まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

NPOと営利会社の中間法人―米国のL3C

2010-08-15 17:11:49 | 企業一般

  米国や英国では、新しい形態の会社(社団)が生まれています。米国では、low-profit limited liability company (L3C)」ですね、英国では、2004年会社法の下に2005年に、公共の福祉に財産・利益を使用するcommunity interest company (CIC)が生まれました。今回は、米国のL3Cの話です。会社の概念としては、1) 法人性、2)営利性、3)社団性の3つですが、L3Cでは、このうち2)の営利性について、これを主要目的とせず、社会貢献を目的とすることとし、営利性は二次的な目的とするものとされています。ここ十数年間に米国で発達したLLC(Limited Liability Company)の変形ですね。LLCの前に「low-profit」と付けています。変な名前の付け方ですね。勿論、両方ともlimited liabilityですから、有限責任会社ですね。

○ LLCの場合、別に営利性でも非営利性でもどちらでもよかったのではと思いますが、実態としては営利団体ばかりが生まれました。例えば「赤信号みんなで渡ろう」投資のファンド等は、かなりLLCでしたね。会社・組織の形態は税法が大きく影響しますが、LLCL3Cとも、組合と同じように「パススルー課税」ですね。即ちLLCL3Cそのものの所得には(連邦税法上は)課税されず、出資者に帰属する部分に課税される訳ですね。

○ LLCL3Cとの違いは以下であると言われています。

1) L3Cは、一つ以上の社会貢献あるいは教育活動を推進・達成するために組織されること。

2) 主要目的として、利益を追求したりキャピタルゲインを目指さないこと。

3) L3Cは、政治あるいは法令制定目的を持って組織されないこと。

とされているようです。

 米国では、会社等の社団の法令は州法ですので、現在ミシガン、バーモント、イリノイ、ワイオミング、ユタ州等で制定されているようです。

  私は、2010年1月3日付けで、「NPOを株式会社・合同会社で設立する」というブログを書いています。

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20100103

こういう組織・会社形態ができると、今後いろいろ活用できそうですね。ただ、日本の法務省や国税庁には期待できないので、こういった法令ができるか疑わしいですけどね。

即ち、企業や地方公共団体、財団法人などがバックアップして、地域の公共施設の整備・管理・運営・清掃、子供向けイベント開催、里山保全、有機農業振興、商店街から受注して商店街の清掃活動等を行えばいいわけですね。勿論自助努力も必要です。お金=給与をもらうわけですからね。従業員は60-75歳とか、給与は年俸200-400万円で年金の足しぐらい(今は報酬比例部分は60才から受給できますが、20134月以降は61才支給となりますから、60-61才の人は無収入になります)とすれば、社会もハッピー、本人も少しお金を稼げるということでハッピー、年金財政もハッピーということで、良いのではないでしょうか。

お金とユダヤ人 富を引き寄せる5000年の秘密 お金とユダヤ人 富を引き寄せる5000年の秘密
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2010-03-27

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国の会社の監事(監査役)の機能

2010-08-13 18:48:47 | 企業一般

  コーポレート・ガバナンス(企業統治)とは、どのような形態で企業経営執行者の業務執行を適正に行うかの仕組みであり、取締役会とかあるいは監査役という機関を置いて、企業経営を監督・監視する仕組みを設け、かつその機能を発揮せしめるかの問題すが、不正行為の防止・業務執行の健全性の観点だけでなく、最近は企業経営の効率化の推進、収益性・競争力の向上の観点からも、適正なガバナンスのあり方について、世界的な規模で様々な試みがなされています。米国企業や日本企業の内部統制などもこういった試みですね。

  今回は、中国企業の監事、即ち日本企業流に言えば監査役の機能についてです。大規模な有限公司の場合は、3人以上で組織される監事会を設けますが、中小規模の公司の場合は監事会を設けず1-2人の監事を、持分保有者(社員)総会で選任します。

監事の任期は、3年と法定されています。忠実義務はありますが、どうも競業避止義務は法定されていませんが、忠実義務に含めていいかもしれません。監事の職責は以下ですね。

