、航空機登録、工場財団、企業担保権、特許権登録、商標登録等等の変更ですが、新設合併の場合は2倍かかります。(合併と同時に商号変更した場合も、吸収合併より手間が増えますが)

     許認可が承継できないケースもあり、取り直しです。業法上の許可がないと業務が停止します。取得までにまた時間がかかります。

【米国模範事業会社法の合併規定】

米国の模範事業会社法(Model Business Corporation Act)を見てみました。

Chapter 11Mergers and Share Exchangesの規定があります。11.02 Merger(c)には、合併計画書には、合併後存続する州内会社、州外会社又はその他の適格法人の名称を含むものとすると書いています。(The plan of merger must include :(1) ---and the name of the domestic or foreign business corporation or eligible entity that will be the survivor of the merger;)

11.01&02あたりを見ると、吸収合併の規定しかありません。どうも新設合併の規定が見あたりません。米国では、新設合併は無いのでしょうね。

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合弁契約の精神・目標

2007-02-13 00:20:06 | 企業投資

それぞれの企業がリソースを出し合って合弁会社を設立して事業を行うケースが内外で多く見られます。そのとき合弁事業に関する契約を締結します。この契約には設立する新会社の内容や役員の指名権、株式譲渡等が規定されて、それに従って会社を設立します。しかし、大半のケースで重要な点が抜けていると思います。それは、新会社設立の精神です。即ち

     経営の基本原則と

     ビジョン・目標です。

契約書の前文のところに1行ぐらい書いている合弁会社設立契約は見たことがありますが、新会社のビジョンと目標を明確に規定した契約書は、あまり見たことがありません。

これは勿論契約条項ではありません。また、拘束力も無いケースも多いと思います。しかし、合弁契約は新会社の憲法ですから、きちんと記載して当事者間で意思と目標の一致を確認する事が重要ですね。本文に条文として記載する必要もないかもしれません。日本国憲法のように前文に記載しても良いと思います。

会社設立の伺いに、各社で会社設立の狙いとか目標数字を記載します。合弁当事者間で、だいたい一致するときもあるかもしれません。しかし、新会社が何年も経ち担当者も変われば、双方の意思の一致した点など忘れます。当事者で共有した目標は何だったのか、何を目指したのかは両者の合意文書でハッキリさせて置くべきだと思います。もし状況が違って目標を変更する必要があれば、「憲法改正」をすれば良いですね。

「今の合弁契約は、仏作って魂入れず」が多いです。

会社が設立されれば合弁契約の内容はすぐに忘れるケースもあります。これは法務部等に任せて、会社を作るためのみの契約になっているからです。合弁会社の経営がうまく行かなくなったときとか、株式を譲渡するとき、清算するときだけ、合弁契約をひっぱりだしてきて、「こんなこと書いてあったの」とかになります。

私は、合弁会社を何社か設立してその経営にも従事しましたが、合弁契約には、新会社の経営・運営の基本原則を入れました。これは、当事者の目標共有と、独立性をある程度確保して株主からの影響度を軽くするためでした。

株主より、ぐじゃぐじゃ規定を作れとか、毎月レポートしろとか、事業の協力もろくにせずに管理的側面だけ、むやみと干渉するケースもまま見られます。株主からの支援もうまく行き、株主との協業で、相互補完・相乗効果を生むケースも多いとは思いますが、必ずしもそうでは無いケースも多々あると思います。また最近の内部統制で益々手足が縛られるケースもあると思います。

「事業の進歩発展に最も害するものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈である」と昔ある人がおっしゃって総理事を退任されました。老人の跋扈を株主・親会社の干渉と置き換えても良いようなケースもありますね。

株主を含む当事者は、合弁の精神を基本として、合弁会社の事業・経営拡大に尽力すべきと思います。今の合弁契約には精神と、その精神を具体化したビジョン・目標が足りないと思います。

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M&Aのプレイヤーと機能

2007-02-12 11:05:00 | M&A

M&Aには、買収者と売り主(対象企業やその大株主等)の他にいろんな関係者が登場します。その関係者の機能について考えて見ましょう。

最近は、M&Aの当事者は投資銀行を起用する、彼らに買収・売却価格を算出してもらう、案件推進をリードしてもらうというのが常識的になって来ました。嘆かわしい傾向です。投資銀行などを頼りにするのは、自分の家を買うのに、きちんと自分で調査もせずに、不動産仲介業者に任せるようなものですね。

M&Aで、人を頼りにする会社は、買収能力も資格もありません。

買収は、金だけあれば買えますが、その後の経営が出来るのでしょうかね?

