ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

志生木ダム

2017-06-30 15:54:41 | 大分県
2017年6月18日 志生木ダム
 
志生木で『しゅうぎ』と読みます。
志生木ダムは大分市志生木の志生木川源流部にある防災・灌漑目的のアースダムで、農水省の補助を受けた大分県の防災ダム事業で1965年(昭和40年)に竣工しました。
現在は志生木土地改良区が管理を行っています。
 
国道197号線の大志生木交差点を南に折れ志生木川沿いの市道を南に進むと志生木ダムに到着します。
堤体直下から
取水設備からの吐口が手前に、その左手に洪水吐導流部があります。  
 
洪水吐導流部をズームアップ。
 
右岸ダムサイトにある工事概要碑。
 
天端車両通行可能、でも対岸の洪水吐手前で鎖が架かっています。
 
上流面
コンクリートで補強されています。
 
左岸の斜樋と機械室を兼ねた管理事務所。
 
天端からの眺め
かつては堤体直下にも畑が並んでいたようですが、今は草地が広がるばかり
そんな中大分らしくシイタケの栽培ハウスが1棟。
 
総貯水容量40万立米の貯水池。
 
貯水池奥に半没した砂防堰堤が見えます
石積みでかなり古い砂防堰堤のようです。
 
左岸洪水吐
この先は立ち入り禁止です。
 
2758 志生木ダム(1056)
大分県大分市志生木
志生木川水系志生木川
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
FA
22.9メートル
123.7メートル
 
志生木土地改良区 
1965年

大舞ダム

2017-06-30 14:45:55 | 大分県
2017年6月18日 大舞ダム 
 
大舞ダムは大分市木佐上の小猫川水系大舞川にある灌漑用重力式コンクリートダムで、農水省の補助を受けた大分県の中山間地域総合整備事業により2001年(平成13年)に竣工しました。現在は1キロ離れた戸保の木ダムともども木佐上土地改良区が管理を行っています。
国道197号線から小猫川沿いの県道715号を南下、三本杉橋の二股を右手にとり轟集落を抜ける戸保の木ダムの手前を左折、そのまま南に進むと大舞ダムに到着します。
まずは下流から
ゲートは自由越流式が2門、導流壁のカーブがちょっと特徴的です。  
 
手前は利水放流設備。
 
左岸ダムサイトの竣工記念碑。
 
 
下流面。
 
取水設備。
 
 
総貯水容量11万2000立米と小さな貯水池。
 
減勢工
左手は利水放流設備。
 
天端。
 
右岸から下流面。
 
上流面
こちらから見ると取水設備の機械室がダム湖にせり出しているのが分かります。
 
小さな灌漑用コンクリートダムでさほど特徴はありません。
でも名前がいい!
英語で書くと『Oh my dam!!』
 
3373 大舞ダム(1055)
大分県大分市木佐上
小猫川水系大舞川
20.8メートル
98メートル
木佐上土地改良区 
2001年

戸保の木ダム(轟ダム)

2017-06-30 13:10:43 | 大分県
2017年6月18日 戸保の木ダム(轟ダム)
 
戸保の木で『へぼのき』と読みます。
戸保の木ダムは大分市木佐上にある防災目的のアースダムでダム便覧によれば1971年(昭和46年)に農林省の補助を受けた大分県の事業で建設されました。現在は木佐上土地改良区が管理を行っています。
ダム便覧ではダムの目的は『F』のみとなっていますが、地元の方の話では灌漑用水の水源として使っているということです。また管理も木佐上土地改良区が行っていることから、ダムの目的は『FA』が妥当かと思われます。
ダム名の戸保の木はダムのさらに上流の地名であり、現地ではダムの位置する小字名から『轟ダム』と呼ぶのが一般的なようで、竣工記念碑にも『轟防災ダム』と記されています。
 
