ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

牛ヶ迫池

2020-12-10 20:39:47 | 山口県
2020年11月22日 牛ヶ迫池
 
牛ヶ迫池は山口県長門市油谷伊上の泉川水系左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1914年(大正3年)に岡上り野耕地整理組合の事業で竣工と記されていますが、竣工記念碑や改修記念碑等がないためその後の経緯は不明です。
管理は受益者で組織される牛ヶ迫組持が行っています。
 
長門大津広域農道(みのりロード)の『楊貴館別荘ととろの里』の標識を南に折れます。最後の民家の先に泉川にかかる小さな橋がありすぐに右に折り返す分岐が現れます。これが牛ヶ迫池への入口です。
樹間から見る下流面
夏に草刈りが行われたようで、堤体は整っています。
 
右岸余水吐に架かる橋
山口県らしい黄色のガードレール。
 
余水吐導流部。
 
右岸の横越流式余水吐
紅葉の遅い山口県ですがモミジがいい感じで色づいています。
 
上流面
コンクリートブロックで護岸されています。
 
上流から見た余水吐。
 
右岸の斜樋
シャフトは2本。
 
天端
轍がついています。
 
総貯水容量19万2000立米。
 
天端からの眺め
海が見えそうで見えません。
 
ダム下には下りなかったので底樋は確認できませんでした。
 
2022 牛ヶ迫池(1598)
ため池コード 354830153
山口県長門市油谷伊上
泉川水計泉川左支流
25.6メートル
90メートル
192千㎥/118千㎥
牛ヶ迫組持
1914年

阿惣ダム

2020-12-10 20:35:20 | 山口県
2020年11月22日 阿惣ダム
 
阿惣ダムは山口県長門市油谷河原の二級河川掛淵川水系阿惣川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
長門市の旧日置町から油谷町を貫流する掛淵川流域は干ばつ頻発地帯で、本支流沿いには6基のダムが密集、うち5基が農業用ダムとなっています。
農水省の補助を受けた県営かんがい排水事業油谷地区が1993年(平成5年)より着手され、その灌漑用水源として2002年(平成14年)に竣工したのが阿惣ダムです。
かんがい排水事業も翌2003年(平成15年)に竣工し、阿惣ダムからは383.6ヘクタールの農地に灌漑用水が供給されています。
ダムの管理は運用開始当初は当時の油谷町が受託していましたが、その後の市町村合併により現在は長門市が引き継いでします。
 
旧油谷町中心部の新大坊交差点から国道491号線を南下、長門大津広域農道(みのりロード)との交差点の先に県営かんがい排水事業油谷地区阿惣ダムの大きな看板が現れます。
 
この案内板を右に折れると阿惣ダムに到着します。
まずはダム下から
ゲートは自由越流式洪水吐ゲート1門の農業用ダムらしいシンプルな構造。
右岸ダム下(写真左手)には2017年に新設された長門市阿惣ダム小水力発電所があります。
発電出力は49.9キロワットです。
 
減勢工から。
 
ダムサイトに上がります。
ダム周辺はかんがい排水事業と同時に進められた地域用水環境整備事業により公園として整備されています。
左岸展望台から俯瞰、右手は管理事務所。
 
総貯水容量132万立米のダム湖。
 
左岸から下流面
右岸に放流設備と小水力発電所があります。
 
天端親柱の装飾と小水力発電所の説明板。
 
上流面
ゲートの右手に取水設備。
 
左岸の展望台斜面
2001年(平成13年)に開催された『山口きらら博』で展示された『きらら時計』が移設されましたが、故障したため針が撤去されています。
事情を知らないと『変なモニュメント?』になっちゃいます。
 
天端から
右岸手前が利水放流設備、奥が2017年に増設された長門市営阿惣ダム小水力発電所。
 
右岸から見た天端。
 
楽しみにしていたきらら時計は、故障で針は撤去されていました。
ちょっと残念。
 
(追記)
阿惣ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
3215 阿惣ダム(1598)
山口県長門市油谷河原
掛淵川水系阿惣川
44.2メートル
134メートル
1320千㎥/1260千㎥
長門市
2002年
◎治水協定が締結されたダム