1)投資銀行Cross Boarder案件等でdealfinderと案件のとりまとめ役としての機能はあります。欧米ではSeller’s Rep, Buyer’s Repを立てて行いますからね。

      In-In案件ではfinderとしてより、案件を作り出す、仕立て上げる能力がないとね。

業界一般については、アナリストを連れてきて解説してくれるときもありますが、当然第三者ですから深い知識・経験がある訳ではありませんね。

一通りの人は揃えて案件をこなしていますので、一通りの事は出来ます。しかし、それだけです。かゆいところに手が届くわけでも無いです。

Retainer Fee + 成功報酬ですから、成功すればおおきな収益を得ます。買収者がその後、ババをつかんでも、簿外負債が出てきても、大損しても関係がありません。

2) 監査法人のアドバイザリー会社等:①財務Due Diligence(DD)あるいは②買収価格算出の二つの機能がありますね。

きちんとした会社の買収ならあまり問題ないかもしれませんが、数字という切り口から会社の全体像をつかむ、またきちんとした修正BS等を作ってもらえればいいですね。でもね、DDで判明するのは過去ですね、買収者に一番重要な未来は分かりません。当たり前ですね、未来を作るのは買収者ですからね。

また買収価格の算出をお願いするときもありますね。一応合意可能な買収価格があたかも適正価格であるような数字を作っておいて貰えればねということでしょう。

3) 弁護士事務所:DDのときに、訴訟を抱えていたり、あるいは敵対的買収等のときに法律的手段(不公正な新株・新株予約権発行への対応、差し止め仮処分命令申立等)の必要があるときはお願いする事になりますね。買収契約作成のときにもお世話になる場合もあります。この分野の経験が十分ある弁護士さんを起用するのが重要ですね。変な弁護士を起用すると、時間・労力・金の無駄使いです。

4) その他:

人事労務・年金コンサルタント:退職制度、退職給付債務、あるいは過去勤務債務等買収の価格に影響する事項がありますのでね、必要に応じてですね。

環境コンサルタント:必要に応じてですね。メーカ買収等のとき等重要ですが、時間もかかりますので、Rep. & Warrantyでカバーでしょうね。データ自体が改竄されていることもありますからね。

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社外取締役の起用パターン

2007-02-11 00:54:50 | 企業一般

社外取締役が注目されています。買収防衛策とか、あるいはCorporate Governanceとの関係等で起用が増えているようですが、なかなか適任者が見つからないとも言われています。不祥事を起こすと社外取締役を起用してとか直ぐ言い出す(節操のない?今後の経営はしっかり行われるのだと言いたい 一種ポーズを取る?ために)経営者・会社もありますね。

社外取締役に何を期待するのか?―実質か飾りか?建前と本音は一致しているのか?何が良いのでしょうね?

日本的な経営・企業文化も根深く関係してきますしね、またどういった人が社外取締役になる資質・能力があるか、またそういった人が機能を発揮するのかなど、いろいろ考えないといけないと思います。

では、今どの様な形態で起用されているのか、その類型をまとめてみました。

1)      委員会が機能を発揮し、日本の委員会設置会社のモデルケースと言われている:Hoya8人中5人が社外取締役

2)      社外取締役が戦略実行に有効に機能したと言われている委員会設置会社:コニカミノルタ(旧来のカメラ事業をソニーに売却を提案したのは社外取締役と言われている)

3)      単に(従来の延長として、取引上・仲良しクラブ的?に)社外取締役を少し入れている取締役会設置会社:三菱電機等 まだ結構多いかもしれない。

(今の三菱電機の様に、好業績なら、居眠りしててもいいけど、リコール時の三x自動車の社外取締役のように、経済産業大臣から呼ばれて「責任無いとは言えない」と言われるとね、後が大変だからね。)

4)      取締役会設置会社+監査役会設置会社ですけど、ガバナンスシステムとして、法的には会社の機関ではないけど、社外メンバー主体のアドバイザリーボードとして、指名・報酬委員会を設けている会社:帝人(ユニークですね)

