○ 今回は重たいテーマですね。企業の存在意義とは何か、また誰のために存在するかです。会社は株主のモノなどという軽薄な事を言う人が多くいます。政府の企業価値研究会でもそんなレポートを出していましたね。困ったものですね。株主は出資者ですが、資本金・準備金の額の減少を行わない限り、資本金・準備金は戻って来ません。出資の時点で株主の手から離れているのですね。分配可能剰余金(主としてその他利益剰余金)が生じれば配当はありますけれども。会社は、株主と役職員のものですね。株主のモノなら株主の自由にしていいのですか?そういう訳にはいかないですね。今の一部上場の大企業(創業者・オーナー型の会社以外)で株主が会社の方向性・方針を決めている会社がありますか?自分のモノなら自分で方針を決めるのが当たり前ですが、そういった事もしませんね。ところで、雑談はやめて、本題に入りましょう。
① 企業の第一の目的は社会への貢献です。企業価値とは、社会への貢献の度合いです。具体的には顧客に有益なモノ・サービスを提供する事です。顧客が、モノ・サービスを購入してくれるから売上が計上出来ます。企業が成り立つのです。売上の計上できない企業はすぐに潰れます。当然です。これが基本であることは明らかです。また、モノ・サービスを提供するには、それなりに仕入などをしないといけません。仕入元にとって自社は顧客です。これの様々な組み合わせと循環で多くの企業、ひいては企業社会が成り立っているのです。ビジネスというのはGive & Givenです。モノ・サービスを提供(Give)するから、それの正当な対価としてお金がもらえるのです(Given)。Give & Takeだとか、Win Win等という言葉を言う人がいます。ビジネスを分かってない人が言う言葉です。顧客によりよいモノ・サービスを提供し続けるには、モノ・サービスの質を高め、コストの低減を計り、利益を出しビジネス・企業を存続させる必要があります。
② 企業の第二の目的は役職員の雇用です。モノ・サービスは誰が提供するのでしょうか。企業で働く役職員です。コストの低減を計り、利益を出し、よりよいモノ・サービスを生み出すのは、株主ではありません。その企業の役職員です。役職員が人間的に成長するから企業の成長があるのです。従い、社長や役員は、職員が人間的に成長できる風土・文化を企業に植え付ける事が重要です。役職員は尊重され、安心して仕事に従事でき、処遇は公平であり、応分の報酬・給与が与えられ、健全な家庭を持つことが必要です。
③ 企業の第三の目的は継続性です。企業は、常に顧客が購入する、新しいモノ・サービスを継続的に提供する必要があります。これにより、継続的に売上が上がり、継続的に役職員を雇用できるのです。そのためには、企業は健全な利益を生まなければなりません。利益を生むことにより、研究開発、設備投資、新製品・新サービスが提供出来るのです。利益を生まない企業は、すぐに消えて無くなります。利益をきちんと確保することにより、法人税等の租税を支払い、国や自治体にも貢献できます。
上記を満たしたときに始めて、企業は株主に配当をすれば良いのです。継続性があるから配当も継続されます。上記①は会社法では債権者保護の切り口で規制しています。②はPLの視点で言えば費用ですね、主として労働法で規制されています。③は経営です。創業は安く守成は難しといいます。継続性というのは難しいことですが、これが重要ですね。