最近はジャンルの異なる本を読んでいます。うち左は「題名のない音楽会」の司会も務めたことがある指揮者の自伝的エッセイ本ですが、その中で30代半ばだった著者がイタリア人巨匠指揮者(故人)の自宅を訪問した時のやり取りが紹介されています(以下、会話部分のみ抜粋)。
「あなたは現代曲をやるのか?」
「やります。」
「それは時間を捨てているようなものだ。ブラームスとベートーヴェンだけを指揮しなさい。」
「随分思い切ったことを言うなぁ」と思いました。が、行き帰りの車の中でその巨匠のブラームスの交響曲のCDを改めて聴いてみれば、その言葉が単なる思い付きで発せられるようなものではなかったことが解ります。晩年(70代後半)に録音されたウィーン・フィルとの全集(下段)は「テンポが遅すぎる」などとして賛否両論だったようですが。そして私も試聴して緩い(締まりがない)と感じられた2番だけは手を出す気になれませんでしたが、今聴くと印象は違ってくるかもしれません。
なお右上の1枚は6連奏のチェンジャーに余裕があったため「ついで」に聴いたものです。フォーレの「レクイエム」といえば、1962年と1972年に録音された全く性格の異なる録音2種が今もなお「決定盤」として君臨しているのですが、この演奏はそれらのいずれとも趣の違う(作曲者のイメージとはかけ離れた「厳しさ」が前面に出された)名演に仕上がっていると思います。音量差が大きすぎて車の中で再生すると弱音部がまるで聞こえないのが玉に瑕ですが。
おまけ(蛇足)
最初に変換されたままをタイトルにしました。一応書いておくと「カルロ・マリア・ジュリーニ」(Carlo Maria Giulini、1914〜2005)という人です。好きな指揮者として3本の指に入ります。