5)      その企業の経営のイロハも分からない社外取締役など邪魔・役に立つはず無いとして純血主義を貫く会社:トヨタ(2-3人中途入社はいるけど)や新日本製鐵

要するに答えはまだないと言うことですね。日本の企業自体模索中という面もありますね。

でも、企業哲学がしっかりしているトヨタ等は当分変わらないでしょうね。私は、しっかりした企業文化をもち、経営陣が高度の倫理観をもっているなら5)で良いと考えています。

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ストックオプションについて

2007-02-10 12:00:42 | 企業一般

最近ストックオプションが外資系企業・ベンチャー企業のみならず、保守的と見られている中企業・大企業にも普及してきました。しかし、中堅未上場企業なかには、社長が従業員に、社長個人の自社株を(1株とか2株とか少しだけだけど)買わせたり、「会社を上場させるぞ」――と“昔から”言っており、ストックオプションを与えたりしているオーナーがいたりします。どういった点を注意したら良いでしょうか?

ストックオプションを会社側の立場から見れば重要な人事政策です。役職員の労に報い、インセンティブを与えモラルアップを計り、将来の希望実現=売却益で大金持ち!を目指して一層の努力を求める等と言えばかっこいいですが、裏から見ると、給与を抑え、人参をぶら下げてこれを目指して、もっと働いてよと尻をひっぱたく手段と言う面があります。

そこでストックオプションを引き受けるには、注意点が必要だと思います。

1)     株式公開は射程距離に入っているか。

即ち人参は、手の届くところにあるのか。公開のスケジュールがあり、具体的作業が進んでいるのか?監査法人・証券会社の上場支援の人が会社に入って、上場の実質基準整備に向けた対応、即ち社内規則・組織整備・不良資産整理、減損会計・税効果会計などもきちんとやり始めているのかきちんと見ることが必要ですね。単に「公開ずるぞー」言葉だけなら、人参は5年後、7年後?、いつになるのでしょう?そのうちに消えるかもしれませんね。

2)     行使価格は適切か、有利か。

人参までの距離=時間が長いほど低い価格ですね。その前提として今の自社の株価はいくらか考えてみるものいいですね。株価算出には、いろんな考え方がありかなり大ぶれします。(ストック=BSベースに考えるか、フロー=PL&キャッシュフローベースに考えるか、類似の公開企業・業種の株価から比準して、未公開株ディスカウントとして例えば0.7を掛けて算出するとか、その組み合わせでするか等。最近は米国の影響を受け、DCF=Discounted Cash Flowという、前提の置き方次第で、極論すればどんな価格でも算出できる数字遊びの方法もありますが)。まあ、簡単な方法は、株式を公開している会社のPERを調べて、自社株のPERが、その1/2とか1/3になっているかチェックして有利か判断することですかね(上場企業のストックオプションは、現在の株価の5%アップとかにしますが、未公開株では、有利な価格で従業員に与えないと付与する意味がありませんね)

3)     行使の条件も要チェックですね。

行使の時に社員の地位にあることが普通は前提になっていますね。取締役会等の譲渡制限も通常つきましね。

M&A(合併の消滅会社・株式交換・移転など)のときは、通常無償消却ですから消えて無くなりますね。

従業員には無償でストックオプションの付与(新株予約権の発行)が行われるケースが多いのではないかとおもいます。まあ、無償なのでもらっておけば良いでしょうけど。まあ将来の「お楽しみ権」というか、宝くじぐらいと考え説けば良いんでしょうか。

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欧米Law Firmの弁護士報酬は正当か?

2007-02-09 00:23:41 | 企業一般

     欧米案件で、欧米のLaw Firmを起用されている会社も結構あると思います。業務を委託し、その請求書を見て、ちょっとぼったくりじゃないのと思われた人もいると思います。でも一流のLaw Firmだから誠実に業務をやってくれているなどと、良心的?純粋・真面目な日本人・日本の会社は勝手に思って言いなりにお金を払っているのではないでしょうか。日本の大企業は「いいかも」ですね。

     読まれた人もいるかもしれませんが、面白い事が本に書いてありましたのでご紹介します。「うそつき病」がはびこるアメリカ David Callahan著 小林由香利訳NHK出版)という本です。有名Law Firmの名前が、ぞろぞろ書いていますね。

     Law FirmPartnerの報酬は320万ドル(2000年のとき)だったそうです。(これでも大企業のCEOよりも随分低いですけどね)

