ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

殿川ダム

2022-04-01 22:00:00 | 香川県
2022年3月27日 殿川ダム 
 
殿川ダムは香川県小豆郡小豆島町中山の伝法川水系殿川にある香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
年間降水量1200ミリ弱という少雨に加え大河のない小豆島では慢性的な水不足に悩まされる一方、各河川は急流のため洪水が多く抜本的な利水・治水対策が急がれていました。
小豆島の玄関口で島の経済の中心でもある土庄を貫流する伝法川も例に漏れず、1961年(昭和36年)の水害1967年(昭和42年)の渇水を契機にダム建設が採択され1974年(昭和49年)に竣工したのが殿川ダムです。
殿川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、伝法川の洪水調節と土庄町への上水道用水に供給を目的としています。

殿川ダムは小豆島で唯一ゲートを持つダムで、クレストにローラーゲート1門を備えています。


大きなゲートピアとゲート部分が前面に張り出した形状は同時期に建設された大川ダム前山ダム大内ダムなど香川県営ダムの特徴的デザイン。

フーチングが開放されここから天端に登ります。
堤高は35.6メートルですがこれは基礎地盤からの高さと思われ、実際には25メートルほどしかなさそう。
フーチング中段に監査廊入り口があります。


天端は車両通行可能
香川県営ダムではピアの階段はらせんが多いのですがここはジグザグ。


ダム下は広場に、下流左岸は桜が植えられ小さな公園になっていますが桜はまだ蕾。
放流設備には調圧水槽が併設され、ここから下流約100メートルにある浄水場に直接送水されます。


天端からの眺め
正面には観光名所でもある中山千枚田が広がります。


総貯水容量62万立米のダム湖
奥には安山岩の板状節理で形成された銚子渓谷が遠望できます。


ゲートはローラーゲート1門で、こちらは予備ゲート。


左岸には艇庫とインクラインを併設した管理事務所。


下流面。

上流面
ゲートが2枚で上段が予備ゲート
円形の取水設備がレトロな雰囲気を醸し出しています。


2183 殿川ダム(1779)
香川県小豆郡小豆島町中山 
伝法川水系殿川
FW
35.6メートル
192メートル
620千㎥/620千㎥
香川県土木部
1974年

吉田ダム

2022-04-01 12:00:00 | 香川県
2022年3月27日 吉田ダム 
 
吉田ダムは香川県小豆郡小豆島町吉田の二級河川吉田川にある香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
年間降水量1200ミリ弱という少雨に加え大河のない小豆島では慢性的な水不足に悩まされる一方、各河川は急流のため洪水が多く抜本的な利水・治水対策が急がれていました。
島北東部の吉田地区を流れる吉田川や福田地区を流れる森庄川も例に漏れず、吉田ダムは吉田川および森庄川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、小豆島全域へ上水道用水の供給を目的として1996年(平成8年)に竣工しました。
吉田ダムの堤高74.5メートルは竣工当時は香川県内最高で、現在も椛川ダムに次いで第2位の高さとなっています。
森庄川については上流部に分水堰を設け、洪水時にはカットした水をトンネル導水路で吉田ダムに送る形で洪水調節を行います。

小豆島町北東部の吉田地区から吉田川沿いを西進すると吉田ダムに到着します。
吉田ダムの売りはダム左岸の花崗岩の大断崖です。
全国で見てもダム至近にこのような花崗岩のトアが林立すところはまずないんじゃないでしょうか?
さしずめ岩の殿堂ダムと言った風。


いったんダム下に戻り、堤高74.6メートルの堤体を直下から見上げます。
クレスト自由越流頂4門、自然調節式オリフィス1門を備えたゲートレス。
このほか利水放流用バルブを2条装備しています。
ゲート左手にエレベーター棟がありますが、香川県でエレベーターを備えたダムは現在吉田ダムのみ。


サルが描かれたユニークな看板。


吉田ダムのフーチング階段は遍路道として開放されています。
今回はここを登って天端にアプローチ。


登ること12~3分で天端左岸に到着。
ここには巨大なモニュメントが建っています。
本体着工が1988年(昭和63年)とバブルの真っ盛り、余計なものを作る資金が潤沢だった時代です。


右岸の艇庫とインクライン。


左岸高台の展望台から
こういうアングルでダムが見れるのはうれしい限り。
ダム湖は総貯水容量236万立米と小豆島最大。
このダムからは島内全域に上水道用水が供給されます。

ダムから海まではわずか1.2キロ
家島諸島右手には遠く六甲の山並みも望めます。


天端から
減勢工左手には放流設備や揚水機場が並びます
右手には「吉田ダム」の植栽。


天端は徒歩のみ開放。


右岸から超広角で
右岸のフーチングも開放されています。


右岸にも『うるおい』と命名されたモニュメント
本来なら1.4トンの石の円球が水圧でクルクル回るはずなんですが残念ながら故障中。


上流面
こちらからも海が見えます。


右岸のフーチングを下ります。
放流バルブが2条、スルースバルブから河川維持放流中。


小豆島一番のお目当てはこの吉田ダムでしたが、お天気にも恵まれ岩と海のサイコーの眺めを堪能することができました。

2955 吉田ダム(1778)
香川県小豆郡小豆島町吉田 
吉田川水系吉田川
FNW
74.5メートル
218メートル
2360千㎥/2100千㎥
香川県土木部
1996年