ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

門前堤

2020-12-09 15:10:04 | 山口県
2020年11月22日 門前堤
 
門前堤は山口県長門市日置中の二級河川掛淵川水系左支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
長門市の旧日置町から油谷町を貫流する掛淵川流域は干ばつ頻発地帯で、本支流沿いには6基のダムが密集、うち5基が農業用貯水池です。
門前堤は6基中唯一の溜池でダム便覧には台ヶ原耕地整理組合の事業で1927年(昭和2年)に竣工と記されています。
現在も受益農家組織が管理しているようですが具体的な管理者名を確認することはできませんでした。
 
長門市日置中国広で県道281号線から掛淵川を渡り左岸の狭い道に入り2カ所の害獣フェンスを抜けると門前堤に到着します。
右岸に建屋がありますが電線は切れ今はもう使われていない様子。
 
右岸の横越流式余水吐。
 
余水吐の上流に取水設備がありますが、実はこれも今は使われていません。
 
轍が残る天端
夏に草が刈られたようですがやや草が伸び加減。
 
上流面
コンクリートブロックで護岸されています。
 
貯水池は総貯水容量15万2000立米
何やら白い物体が浮いており、手前には鉄管が設置されています。
 
実は白い浮き?の水中に取水設備があり、この鉄管はその取水管です。
 
鉄管に設置された制水機器
これで取水量をコントロールするようです。
 
鉄管は堤体に沿って下ります。
 
下から見上げると。
 
ダム下に鉄管の吐口があります。
普通の取水設備でいうなら底樋枡と言ったところ
河川維持放流が行われています。
 
下流面。
 
本来は右岸にある斜樋が取水設備でトップ写真の建屋がポンプ施設だったと思われます。
その後改修の際に既存の斜樋や底樋を置き換えるのではなく、新たに水中に取水設備を設置し鉄管経由で取水を行っているようです。
同様のケースは高知県の牛の池田ダム でも見られました。 
 
2031 門前堤(1592)
ため池コード 354820481
山口県長門市日置中
掛淵川水系掛淵川左支流
19.8メートル
100メートル
152千㎥/152千㎥
管理者未確認
1927年

枇杷ノ木池

2020-12-09 14:52:28 | 山口県
2020年11月22日 枇杷ノ木池
 
枇杷ノ木池は山口県長門市西深川の十楽川水系右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
西深川地区では小河川ごとにため池が作られていますが、そのうち3基が堤高15メートル以上の河川法上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
枇杷ノ木池はそのひとつで、ダム便覧では1962年(昭和37年)に竣工と記されています。
現地に完成記念碑があり平成22年4月(2010年)完成と刻れていますが、これは溜池改修事業の竣工を示すものでしょう。
完成記念碑によれば管理者は境川耕地整理組合となっています。耕地整理法は戦後土地改良法により廃止となっていますが、受益者組織の名称としてそのまま使い続けているようです。
 
長門市西深川の十楽川を跨ぐ長門大津広域農道(みのりロード)の高架橋から十楽川沿いを北に進み、最初の分岐を左に採れば枇杷ノ木池が見えてきます。
 
ダム下で長い余水吐導流部と底樋吐口が合流します。
個人的に好きな絵柄です。
 
左岸から
堤体は犬走りを挟んだ三段構成
草刈り直後のようで見た目も美しい堤体。
 
長ーーい余水吐導流部。
 
天端。
 
コンクリブロックで護岸された上流面と余水吐
ちょうど橋の下に越流壁があります。
 
左岸の斜樋。
 
完成記念碑
改修事業の完成記念碑になります。
 
総貯水容量5万立米の小さな溜池。
 
右岸から上流面
対岸左端に斜樋があります。
 
改修から10年経過しますが、綺麗に刈り払われた堤体や、まだまだ真新しい諸設備と白いコンクリート。
受益農家にとって非常に重要な水源になっていることが一見してわかる枇杷ノ木池です。
 
3571 枇杷ノ木池(1591)
ため池コード 352110044
山口県長西深川深川
17.1メートル
73.5メートル
48千㎥/48千㎥
境川耕地整理組合
1962年