・ご承知の通り、弁護士を起用したときは、ランクに分かれたtime charge ベースで請求額が算出されますね。これにout-of-pocket chargeが別で請求されます。担当弁護士が何時間働いたかは、顧客からはなかなか見えません。言われるままです。中には、弁護士の勉強代まで払わされていますね(ハッキリ言いますと弁護士さんといっても、結構知らない分野も多いですね。当たり前ですけどね。専門以外の分野は忘れるし、実務もあまりされていませんしね)。

1)      Time charge のインチキ:

     労働時間の水増し。②スタッフの水増し(実際は2-3人を4-5人に)、③質の水増し(ひら弁護士で十分なのに、単価の高い弁護士の名前にして請求)

2) out-of-pocket chargeのぼったくり:

 ファックス1枚1ドル、Copy1枚 15セント、司書1時間91ドル、ワープロ1時間50ドル、校正1時間40ドル等、これに別途通信費等

     クリントン夫妻の腹心のある弁護士は、やりすぎで詐欺罪で逮捕されたようですね。彼の言葉「アメリカの弁護士はみんなやってる」と、この本には書いています。

みなさん、ぼったくられていませんか??

言われるままに払わないように、内容をチェックしましょうね。クレームするところはクレームしましょうね。

「うそつき病」がはびこるアメリカ「うそつき病」がはびこるアメリカ
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2004-08-27

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株主名簿の開示と個人情報保護

2007-02-08 00:21:41 | 商事法務

株主・債権者による株主名簿の閲覧・謄写の請求について、会社法125条で請求理由を明らかにして開示請求すれば、一定の場合を除いて拒むことが出来ないとしています。

旧商法263条では、株主・債権者の株主名簿の閲覧・謄写の請求については、請求理由を明らかにしなければならないとは書いていませんでした。実際は、ご承知の様に理由を開示しないと簡単には閲覧・謄写は出来ません。これは昔名簿業者に売り飛ばしたりした人がいたのも原因ですが、会社側でも見せたくない事情もあり、理由を開示すれば見せます、開示すれば見せますと言って、普通では見せてくれませんね。会社法が出来て少しは進歩はあったんでしょうか?見せてくれるようになったんでしょうかねえ?

ここでの疑問は、1) 個人情報保護法(同法で法令で認められる場合はOKとしていますが)との関係と2) 出資したらそれ以上責任を負わない有限責任の株主の株主名簿を債権者に開示する必要があるのかの2点です。

1)      個人情報保護:ある人が例えばトヨタの株主であるという事実と氏名・住所は、個人情報保護の対象となりますね。

a.      会社(又は株主名簿管理人)が、株主名簿を開示するのは、個人情報保護法違反になりませんか?まあ会社法で認められている権利だから違反にはならないでしょうけど、趣旨には反しますね。

b.      現在のトヨタの株主数は約33万人ぐらいでしょうか?そのうち32万人ぐらいが個人でしょう、保有比率は17-18%ぐらいでしょうか?有価証券報告書を見ればきちんと記載してありますが。個人株主は、勿論お金持ちも居ますし、かなり保有されている人もおられるでしょう。しかし、大半が1単元から数単元ぐらい。これらの株主名簿を開示してもあまり意味がないと思いますけどね。勿論かなり拮抗している委任状争奪戦のときなどは必要かもしれませんが、まれではないでしょうか。

c.       主要株主が誰か、その保有比率はどうか、株主・保有の分布はどうか等は、M&Aのときは、非常に重要な情報ですので勿論開示は必要ですね。

d.      ということで、例えば議決権株式の95%に達するまでの開示を通常開示とし、100%開示のときは、その理由の詳細を開示するとか、被開示者は、使用の範囲を明示して、合わせて守秘義務誓約書を出すとかの方法により、名簿開示の制度と個人情報保護の調整を計っては如何でしょうか。

2)      債権者への開示:なぜ一般に債権者への開示の規定があるのでしょうか、よくわかりません。

会社が特定の株主(例えばオーナー会社のオーナー)と通じて債権者の利益を害する事を計画することがありますが、別にこれは株主とは限りません。特定の取引先とか、株を持っていない親族等と通じる事も可能です。

会社法の原則は、株主は出資の責任を果たせば、後は責任を負いません。この開示はどういう意味があるのでしょうか?

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