○ 会社業務の監督・監査する機関は、取締役会・監査役会等がありますね。これに加えて、システムとして内部統制があります。会社法362条4項6を受けて施行規則100条1項に規定され、また金融商品取引法第24条の4の4にて、内部統制報告書の提出を義務づけ、同法193条の2では内部統制報告書の監査法人による監査証明が規定されています。日本の内部統制は、米国のSarbane-Oxley Act of 2002(SOX法)を、日本に適用するために少し簡便化し一部修正・追加したものですね。基本的には、日本の得意の米国のまねですね。<o:p></o:p>
○ 内部統制が実施され、多少は改善が計られたようですが、実態はどうでしょうか?大企業では、内部統制の担当部局を作って実施に向けた体制を整備しました。そして、その企業特有のビジネス、過去に社外に公表された不祥事等を踏まえて、今後は起こさないような規定の整備をしました。また簡単なパンフレットを作成して全社員に配ったところもあるようです。しかし、規定の整備は文書の作成ですね。文章力に長けた人がドラフトして、責任者の承認を得て制定しました。規定は制定すれば普及するものでは無いですね。絶えず研修・意識喚起などしないといけません。そこまでキチンとしている会社は、どうもあまり無さそうです。パンフレットは配布されても、すぐに机の中にしまってそれっきりです。きちっと読んでいる人は、社内で閑職に追いやられて、業務をあまりしない人ですね。これが実態ではないでしょうか?<o:p></o:p>
○ 不祥事を起こした企業を見ると、「規定はきちんと整備されていた」というのが多いですね。オリンパスもそうでしょう。大企業などは膨大な規定があります。そんなものいちいち読んでる人はいませんし、自分の仕事に直接関係無ければ、社内でどんな規定があるのかも知らないのが実情です。<o:p></o:p>
○ 海外でも同じでしょうね。SOX法は、エンロン事件・ワールドコム事件などを契機として制定されました。その後はどうでしょうか? 形式的には守られているかもしれません。しかし、サブプライムローンのお祭り騒ぎが終了し、米国ではリーマンショックが起こりました。守銭奴のゴールドマン・サックスなどは、営業の社内メール(2007.6.22のある営業マンのメール)で、「かす取引(Shitty deal)」と言いながら、投資家に推奨販売していました。金融工学・高等数学を利用した、目つぶしと誤魔化しを施して、ローンブローカー、商業銀行・投資銀行、格付機関等が「ぐる」になって集団無責任体制を作り、住宅価格が右肩上がりの前提でしか成り立たないスキームのハイリスク商品があたかも優良投資適格商品であるように化粧させて、そして破裂。最後のババは機関投資家等が掴みました。日本でも土地神話を前提に右肩上がりのバブル経済がありましたね。<o:p></o:p>
NYSE Listed Company Manual 303A.10には、Code of Business Conduct and Ethicsが規定されています。ゴールドマン等は、これを踏まえて、当然種々りっぱな社内規定を制定していた事でしょう。しかし、営業の一線・現場は、そんなことお構いなしに暴走してしまいましたね。<o:p></o:p>
○ オリンパスでは、取締役会(+「社外取締役」)・監査役会・内部統制のいずれも機能しなかったですね。経営トップと監査役の確信犯ですからね。社内の機関、規定の制定もさることながら、経営者・経営陣が自己規律し高度の倫理観を有する事が非常に大事だと思いますね。そして、経営者は常にその企業理念・経営姿勢を、管理職に徹底することが大事だと思います。内部統制報告書等のために内部統制を行うのでは無く、社会の公器として社会にキチンと貢献する会社として、末永く健全な成長をするためにですね。