大坊ダム

2020-12-10 20:31:00 | 山口県
2020年11月22日 大坊ダム
 
大坊ダムは山口県長門市油谷河原の掛淵川水系大坊川にある山口県土木建築部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
建設省の補助を受けて建設された補助治水ダムで、大坊川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1970年(昭和45年)に竣工しました。
 
ダム右岸を国道491号が走っておりアプローチは簡単ですが、ダムを正面から見るポイントはありません。
管理事務所駐車場から。
 
管理事務所からダムへ下りてゆきます。
これがベストショット
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲート2門、常用洪水吐としてコンジットに高圧ラジアルゲートを1門装備。
さらに利水放流管としてホロージェットバブル1条があります。
昭和40年代前半の設計ということでゲート操作室等は大掛かりなものとなっています。
 
 
訪問時はホロージェットバルブから絶賛放流中。
 
山口県土木建築部ではおなじみ、ダム湖標識。
 
天端から
下流も狭隘な渓谷が続き、その先に採石場があります。
採石場からならダムを正対できるかと思いましたが、部外者立ち入り禁止。
 
ゲートと減勢工。
 
ダム湖の赤滝湖は総貯水容量386万立米。
 
天端から右岸を望む
正面に管理事務所、その向こうを国道491号線が走っています。
 
上流面。
 
昭和40年代の特徴を示すダムですが、とにかく展望スポットがないのが難点。
 
(追記)
大坊ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2080 大坊ダム(1597)
山口県長門市油谷河原
掛淵川水系大坊川
FN
43.5メートル
115メートル
3860千㎥/3410千㎥
山口県土木建築部
1973年
◎治水協定が締結されたダム

有宗ダム

2020-12-10 20:26:11 | 山口県
2020年11月22日 有宗ダム
 
有宗ダムは山口県長門市油谷久富の二級河川掛淵川水系久富川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
長門市の旧日置町から油谷町を貫流する掛淵川流域は干ばつ頻発地帯で、本支流沿いには6基のダムが密集、うち5基が農業用ダムとなっています。
有宗ダムは1983年(昭和58年)に着手された農水省の補助を受けた県のかんがい排水事業の中核施設として1990年(平成2年)に竣工、運用開始後は273ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
ダムの管理は運用開始当初は当時の油谷町が受託していましたが、その後の市町村合併により現在は長門市が引き継いでいます。
 
長門市油谷久富で長門大津広域農道(みのりロード)から久富川沿いを南に進むと有宗ダムに着きます。 
ダム下から
ゲートは自由越流式のクレストゲート2門と農業用ダムらしいシンプルな構造。導流壁は斬縮型。
減勢工は湾曲しエンドシルの下流にバッフルブロックが並びます。
個人的に好きな絵柄。
 
左岸ダムサイトの道路沿いに建つ竣工記念碑。
 
下流面
堤高28.7メートル、堤頂長121.5メートルの小ぶりなダムです。
 
天端は徒歩のみ立ち入り可能。
 
上流面
ゲート左に選択取水設備。
 
天端から
減勢工はくねくね。
左岸に放流設備があります。
 
こちらは灌漑用水のバルブ。
需要期は5月から9月までなので今は閉じられています。
 
エンドシル下流のバッフルブロック。
イボイボ大好き!
 
総貯水容量は56万4000立米と溜池サイズ。
 
右岸から。
 
(追記)
有宗ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
2105 有宗ダム(1595)
山口県長門市油谷久富
掛淵川水系久富川
28.7メートル
121.5メートル
564千㎥/564千㎥
長門市
1990年
◎治水協定が締結されたダム

畑ダム

2020-12-10 02:38:06 | 山口県
2020年11月22日 畑ダム
 
畑ダムは山口県長門市日置中の二級河川掛淵川本流上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
長門市の旧日置町から油谷町を貫流する掛淵川流域は干ばつ頻発地帯で本支流沿いには6基のダムが密集、うち5基が農業用貯水池となっています。
畑ダムは1957年(昭和32年)に砂防目的の畑堰堤として建設されましたが、干ばつ対策や農業用水需要増加を受け1971年(昭和46年)の改修で農業用ダムに転用されました。
ダム便覧ではこの年を竣工年度としています。
ダムの管理は運用開始当初は当時の日置町が受託していましたが、その後の市町村合併により現在は長門市が引き継いでおり、289.2ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。 
 