浴山第1溜池

2020-12-09 12:05:09 | 山口県
2020年11月22日 浴山第1溜池
 
浴山(えきやま)第1溜池は山口県長門市西深川の走下川水系走下川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
西深川地区では小河川ごとにため池が作られていますが、そのうち3基が堤高15メートル以上の河川法上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
浴山第1溜池はそのうちのひとつでダム便覧には1919年(大正8年)に西深川土地改良区の事業により竣工と記されています。
大正期に土地改良区はありませんので、前身となる耕地整理組合もしくは水利組合によって建設されたものと思われます。
上下2段の重ね池となっており直上に浴山第2溜池がありますが、こちらは規模も小さくダムの要件を満たしていません。
管理は受益者組織が行っているようですが、具体的な管理者名を確認することはできませんでした。
 
長門市西深川のJA長門大津営農センターから長門大津広域農道(みのりロード)を西に進み最初の十字路を左折します。
すぐに害獣フェンスが現れこれを開けて進むと浴山第1溜池に到着します。
 
堤体直下に放流設備が見え水路が伸びています。
放流設備は金属製の屋根が割れかなり荒れ気味。
 
天端からの眺めは素晴らしく青海島や仙崎湾が遠望できます。
 
総貯水容量12万立米の小さな溜池。
需要期が終わり水が抜かれています。
 
左岸の斜樋
シャフトは2本。
 
上記放流設備。
 
下流面
夏場に草が刈られたようです。
 
上流面はコンクリートブロックで護岸されています。
 
右岸の越流式余水吐。
 
越流壁の下流側に小さなバッフルピアが並びます。
 
池下へは下りず底樋は確認しませんでした。
 
2027 浴山第1溜池(1590)
ため池コード 352110041
山口県長門市西深川
走下川水系走下川
22.7メートル
72メートル
120千㎥/120千㎥
管理者未確認
1919年

崩ノ河内第1溜池

2020-12-09 03:05:14 | 山口県
2020年11月22日 崩ノ河内第1溜池
 
崩ノ河内(つえのこうち)第1溜池は山口県長門市西深川の深川川水系五十鈴川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
西深川地区では小河川ごとにため池が作られていますが、そのうち3基が堤高15メートル以上の河川法上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
崩ノ河内第1溜池はそのうちのひとつ、ダム便覧では1907年(明治40年)に西深川土地改良区の事業により竣工とあります。
明治期には土地改良区はありませんので、前身となる水利組合によって建設されたものと推察されます。
第1溜池の名前が示す通り上下2段の重ね池となっており、直上に崩ノ河内第2溜池がありますが堤高14メートルの為ダムの要件を満たしていません。
現在は第1、第2溜池ともども受益者で組織される上川西水利組合が管理を行っています。
 
長門市西深川のJA長門大津営農センターから枝道を南に折れるとすぐに崩ノ河内第1溜池に到着します。
令和3年3月末までの予定で改修工事中。
 
工事担当者にお願いして天端までの立ち入りの許可を頂きました。
堤体基部の擁壁はコンクリートブロックで作りなおされています。
もともと堤体を斜行して道路があったようですが、最終的にはどういう姿になるんでしょう?
 
天端。
 
天端からは青海島の絶景が遠望できます。
 
貯水池は水が抜かれ絶賛改修工事中。
写真左手に斜樋、中央に土砂吐が見えます。
土砂吐も白いコンクリートなので底樋ともどもすでに作りなおされたようです。
 
 
 
上流に第2溜池が見えます。
こちらは堤高14メートル。
 
左岸では新しい余水吐導流部の打設がほぼ終わっています。 
 
 
ローラーで池底を固めています。
今後上流面の護岸も改修されるようです。
 
機会があれば改修工事竣工後に再訪して新しい姿を見てみたいものです。と言いたいところですが、いかんせん山口は遠い。
 
2019 崩ノ河内第1溜池(1589)
ため池コード 352110032
山口県長門市西深川
深川川水系五十鈴川
16.4メートル
106メートル
126千㎥/126千㎥
上川西水利組合
1907年