○ 新設分割の制度はあまり利用されていないのではないかと、先にブログで書きました。今回は、この新設分割の規定に「けち」をつけてみたいと思います。法763条では新設分割計画を規定しています。
第763条の柱書では、新設分割会社は、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならないとし、各事項を定めています。
II 前号に掲げるもののほか、新設分割設立株式会社の定款で定める事項
V 新設分割設立株式会社が新設分割会社から承継する権利義務に関する事項
VI 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割会社に対して交付するその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立株式会社の株式の数又はその数の算定方法並びに当該新設分割設立株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項
IIX 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立株式会社の社債等を交付するときは、当該社債等についての次に掲げる事項
イ 当該社債等が新設分割設立株式会社の社債であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
○ ここでの疑問等は、以下ですね。
① 上記VI号で権利義務の全部又は一部に代わる株式の数と規定されています。株式の数は零=資本金零でも良いのか、やはり、1株、例えば1円でも払い込まなければならないのか。あるいは1株0円でも発行できるのか?計算規則81条では分割型新設分割で「資本金額(零以上の額に限る)」と書いているところを見ると零でもよさそうですが。でもやはりおかしいですね。資本=事業の元手ですからね、一文も出さないと元手になりません。やはり、1株1円、あるいは1万株1円とかにならないとね。
② 権利義務の全部に代わり(株式ではなく)社債等を交付したときどうなるのか、即ち、株式会社なのに発行済み株式が無し、資本金・純資産なしで、負債だけの会社になりますね。株主もいませんね。社債権者はいますが。
③ 会社法では資本金及び準備金の額に関するとだけ記載しているが、会社計算規則では資本剰余金等について記載している(計算規則80/81条)。どうして会社法に記載していないものを規則で規定するのか?こんなことができるというのなら規則で会社法をねじ曲げることができますね。(この規定だけでなく他でもありそうですが)即ち、例えば計算規則80条では、設立時株主払込資本額=資本金額+資本準備金額+資本剰余金額とし、利益準備金額&利益剰余金=零と規定しています。
これらの規定をどのように考えれば良いのか、未だによく分かりません。