畑ダム右岸を県道281号線が走っておりアプローチは簡単です。
畑集落から狩音ダム  へ向かう道に入ると左手に畑ダムが遠望できます。 
 
掛淵川沿いの隘路を進むとダム下に到着。
砂防堰堤を転用したのが一目瞭然で、自由越流式クレストゲート1門のシンプルな構造。
手前にコンクリートの固定堰があります。
 
堰には角落としの溝が見えます。
もともとは掛淵川流域への灌漑用取水用固定堰でしたが、いまはその役目は終えているようです。
 
堤体をズームアップ
堤体自体は1957年(昭和32年)竣工ですが、コケの緑と黒ずんだ導流部など戦前以前のダムのような雰囲気。
草木が繁茂した減勢工と相まって廃墟感半端ありません。
 
県道はダム右岸を通っています。
県道から見た越流部。
 
天端は立ち入り禁止。
砂防堰堤として建設されたため堤頂幅は極薄。
 
上流面は改修で補強されたようで、コンクリートの色が違っています。
 
ダムサイトに建つ2基の石碑。
左は1957年(昭和32年)の畑堰堤完工記念碑。
右は1972年(昭和52年)の農業用ダムへの改修完成記念碑。
 
 
右岸の斜樋。
 
上流から遠望
貯水池は総貯水容量63万7000立米。
 
砂防堰堤が農業用ダムに転用された珍しいダムです。
 
(追記)
畑ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
2079 畑ダム(1594)
山口県長門市日置中
掛淵川水系掛淵川
21メートル
140メートル
637千㎥/531千㎥
長門市
1957年 砂防目的の畑堰堤として竣工
1971年 改修工事竣工で農業用ダムに転用
◎治水協定が締結されたダム

狩音ダム

2020-12-10 01:49:17 | 山口県
2020年11月22日 狩音ダム
 
狩音(かりおと)ダムは山口県長門市日置中の二級河川掛淵川水系狩音川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
長門市の旧日置町から油谷町を貫流する掛淵川流域は干ばつ頻発地帯で、本支流沿いには6基のダムが密集、うち5基が農業用ダムとなっています。
狩音ダムは1981年(昭和56年)に着手された農水省の補助を受けた県のかんがい排水事業の中核施設として1992年(平成4年)に竣工しました。かんがい排水事業全体も1996年(平成8年)に竣工し、狩音ダムからは536.1ヘクタールの農地に灌漑用水が供給されています。
ダムの管理は運用開始当初は当時の日置町が受託していましたが、その後の市町村合併により現在は長門市が引き継いでいます。
 
県道281号線で長門市日置中を南に進み、畑集落で右に折れ狩音川沿を進むとダム下に着きます。
ゲートは自由越流式のクレストゲート3門と農業用ダムらしいシンプルな構造。
左岸ダム下(写真右手)に送水放流設備があります。
 
堤体直下に植えられた椿がいいアクセントに。
 
いったん県道に戻り、狩音ダムの標識に従って右折すると右岸ダムサイトに到着します。
上流面
クレストゲートの奥に取水設備があります。
 
下流面
農業用ダムとはいえ、堤高37.1メートル、堤頂長185.5メートルはなかなかのスケール。
 
左岸の放流、送水設備
ここからパイプラインで受益農地に送水されます。
2015年(平成27年)に小水力発電所設置予定というニュースもありましたが、発電所が設けられた様子はありません。
 
天端は車両通行可能。
 
天端から見た減勢工。
 
ダム湖は総貯水容量83万8000立米。
 
湖畔は公園として整備されています。
東屋の下に巡視船係留用の浮き桟橋があります。
 
左岸から上流面。
 
(追記)
狩音ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
2106 狩音ダム(1593)
山口県長門市日置中
掛淵川水系狩音川
37.1メートル
185.5メートル
838千㎥/838千㎥
長門市
1992年
◎治水協定が締結されたダム