国道197号線から小猫川沿いの県道715号を南下、三本杉橋の二股を右手にとり轟集落を抜けると戸保の木ダムに到着します。
ダムの左岸に機械室と思しき建物と竣工記念碑があります。
 
竣工記念碑
『轟防災ダム』となっています。
 
下流面
この時期はどこも草ボウボウです。
 
上流面
コンクリートブロックで護岸されています。
 
堤体中央の階段
てっきり斜樋があるのかと思ったらただの階段でした。
 
取水設備が見当たりませんが、この2本のポールの下で『ぼこぼこ』音が鳴っています。
たぶんこれが取水設備かと思われます。
 
総貯水容量29万立米
防災目的のみならこんな満々と水を貯めこまないでしょう?
 
天端から
下流に轟集落が見えます。
 
右岸から天端
轍があります。
 
右岸の洪水吐。
 
2768 戸保の木ダム(轟ダム)(1054)
大分県大分市木佐上
小猫川水系轟川
FA
21.7メートル
119.4メートル
木佐上土地改良区 
1971年

中の川ダム

2017-06-30 12:02:16 | 大分県
2017年6月18日 中の川ダム
 
中の川ダムは大分県臼杵市の末広川支流中の川源流部にある洪水調節・灌漑目的のロックフィルダムで、農水省の補助を受けた大分県の土地改良事業により1977年(昭和52年)に竣工し、運用開始後は臼杵市が受託管理を行っています。
ダム便覧では竣工は1987年となっていますがこれは間違いと思われます。
瀬戸内海気候により年間降水量が少ない臼杵地区では、渇水による用水不足が生じる一方、大きく蛇行する末広川は豪雨のたびに洪水被害をもたらしてきました。
そこで大分県は農水省の補助を受け臼杵地区土地改良事業を実施、まず1977年(昭和52年)に末広川左支流の中の川に中ノ川ダムを建設、次いで1987年(昭和57年)に末広川に末広ダムを建設しました。
中の川ダムは中の川および末広川の洪水調節のほか、末広ダムと合わせて171ヘクタールに灌漑用水の供給を行っています。
 
今回は県道21号から中の川沿いの市道を北上して中の川ダムに至りました。
市道を北上すると中の川ダムの堤体が見えてきます。
草が生え一見アースのようですがロックフィルダムです。
 
ダムの記念碑。
 
天端
関係者以外車両通行禁止。
 
下流面
草が茂りアースダムの様相。
 
ダム湖は総貯水容量88万1000立米。
 
上流面
こちらもロックフィルには見えません。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐
中央にスリットが入っています。
 
 
赤いスクリーンの奥に常用洪水吐としてゲートがあり、これが上の写真スリットに通じています。
 
今回取水設備が確認できませんでした。たぶん洪水吐に併設されているのではないかと思います。
また堤体直下には利水放流設備があるようですが、そちらへの道は関係者以外立ち入り禁止で見ることは叶いませんでした。
 
2795 中の川ダム(1053)
大分県臼杵市岳谷
末広川水系中の川
FA
37.3メートル
120メートル
臼杵市
1977年

末広ダム

2017-06-30 11:07:30 | 大分県
2017年6月18日 末広ダム
 
末広ダムは大分県臼杵市東端、大分市との境界近くの末広川にある洪水調節・灌漑目的の重力式コンクリートダムで、農水省の補助を受けた大分県の土地改良事業により1980年(昭和55年)に竣工し、運用開始後は臼杵市が受託管理を行っています。
瀬戸内海気候により年間降水量が少ない臼杵地区では、渇水による用水不足が生じる一方、大きく蛇行する末広川は豪雨のたびに洪水被害をもたらしてきました。
そこで大分県は農水省の補助を受け臼杵地区土地改良事業を実施、1977年(昭和52年)の中の川ダムに次いで完成したのが末広ダムです。
末広ダムは末広川の洪水調節のほか、中の川ダムと合わせて171ヘクタールに灌漑用水の供給を行っています。
 