・財務状況・諸表の検査

・董事・経理の法令・定款違反の監視&違反董事・経理に対する解任意見の提出

・董事・経理に対する会社の損害回復の請求

・董事会が開催されない場合には、董事会会議を招集し議長となる

・持分保有者(社員)総会・株主総会の開催の提案

・定款にその他の権限を定めたときは、その権限を有する。

  中国の会社の監事の機能は、日本の場合よりもきちんと規定されていますね、しかし実態はどうなのでしょうか。まあ、実態は日本の企業の監査役よりもひどいですね。

現実は、監事がいることさえも失念して、董事会を開催しますね。監事は、名誉職でもなく、登記事項ですから、登記のときに名義貸しして、それっきりというのが多いようですね。中国企業でも監事は日陰者ですね。私は、中国企業で監事が、いろいろ監査したということを聞いたことがありません。どなたかご存じだったら教えてほしいですね。

  尚、会社の計算については、会計年度終了後財務会計報告を作成し監査を受けなければならないことになっています。監査は、監事ではなく、公認会計士が行います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相当性を装う会社法の制度

2010-08-02 00:30:27 | 商事法務

       会社法には、相当・妥当であることを装うことができる制度がいくつかありますので、今回はその話です。勿論、装うことが出来るであって、別に装う事なく真面目にやっている会社も多いのですが、中には、種々の意図を持って、こういった制度を利用(悪用)しようとする会社もありますね。装う制度として2つ挙げてみましょう。

       ①現物出資財産の価値の相当性を装う裁判所選任検査役調査(これに代わる、弁護士等の証明書)、②企業再編、例えば、合併対価とその割当の相当性を示す合併比率算定書など(会社法施行規則182条等)ですね。

【1:裁判所選任検査役調査】

       現物出資は、過大評価の危険性があります。過大評価して現物出資者に株式を割り当てると株式の水増し発行であり資本の充実が計られません。1株当たり価値が低下して、現金出資の株主が不利益を被り、また、債権者も害しかねませんね。

出資する事が出来る財産は、BSに計上できるものですね。土地・建物のみならず、特許、ソフトウェア、あるいは営業権でも良いですね。中国では、土地(使用権)に法外な価格をつけて、錬金術として利用されましたが。

       規制の趣旨はわかるのですが、検査役(選任を申し立てた弁護士が裁判所により選任されるケースが多いと理解)の調査や、弁護士・会計士・税理士等の証明書って、そんなに信用できるんですかね?信用できませんね。証明書を出せるように資料を作成して、弁護士等に出してもらうのですが、この資料は当然意図を持って作成される。そうかと言って、どうもちょっと過大評価と思っても、そもそもきちんと評価する能力など弁護士さん等がもっていませんね。ソフトウェア、特許等、どうして弁護士等が、価値を見る能力があるのですか。この特許は、1億円の価値があります。この特許で、今後これだけの収益が得られます。2億円の価値があります等という説明は、まあ嘘が多いのです。これで事業を行う。事業計画はこうですと、細かい数字を並べて、如何にも事業をきちんと計画してる振りをしますが、事業計画などその通りになることなどあり得ないですよね。その事業計画をもとにネットキャッシュフローを算出して、(NPV等の)価値はこれだけですと決める場合もあります。あり得ない事を前提に、価値を評価するのですか?

       株式全部譲渡制限会社では、新株発行は総会特別決議なので、そちらで歯止めがかかりますね。私は、現物出資の場合は、検査役の制度は廃止して「出資の財産の概要とそれに対する株式数を登記事項とする」のが良いと考えています。それを見れば内容を経営陣の聞くことも出来ます。債権者もチェックできます。

【2:企業再編の比率算定書】

       例えば、2社の合併・交換比率の算定のときには、会社法施行規則の規定に従い相当性を示す算定書などが必要ですね。合併当事会社が、上場企業の場合には、一応市場価格がありますので、これを基準にすることにより、株主の理解と納得性が得られる場合(あるいは、やむを得ないと株主に判断させる場合)が多いと思います。問題は、非上場企業間の企業再編、あるいは一方のみが上場企業で、もう一方の企業が非上場企業の場合の算定理由書ですね。特に、両当事会社の有力株主が同じ場合には、種々の目的があり、正当な評価をしてから合併比率等を算出しようということが少ないのではないでしょうか。要するに、最初に意図があり、それのシナリオに沿って、意図的な数字を作る。そして自分の意図を組んでくれる、会計士さんに算定書の作成を依頼する事が多いのでは、ないでしょうか。

○ 数字というのは、背後に意図があります。ところが数字になると、相手の意図が消されて成る程と思ってしまうことがあります。また株主に開示する算定理由書等は、結論しか開示しません。そういう結論を導くように、操作している人もいるということを、やはり理解することも重要だと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする