まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

Malaysia新会社法の定款

2017-08-14 21:53:25 | 商事法務
○ Malaysiaの旧会社法(Companies Act 1965)が廃止され、今年1月31日から新会社法(Companies Act 2016)が施行されました。新法では、非公開会社での定時株主総会の廃止可能、書面決議可能、額面株式の廃止、発起人・取締役を2人から1人でもOK、定款(Constitution)の作成義務がなくなりましたね。画期的というか大胆と言いますか、少し現場で混乱があるようですね。

○ 従来の旧法では、基本定款=Memorandum of Association (MoA:会社名、本店所在地=Malaysiaとだけ記載してもOK、目的、有限責任である旨、授権資本、設立時株式引受人等を記載)と付随定款(Articles of Association = AoA)の作成義務があり、AoAについては、1965年法のForth Scheduleをそのまま採用する例が多かったです(MoA + AoA = Memorandum & Articles of Association = M&AA)ですね。

○ 定款作成義務が無くなりましたので、法令に違反しないかぎり何でもできるわけですが、そうかといって、(登記はするにしても)会社名も目的も定款に記載ないというのは、やはり如何かと思いますね。やはり、日本企業がMalaysiaで合弁会社などを設立する場合には、定款作成が必要ですね。当事者で決めた定款自治で会社をコントロールできますね。

○ ではどういった定款を作るべきでしょうか。合弁会社の場合の定款は、結局、i) 合弁会社設立契約の合意事項、ii) 新会社法の一部規定の抜粋とiii)定款の一般的規定より構成することになると思います。一般規定は、2017年1月施行新会社法には明記無いので、旧会社法の雛形から多くの規定を引用することになりますね。i)は、当事者が合意した事項を記載すれば良いですが、ii)については、例えば新会社法340条のPublic company(Berhad)の規定等ですね。
340条Additional Requirement for Public Companiesとして、Annual general meetingの規定を置き、(1)項で以下のように定めています。
Every public company shall hold an annual general meeting in every calendar year in addition to any other meetings held during that period, to transact the following business:
(a)the laying of audited financial statements and the reports of the directors and auditors;
(b)the election of directors in place of those retiring;
(c)the appointment and the fixing of the fee of directors; and
(d)any resolution or other business of which notice is given in accordance with this Act or the Constitution.

iii)については、i) とii)で規定した以外で、以下のような条項が入りますね。
資本金と種類株、先取特権、資本金払込請求、株式の没収、株式の承継、株式の不定額面株式への転換、資本の変更、株式譲渡、株主総会と決議、総会招集手続、取締役、マネジングダイレクター、アソシエイトダイレクター、 取締役の権限と義務、取締役選任手続、秘書役、社印、計算、利益の資本化、清算、 通知、補償(Share Capital and Variation of Rights, Lien, Calls on shares, Forfeiture of Shares, Transmission of Shares, Conversion of shares into stock, Alteration of capital, Transfer of shares, Shareholders Meetings and Resolutions, Proceedings at Shareholders Meetings, Directors, Managing Director, Associate Director, Powers and Duties of Directors, Proceedings of Directors, Secretary, Seal, Accounts, Capitalization of Profit, Winding Up, Notices, Indemnity)

○ 従来の会社の定款(M&AA)は、新会社法の定款(Constitution)とみなされますので、まああまり変わりませんが、定款作成不要の会社法の影響で、ユニークな定款作成も可能になりましたので、徐々に工夫して新しい形の定款を作成する変人?もでてきそうですね。

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米国のLLC

2017-08-04 23:33:50 | 商事法務
○ 米国内で合弁会社の形態としてLLC(Limited Liability Company)を選択する例が多いですね。その特徴は、有限責任・持分譲渡制限・存続期間(通常は30年程度ですが、期間を定めない=no specific date of dissolutionと定めることもあります)・業務執行権(Member or manager of a third party)、原則は最低2名以上の構成員、分配制限無し(分配方法は自由に定める事も可能だが原則持分割合)、課税(パススルー課税選択可能)等です。

○ 特に有名なのがPass Through課税で、連邦税に関してLLCではなく、その出資者・構成員に課税する選択権を与えていることですね。これは、チェック・ザ・ボックス規則(Check-the-box Classification Regulations)といわれ、1996年に制定され、1997年1月1日から施行されたアメリカ合衆国の財務省の規則で、連邦税に関して、コーポレーション以外の企業体に対して、企業体そのものを課税主体とする事業体課税か、それとも構成員課税を採るかの選択権を与えるものの一般的呼称ですね。チェック・ザ・ボックス規則のもとでは、CorporationまたはCorporationと見なされる例外的な企業以外の企業体(eligible entity)は、Form 8832という届出をすることによって、Corporationとして課税される企業体、Partnershipとして取り扱われる企業体(Pass through)のいずれかを選択することができます。チェック・ザ・ボックスによる選択をしたからといって、必ずしも州税においても同様の取扱がされることにはならないことに注意すべきですね。

○ 合弁でLLCを設立するためにMember(出資者)間で、Operating Agreementが締結されますね。株式会社の場合の合弁会社設立契約・株主間契約に相当するものですね。Delaware LLC Actでは、定義のところには、"Limited liability company agreement" means any agreement (whether referred to as a limited liability company agreement, operating agreement or otherwise), written, oral or implied, of the member or members as to the affairs of a limited liability company and the conduct of its business.“としています。

○ Operating Agreementは、いろいろなバリエーションがあると思いますが、主な項目は以下ぐらいでしょうか。
1) ORGANIZATIONAL MATTERS: 会社名・所在地・Delaware州内のAgent,目的等を記載します。

2) CAPITAL STRUCTURE & CONTRIBUTIONS: 出資額(現金だけでなく、技術とか特許のexclusive license等の現物出資もありですね)、Memberの出資比率を規定します。追加出資の有無等も規定します。追加の出資者を受け入れる場合の条件(全Memberの承諾等)を入れます。

3) MANAGEMENT:会社をどのように経営するかですが、これが結構自由に設計できますね。Meetings of Members (株式会社なら株主総会ですが)も自由に開催できます。開催しないこともできます。Managing Committee (数人のcommittee memberで組成。Board of Director相当)を設けて経営する場合、あるいはManagerに日常業務執行を任せる場合などいろいろですね。

4) ALLOCATIONS OF NET PROFITS AND NET LOSSES AND DISTRIBUTIONS: 基本はMemberの出資比率に応じて損益をAllocateします。

5) TRANSFER AND ASSIGNMENT OF INTERESTS:持分譲渡の規定ですね。一定期間の持分譲渡禁止の条項等を入れます。

6) その他一般条項・定義など
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