ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

歌野川ダム

2020-12-04 02:47:13 | 山口県
2020年11月21日 歌野川ダム
 
歌野川ダムは山口県下関市菊川町上岡枝の木屋川水系歌野川にある洪水調節・灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
歌野川は二級河川木屋川の主要右支流で、中下流域の上岡枝および下岡江田地区は周辺有数の農業地帯となっています。
しかし氾濫や渇水による干ばつ被害が絶えず抜本的な治水対策や安定した水源確保は流域農家の長年の悲願となっていました。
そこで山口県は1972年(昭和47年)に農水省の補助を受けた県営防災ダム事業・かんがい排水事業に着手、その中核施設として1980年(昭和55年)に竣工したのが歌野川ダムです。
歌野川ダムは歌野川流域の農地防災および受益農地283ヘクタールへの灌漑用水の補給を目的としており、当初は菊川町が、現在は市町村合併により下関市が受託管理を行っています。
 
下関市菊川町上保木で県道34号線から桜井八幡宮の標識に従って西に折れ菊川町上岡枝に入ると歌野川に架かる橋に歌野川ダムを示す小さな道標があります。
ここを右手に折れると正面に歌野川ダムが現れます。
堤高44メートル、クレストに自由越流式洪水吐2門、オリフィスに自然調節式洪水吐1門、左岸に利水放流設備を備えています。
 
農地防災目的もありゲートレスの農業用ダムとしては珍しくクレスト、オリフィス両ゲートを装備。
導流壁は特徴的なデザイン。
 
そのまま道を進むと公園があり、さらに左岸ダムサイトに到着
ダム下からでは分かりませんでしたが堤頂長が162メートルもあり意外に横長。
写真では影になってわかり辛いですが、ダム下に利水放流設備があります。
 
天端は立ち入り禁止。
対岸に管理事務所があります。
 
堤体上流側に選択取水設備があります。
また管理事務所裏手に僅かにインクラインが見えます。
ダム湖は総貯水容量161万4000立米。
 
ダム湖を周回する道路はありますが、左岸側は荒れており通行不能
右岸へ行くにはいったん市道まで戻り、「かみのすわスポーツ公園」を右折します。
ダム下には簡易水道の浄水場がありますが、歌野川ダムとは直接の関係はありません。
 
右岸へ向かう道からダムを遠望。
 
右岸も天端は立ち禁。
 
右岸に建つ歌野川ダムの説明板
農水省の補助で建設されたいわゆる農地防災ダムです。
 
農業用ダムではおなじみ、エライさんの筆が入った竣工記念碑。
 
ダム周辺には約1000本の桜が植えられ、花見の名所として下関市観光協会のサイトでも紹介されています。
 
(追記)
歌野川ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2088 歌野川ダム(1585)
山口県下関市菊川町上岡枝
木屋川水系歌野川
FA
44メートル
162メートル
1614千㎥/1516千㎥
下関市
1980年
◎治水協定が締結されたダム

湯の原ダム

2020-12-04 02:37:15 | 山口県
2020年11月21日 湯の原ダム 
 
湯の原ダムは左岸が山口県下関市菊川町上保木、右岸が同町西中山の木屋川水系木屋川中流部にある山口県企業局が管理する上水道用水・工業用水目的の重力式コンクリートダムです。
山口県内最大都市下関への都市用水源として県は1955年(昭和30年)に木屋川ダムを建設し現在の湯の原ダム直上に取水設備を設け、ここから工業用水を取水していました。
しかしその後も用水需要の増加が続いたことから山口県企業局は1972年(昭和47年)に木屋川中流部への利水ダム建設を軸とした木屋川第2期工業用水事業に着手し1990年(平成2年)に竣工したのが湯の原ダムです。
湯の原ダムは下関への上水道用水・工業用水の供給を目的とした利水多目的ダムで、当ダム完成により新たに205万立米の利水容量が確保されました。
 
菊川町中心街から県道34号を北に進みと山口県企業局西部利水事務所の標識があります。これを右に折れると湯の原ダムに到着します。
堤体にはシェル型ローラーゲート5門が並び、ダムというよりは可動堰と言った風です。
写真では見えませんが左岸最奥にガーター型ローラーゲートが1門あります。
湯の原ダム自体は洪水調節機能はありませんが、上流の木屋川ダムの放流量に合わせてゲートの開閉を行うようです。
 
木屋川はホタルの自生地として有名で、親柱にはホタルの装飾が施されています。
 
天端は車両通行可能。
 
ずらっと並ぶシェル型ローラーゲート
対岸に木屋川工業用水道取水口があります。
 
総貯水容量293万立米のダム湖
訪問時は満水状態でした。
左手(右岸)に艇庫とインクラインがあります。
 
艇庫とインクラインをズームアップ。
 
こちらは左岸の取水口をズームアップ。
手前にスクリーン、奥に取水ゲートが見えます。
 
左岸には導流壁が2本並んでいます。
左は維持放流ゲート、その右はガーター型ローラーゲート用導流路。このゲートは排砂用ゲートに当たるかと思います。
 
ここが木屋川工業用水道の起点。
 
左岸から見た上流面
シェル型ローラーゲートが5門、左手にガーター型ローラーゲートが1門。
 
(追記)
湯の原ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
2093 湯の原ダム(1584) 
左岸 山口県下関市菊川町上保木
右岸 山口県下関市菊川町西中山
木屋川水系木屋川
WI
18.5メートル
212.9メートル
山口県企業局
1990年
◎治水協定が締結されたダム