今回は大分自動車同大分宮河内インターから県道21号線を南下して末広ダムに至りました。
ダム左岸に駐車場があり管理事務所や土地改良事業の説明板が設置されています。
 
左岸から下流面。
 
天端
対岸から林道となっており車両の通行はできますが、関係者以外車両進入禁止となっています。
 
減勢工
右側手前は利水放流設備、奥は揚水機場。
 
ダム湖
見た目はさほど大きくありませんが縦長で総貯水容量は209万8000立米あります。
 
右岸から天端。
 
上流面
ボートで釣りをしていますが、釣禁止の看板があったような・・・。
 
下流面。
 
下流から
非常用洪水吐としてクレストに4門の自由越流式ゲート、
常用洪水吐としてオリフィスゲートがあります。
V字型の導流壁がダムの表情を引き締めています。
 
2786 末広ダム(1052)
大分県臼杵市田尻
末広川水系末広川
FA
45メートル
162メートル
臼杵市
1980年

地蔵原ダム

2017-06-30 09:36:49 | 大分県
2017年6月18日 地蔵原ダム
 
地蔵原ダムは大分県玖珠郡九重町湯坪の筑後川水系地蔵原川源流部にある九州電力が管理する発電目的のアースフィルダムです。
1922年(大正11年)に当時大分県を中心に発電事業を行っていた九州水力電気(株)により町田第一および第二発電所の水源として建設され、日本発送電の接収ののち1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により九州電力が事業を継承しました。
地蔵原ダムで放流された水は約600メートル下流の取水堰から町田第一発電所に送られ最大1700キロワット、さらに町田第二発電所で最大1600キロワットのダム水路式発電に使用されます。
 
地蔵原ダムは中央鉄筋コンクリート遮水壁式、いわゆるコンクリートセンターコアダムとして建設されましたが、漏水防止のため1971年(昭和46年)に上流面にアスファルトフェイシングが施されました。その後アスファルトの劣化により1991年(平成3年)には上流面にコンクリートが塗布され見た目はコンクリート表面遮水壁型ダムのようになっています。
数少ないコンクリート中央遮水壁型ダムとしてCランクの近代土木遺産に選定されています。
 
ダム便覧では地蔵原ダムとなっていますが、国土地理院地形図や主要道路マップでは天ヶ谷貯水池と記されています。
観光地である飯田高原の北に位置し、ダム北岸を九州自然歩道が通っているほか貯水池上流にはキャンプ場などもありダム周辺はアウトドアスポットにもなっているようです。
 
今回は九重町中心部から四季彩ロードを南下、県道40号~640号を経て地蔵原ダムに至りました。
ダム右岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部
両側の石積みの擁壁は竣工当時のもののようです。
 
 
下流面
2016年(平成28年)熊本地震の影響でクラックが発生するなどの被害が出ました。
草が削り取られたところは補修の痕です。
 
天端と上流面
 
貯水池越しに見る涌蓋山の雄姿。
 
左岸から見た天端と下流面
各所に補修の痕が見られます。
 
上流面
コンクリートセンターコアダムとして建設されましたが、漏水防止のため上流面はコンクリートフェイシングされています。
地震によりこのコンクリートにもひび割れが起こり補修が施されました。
 
右岸の建屋右手に巡視艇が置かれ、インクラインが伸びています。
 
ダムには取水設備が見当たりません。
これがそうなんでしょうか?
 
近くには日本最長を誇る九重夢大吊橋や、長者原温泉郷などの観光スポットが集り多くの観光客が訪れていましたが、ここ地蔵原ダムはそんな喧騒をよそにひっそりと佇んでいました。
吹き通る高原の風が爽やかなダムです。
 
追記
地蔵原ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに18万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2738 地蔵原ダム (1051)
大分県玖珠郡九重町町田
DamMaps
筑後川水系地蔵原川
21.8メートル
95.3メートル
㎥/㎥
九州電力(株)
1922年
◎治水協定が締結されたダム